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個別指導は本当に個別で

 月・火曜は、学校教育の話です。今回は、ここしばらく続けていた「全体指導→個別指導」の話を一区切りします。

 「難しい子」がいる学級では、「難しい子」の指導を優先したくなりますが、まず覚悟を決めて全体指導を優先します。そして、「難しい子」以外の全員と確実に心が通じ合うようになったら、「難しい子」に対応する…と、これまで書いてきました。
 では、どうやって「難しい子」に対応するのか。
 私の場合、順番に一人ずつ対応していきます。
 例えば、「難しい子」が学級に四人いたとします。その四人の中で、最も早く結果が出そうなのは誰か、次に結果が出そうなのは誰か…の様に考え、対応していく順番を決めます。そして、その順番に個別指導していきます。
 先程の例について、もう少し詳しく説明します。これまでに出会った子の様々な条件をミックスして、四人は以下の様な子だと設定します。
 Aさん→様々な事に興味があり、つい立ち歩きしてしまう事が多い。
     注意すると座ろうとするが、次の興味がわくと指示を忘れる。
 Bさん→基本的には授業へ参加するが、急に指名すると答えられない。
     内容によっては、順番に指名していても答えられない。
     無理に答えさせようとすると、泣き出してしまう。
 Cさん→自分の興味のない学習には全く参加しない。
     注意しても返事だけで、行動に移そうとはしない。
     興味のない時間割の日には学校へ来ない事もある。
 Dさん→こだわり行動が強く、作業を終わらせないと次に進めない。
     急な予定変更があるとパニックを起こす。
 もちろん、これは架空の設定ですが、こんな感じなのが実態です。最近の小学校は。
 この場合、私だったら、BさんorDさん(両方同時もあり得ます)→Aさん→Cさんの順番で対応するでしょう。
 指名すると答えられないだけで、Bさんは普通に学習へ参加できます。そうであれば、授業中に細かく関わるようにする事で、Bさんの抱えている問題を改善する事が出来る可能性があります。
 Dさんも、見通しが立たないとパニックを起こすのであれば、逆に、細かく見通しを立てさせる事で改善の可能性があります。特に、「これは、こだわりそうな活動だな」と予想できるなら、前もって、「この活動は、何時何分になったら途中でも切り上げてほしいけど、それは出来そうですか」などと約束する事で、スムーズに切り上げさせる事が出来るかもしれません。
 Aさんは、先の二人よりは関わる回数を増やす必要があります。注意するだけでなく、出来ている事を認め、褒めていくためには、かなり関わらなくてはなりません。その時間を確保するためにも、順番としては後にせざるを得ない訳です。
 そしてCさんですが、この子は長期戦で取り組む必要があります。家庭との連携も必要ですし、Aさん以上に関わる必要があります。ですから、最も後にする必要があります。
 実際には、全体指導している期間にも少しは関わっています。また、順番を決めたからと言って、順番ではない子には全く関わらない訳ではありません…が、重点的に関わるのは順番の通りに進めます。
 これは、私が不器用なB級教師である…と言う事が大きな理由です。複数の子供たちへ平行して指導を進める事が、どうにも苦手なのです。そのため、重点的に関わる子は一度に一人ずつと決めている訳です。
 もっとも、「選択と集中」と言う言葉がありますから、この考え方自体は完全に間違いとはならないでしょう。また、実際には、こうやって一人ずつ集中的に対応する事で、思ったより早く結果が得られる事も多いのです。
 長々と書いてきましたが、「難しい子」のいる学級を担任したなら、「全体指導→個別指導」で進めた方が確実だ…と、私は思っています。

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