「思想って危険なものではない」という話

〇〇思想、XX思想を読んでいる。

そう言われると、
「思想?危なくない?」
と家族に言われました。

そこで、言われた一瞬は分からなかったのですが、
「思想=危険なもの、宗教的な何か」と、
自分の中で思い込んでいるからこそ出る言葉なのだと。
次の瞬間に分かりました。

思想、という言葉は、日常を普通に生活していると聞くこともありません。

教養主義が蔓延していた明治~大正の時代であれば、違ったのでしょう。
マルクス主義を読んでいないとバカにされるとか、
海外で流行っている教養を知っていないとエリートとはみなされない時代があったのです。

戦前の日本では、海外に追いつこうと必死に文化も技術も取り入れ、急速に発展していました。
だからこそ、国の将来のエリート、経営者になるような人は、教養が一番大事だったと思うのです。

それらを受け入れていたからこそ、欧米並みの技術と精神文化や法律などを取り入れ、発展していたと言えます。

そんな時代であれば、
海外で流行っている宗教、哲学、思想を「知っていないといけない」という空気もあったのかもしれません。

しかし、現代では生まれた時からパソコンがあって、
今ならスマホやタブレットがあって、
娯楽には事欠かない。
いわゆる、「足りないものの方が少ない時代」なのです。

今は別の意味で(主に金銭的な意味で)苦労している時代です。

そのような恵まれている時代では、教養を高めようとする人の方が少数派。
仕事に行って、お金を稼いで、家族平和に暮らせたら良いと思う人が増えました。

それに、最近では思想関係の事件が目立ちます。
テロ組織、オウム真理教、統一教会……
そういったニュースを見ていて、思想=危ないものだと、
感じる人が多いのかもしれませんね。

しかし、思想というものは、
勉強をするにしても、モノを作るにしても、今の生活ですら、思想がなければ作られません。

思想は危ないと思う人でも、義務教育という社会人になるための教育はみんな受けていますし、生活の中で覚えた常識もあります。
思想というのは、それなしでは何もすることができない、行動原理、知恵を作る元です。

どこにでもありふれたもので、哲学でも心理学でもなんでも、
使う人がどういう意図によって、使っているのか?
怪しい、騙されたと感じるものでも、
・お金を取ろうとした
・税金を納めてもらうための教育 など、
目的に応じて、その姿を変えるものです。

心理学も悪用すれば、詐欺師になるし、
経営も会社の利益だけを考えればブラック企業になります。

要は、その出来事の裏で、どんな人がどんな意図で起こしてしまった事件なのか?を、受け手が読み取る必要があると思うのです。

ただ日々のニュースとして受け取っていれば、
会社は悪いことをしている!
芸能人は欲にまみれている!
政治は自分たちのことしか考えていない!
ロシア国民は悪い奴だ!(昨今のウクライナ戦争の風評被害ですね)
と、「〇〇=悪い」という単純明快な図式が出来上がってしまう。

それとは反対に、自分から関連の本を読んでみたりして、積極的に情報を読み取ろうとしている人もいます。
そのような行動をできる人であれば、ニュースひとつ聞いても、
「あの本で書いてある事件に繋がっているのだな」「この歴史上の繋がりがあるからだな」と、謎を紐解いていくように分かってきます。

とある思想の考え方が元で、起こった事件は確かにあります。
しかし、それらはよく読み取ると、政治上の対立や、所属しているコミュニティのトップが暴走したことが殆ど。

だから、思想を受け取った側の問題なのです。



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