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梅田悟司 著「捨て猫に拾われた僕」読書感想

この度マイホームを建てることになった我が家。
それを機に「猫欲しいなー」「猫飼いたいなー」と無責任につぶやく夫と娘。

「誰がにゃんこの面倒みるの?」と聞くと二人同時に私を指差す。
「あんた達ね、可愛いという理由だけで生半可な気持ちで飼うもんじゃない!」と怒る私。

だからというわけでもありませんが、本屋でふと目に入ったのが「捨て猫に拾われた僕」という文庫本のタイトル。副題に「きみが教えてくれた生き方のヒント」とあります。

著者の梅田さんはコピーライター。タウンワークの「バイトするなら、タウンワーク。」やジョージアの「世界は誰かの仕事でできている。」のコピーライティングやベンチャー企業のコミュニケーション戦略を立案されるだけあって、言葉の表現の仕方が非常に面白い方です。

元々梅田さんは幼い頃から実家で千早ちゃんという名前の柴犬を飼われていたためどちらかといえば猫より“犬派”でした。しかし、梅田さんが妻様と呼ぶご自身の奥様に「私、猫的だし」と押しきられる形で猫の里親会に参加。そこでのちに梅田さんご夫婦に大吉くんと名付けられる黒猫ちゃんと運命的な出会いを果たします。

その大吉くんとドタバタながら過ごすうちに人間として忘れかけていた、生きていく上で気持ちが楽になるような大事な教えを学ぶ、という本です。

第1章は生活・暮らし
第2章は仕事・自己実現
第3章は友情・恋愛

とテーマごとに大吉くんから学んだ“人生の教え”が描かれています。

例えば第1章の「生活・暮らし」の中の「人生は極楽のち地獄」では大吉くんは大半の猫と違って“お風呂大好き猫”ちゃんですが、お風呂後のドライヤーの音や風はやはり苦手で大騒ぎするそうです。それを見た梅田さんは「人生山あれば谷あり」と相反する出来事は別々に存在するものではない。二つで一つであり、その人生の極楽地獄の行き来が人生の醍醐味であると気づきます。

同じく第1章の「狭いところがお好き」では予防接種で病院に行く時も猫の勘?が働くのか警戒心を露にする大吉くんに梅田さんは困惑しますが、妻様の機転の利いた提案で洗濯ネットの中に入れられ顔だけ出す大吉くん。まんざらでもないご様子。そのままショルダーバッグに入れられて病院へ。
そして洗濯ネットに入ったまま証明写真を撮られる大吉くん笑
先生や看護師さんに温かく見守られながら予防接種を無事終えることが出来ました。
ここでは梅田さんが数多くの選択をしなければならない場面では自分の身の丈に合っているかどうか、自分が等身大で楽しめるかどうか、を気にかけるようになったそうです。

本の第1章、第2章の各章の後にはコラムとして世界の著名人たちが残した猫に関する名言が掲載されています。

この本は大吉くんの面白おかしいエピソードを交えながら猫のように自然体で、あるがままに日々を過ごすという一見簡単そうで難しい生き方を伝授してくれます。
最近私自身は今後の人生において深刻に考え込むクセがついて何もかもネガティブに物事を捉えてしまいがちでしたが、大吉くんのように慌てず、焦らず、クヨクヨしない生き方っていいなあ、と考え方を見直すきっかけとなりました。

“猫ごとき”と思うなかれ。現代の「猫ブーム」もそのような自然体の生き方が時代の流れにピッタリ合わさったといえるのかもしれません。



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