介護をしている全ての人へ#51 ~ 夢物語、身のほどをわきまえる

 日記には、弁護士からの電話一本でかなりナーバスになってしまってる自分の様子が綴られていた。父の債務問題が、母のがんよりも心に重たくのしかかっていたのかもしれない。

2019年2月20日(水)母の日記

 暖かい一日 
 紙パンツ交換2回、清拭2回。紙パンツなら粗相してもいいような気になっているのではないか?とデイサービスの介護士さんから指摘。確かに、他人の苦労を気遣う人ではないし、紙パンツになったことで、本人の不快感も相当軽減されたのかもしれない。
 デイサービスの職員がわざわざメモにして言ってくるのだから、かなり困らせているのだろう。ごめんなさい。
 長男の顔色がよくない、よく眠れていないのかもしれない。
両親の病、家の売却、マンションの購入、親の問題をほとんどすべて長男がかぶってしまっている。昔から要領の悪い子。徒競走でも競っている友達に先を譲ってしまうようなお人好し。
 弟も、兄の顔色をみながら、少しは息を抜いてほしいと言っている。
 今夜は次男が来てくれる。病人の扱いがうまいから何かと助かる。
 夕方、次男がイオンでおはぎを買ってきてくれた。
 息子二人とおはぎを食べながらテレビ(家売るオンナの逆襲)を観る

2019年2月20日(水) 私の日記

 午後、高木弁護士から連絡。父の債務の件、自己破産の方向で処理を進めてもよいかと問い合わせの電話。急いでいる様子もなかったが、弁護士さんだって仕事だから、こんな仕事は手早く終わらせてしまいたいに違いない。
 「自己破産」すごく重たい言葉……金融機関の関連会社に勤めている自分にとって、親の自己破産はかなり危険。もしかしたら今の仕事を失ってしまうかもしれない。慎重に考えなければ。
 就業規則を読み返したが、親の問題で失職するようなことはなさそう。でも、関連会社以外への出向や縁遠い会社への異動くらいは覚悟しておかなければならない。そうなれば、引っ越しの計画にも大きなリスク。
 相談する人もいない。追い詰められた気持ちになる。
 こんな状態では、結婚なんて夢物語だと思い知らされた。Kさんとは距離を取ることにする。
 人生はままならない、急に弟の家庭がうらやましく感じるようになった。せつない

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