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圧倒的な力の面白さ『オーバーロード』

 木曜はライトノベル愛を語ります。
 今回は『オーバーロード』を紹介します。簡単に内容を紹介すると、体験型ゲームの世界に転生ならぬ転移してしまった主人公モモンガは、その世界を支配するべく行動を開始する…って感じでしょうか。雰囲気としては「異世界転生」物のノリの作品です。
 他の「異世界転生」物と大きく異なるのは、主人公モモンガは一般的に言えば「悪役」の存在だという事でしょう。
 他の作品の主人公は、例えば『本好きの下克上』なら本を世界に広めるため、『無職転生』なら真っ当な人生を送るため、『くまクマ熊ベアー』なら自分が楽しく生活するため、それぞれ異世界で努力をします。その目的は「自分のため」的ですが、行動する際の倫理は、割と一般に認められる倫理観に基づいています。
 本作の主人公モモンガも、「自分たちが作ったギルドを守るため」という、それ程は間違っていない目的のために行動します。ただし、モモンガたちが作ったギルドは人外の存在だけで構成された、人間から見れば「混沌の勢力の軍団」です。それを守ろうとすれば、どうしても人間の勢力とぶつかり合う事になりますし、結果として「悪役」のような活躍をする事になってしまいます。
 『オーバーロード』の面白さは、この一種ピカレスクロマン的な、悪役っぽい活躍にあります。
 更に、その面白さを増すのが、モモンガたちの圧倒的な強さです。主人公モモンガをはじめ、彼が守ろうとしているギルドの主要メンバーは、この世界の標準的な「強い人」の100倍以上強いです。この世界の強い人とモモンガが対決すると言うのは、幼稚園の年長組の子が大相撲の横綱と相撲をするようなモンです。まぁ、全くと言って良いほど勝負になりません。
 スティーブン・セガールさんの『沈黙の戦艦』や『暴走特急』を観た方は分かると思いますが、主人公が圧倒的に強いアクション映画って、意外に面白いです。それまでは「強いヤツ」と思われていた敵を、「単なるザコ」として一蹴する主人公に、観ている我々はスカッとするからでしょう。『オーバーロード』のモモンガたちも同じで、圧倒的な力で敵(もちろん、「イイ人」も沢山います)をねじ伏せていく様子に、スカッと爽快感を感じてしまうのだと思います。
 他にも面白い要素はあるのですが、ちょっと長くなってます。それは次回とさせていただきますね。

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