介護をしている全ての人へ#40 ~人生初のオークションに大興奮、母


2019年2月9日(土) 母の日記

 寒い朝。
 夫トイレ介助3回、脂肪様の便が気になる。
 清拭1回、脂肪便が本人が意図しないところで漏れ出すらしいが、紙パンツははいてくれない。外置きの洗濯機がフル回転。
 息子と一緒に荷物の仕分けを始めた。
 改めてガラクタをため込んでいたことがよくわかった。ただ、息子がコレクションしていたアメリカの戦争ゲームや、ファミコンのゲームはすごく価値のあることがわかった。中には買った時よりも高い値段が付くものもあった。こんなことなら内緒で捨てずに保管しておけばよかった。
 夫が二度と着ることはない背広や革靴も市の清掃センターに持って行った。これで夫は完全に世の中と縁を切った。踏ん切りがついたのと同時に少しかわいそう。
 長男がため込んでいたコレクションをパソコンで売るのに付き合った。白いシーツの上にゲームやプラモデルを置いて写真を撮った。ガラクタに値段つける仕事とわかると楽しかった。日がかげるといい写真が撮れないということで、3時には作業終了。
 たくさん売れたら明日はお寿司が食べられるかも。

2019年2月9日(土) 私の日記

 午前中から、家のガラクタの整理。シミュレーションゲームや任天堂のクラシックゲームがeBayで高値で売れるとわかっていたので。出品してみた。
 英語に悪戦苦闘しながらもなんとか一品目を出品すると、15分くらいで最初の入札があった。スーパーマリオやドンキーコングはライバルが多くなかなか買い手がつかないが、希少価値が高そうな『バトルフォーミュラ』は開始数時間で500ドルを超えていた。新幹線の定期代くらいになるといいが週末のオークション終了がたのしみ。
 母がオークション用の撮影作業を楽しんでいた。「これを一生懸命やたら会社に行かなくてもいいね」なんてことを言いだしたが、それほど甘くないだろうと思う。
 明るい話題がめっきりなくなった我が家だが、日々小さな娯楽を見つけ出す努力をしていけば、いいことがあまりなかった母の人生も少しは報われるのではないかと思う。
 夕方、散歩に出かけると嘘を言って高木弁護士のところに行き父の自己破産のタイミングを話し合う。自己破産となればわずかな生活資金を残して父の持ち物はことごとく売り払われる。父の借金を整理した時、家を自分名義にしておかなかったことを悔いるばかり。父は家族に何一つ残すつもりがなかったようだ。

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