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マザーグース(3)

マザーグースの歌をご存知ですか?
マザーグースと言えば、ハンプティ・ダンプティなどが有名ですね。

子守歌からあそび歌、あたりまえなことを口ずさむ歌や、歴史的事実が元となった風刺歌まで実に様々なものがあります。
それらは空想の産物とは異なり、まさに生きて目にする光景を元に、または直接ストレートに詩にしたかのような生々しさを含んでいます。
不気味でリアルで、あるいはナンセンス。
そんなマザーグースの1部を、
谷川俊太郎さん訳バージョンから抜粋してご紹介します。

ちっちゃなボー・ピープ ひつじたちがいない
 どこへいったか けんとうもつかぬ
ほうっておおきよ かえってくるさ
 ちゃんとしっぽを くっつけて

ちっちゃなボー・ピープ ぐっすりねむった
 ひつじのないてる ゆめをみたけど
めがさめてみりゃ ただのそらみみ
 やっぱりみんな どこにもいない

そこでちっちゃなつえを とりあげ
 みつけてやるぞと こころにきめた
みつけたことはみつけたけれど かなしいことに
 ひつじはしっぽを わすれてきちゃった

あるひのはなし ボー・ピープ
 ちかくのまきばへ まよいこんだ
ところがあったよ ひつじのしっぽ
 ずらりとえだに ほしてある

ほっとひといき なみだをふいて
 おかからおかへ てくてくあるき
しかたがないよ ひつじかいなら
 しっぽをいちいち またくっつけた

セント・ダンスタンはそのむかし
まっかにやいたやっとこで あくまのはなづらつかまえて
ひきずりだしたということだ あくまのすごいわめきごえ
となりむらまできこえたそうだ

(抜粋元:講談社文庫 マザーグース 谷川俊太郎訳)

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