音速のドラ猫4

とある休日
 
僕は咲を連れて近くの公園を散歩していた。

咲「パパ〜! 真人おじちゃんだ!」

娘の咲が指差す方向には幼馴染で親友でもある
真人が子供の手を引きながら歩いていた。

真人「お、理樹じゃねぇか!元気にしてたか!?」

理樹「真人の方こそ、立派にお父さんやってるじゃん!」

真人「へへへ、まだまだだよ俺はぁ それより、こんにちは、咲ッ」

咲「こんにちは!おじちゃん!」

真人「おぉ相変わらず元気が良いなぁ ほら、大翔 あいさつしなさい。」

大翔「こ、こんにちは…」

大翔くんは真人の足元で恥ずかしそうに僕達を見ている。

咲「ヒロ君こんにちは〜ッ」

理樹「こんにちは、大翔くん」ニッコリ

咲「ヒロくん、一緒に遊ぼう!」

大翔「う、うん!」

咲の言葉を聞いた大翔くんは、真人の後ろから出てきて咲と一緒に遊具の方へ行った。
子供達が遊んでいる間、僕らはベンチに座り話をしていた。

理樹「それにしてもこんな所で真人に会うなんてね。」

真人「俺もびっくりしたぜ。富士の演習から帰ってきた次の日にお前に会うんだもんな。」

理樹「あぁ、そういえば真人は陸上自衛官だったね。仕事の方はどう?」

真人「そっちとあんまりかわらねぇよ。訓練ばっかりさ。ま、それだけ日本が平和って事だなッ!いざって時は俺の筋肉が…」

理樹「ははっ、真人は変わらないね」

真人「おうよ!変わる要素がねぇよ!」

幼馴染の真人は卒業後に陸上自衛隊に入隊した
理由は、筋肉を活かせる仕事をしたいからだそうだ…真人らしい。
そして、入隊後に葉留佳さんと結婚して大翔くんを授かっている。大翔くんは咲と同い年で通っている保育園も一緒だ。
真人は現在、陸上自衛隊のとある部署に所属している。

ただ、両親2人が自衛官であるため家を留守にする事が多い。そのため2人が留守の間は葉留佳さんの双子の姉の佳奈多さんが面倒を見ているそうだ。

priririririri

真人「はい、井ノ原です。はい…了解です。すぐに戻ります」

電話を切り終えると真人はいつもより真剣な眼差しになっていた。

理樹「何かあったの?」

真人「ちよっとな…大翔ッそろそろ帰るか〜」

大翔「僕…もうちょっと遊びたい…」

咲「あたしも遊びたい!」

真人「う〜ん…参ったな。」

理樹「じゃあ、後で僕が家まで連れて行くからもう少しだけ遊ばせてあげてもいいんじゃない?」

真人「良いのか?理樹」

理樹「構わないよ〜」

真人「そうか!助かるぜ!んじゃ、大翔 いい子にしてるんだぞッ!」

大翔「うん!パパ」

真人「ほいじゃ、頼んだぜ理樹ッ」

そう言い残して真人は走り去った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー 松原家 ー

玄武「焼けた?唯湖」

唯湖「うむ、そうだな。この肉はいける」

玄武「お〜美味そうに焼けてる〜」

唯湖「はっはっはっはっ」

豊「流石、唯さん」

ひまわり「はい、翔 あ〜ん」

翔「あ〜ん」

唯湖「うむ、翔くんも大きくなったな。お姉さん嬉しいぞ」

翔「ありがとう〜」

ひまわり「もう、6歳だからね〜 時間が経つのって早いよね〜」

唯湖「そうだな ウチの由紀も気づけば5歳か」

玄武「まさか、俺がパパになるとはねぇ」

豊「それを言っちゃ俺だって父親になるとは思わなかったぜ。」

翔「????」

由紀「???」

2人の子供の頭上には〔?〕が浮かび上がっていた。

玄武「さ、食った食った 食わないと俺が食っちまうぞ」(意味深)

何故だろうか…玄武が言うと凄く変な意味で聞こえてしまう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数日後…

ーアラート待機所ー

理樹「今日は静かだねぇ」

豊「だな。この季節は例年多い気がするけど、今年はそうでもないな。」

玄武「敵さんも休息日なんかねぇ?」

葉留佳「デスね〜」

理樹「ところで…何で玄武がここに居るの?」

豊「それは思った」

玄武「当直だからです。」

理樹「あれ?この間も当直じゃ…?」

葉留佳「あ〜今日当直予定だった岡崎1尉が体調不良でして…やはは、次のアラートを変わる代わりに交代したんデスよ〜」

豊「なるほどな。それにしても俺たちが一緒にアラート待機って珍しいな。」

玄武「そうやね。この間の戦技会の件も関係してるんじゃない?」

理樹「なるほど。そう言われてみれば…確かに最近僕らが一緒に飛ぶことが増えたよね?」

葉留佳「そうだね、期待されてるんデスかね」

発令士官「お、嬢ちゃんもメンバー入りしたんかい。ええこっちゃええこっちゃ」

新聞を読んでいた発令士官が声をかけてきた。

葉留佳「まだ、暫定的で確定では無いンデスけどね〜」

発令士官「それでも、選ばれるって凄いじゃねぇか。今まで何人ものパイロットを見てきたが女子で若くして選ばれるのは珍しいよ。」

豊「あれ?おやっさん幾つなんですか?」

発令士官「来年にゃ定年よ。まさか三沢が最後の勤務地になるとはなぁ…」

理樹「前はどこに居たんですか?」

発令士官「ここに来る前は築城、その前が新田原だったかなぁ…長い間自衛官してると自分がいつどこに居たとか忘れるんよ」

玄武「そう言うもんなんすかね?」

その時…

ジリリリリリリン

発令士官「はい、アラート待機所」

防空発令所からの連絡だった。
新潟のレーダーサイトで日本海を南下してくるフライトプランに該当しない国籍不明機をキャッチしたとの情報を得たらしい。

発令士官「了解しました。待機させます。
日本海を南下中の国籍不明機だそうだ。」

発令士官の言葉に僕らは俄に緊張した。

理樹「大陸からだとすると…」

豊「この辺りだな。」

玄武「また、バジャーかな?」

葉留佳「ミグやスホーイかもしれませんネ…」

発令士官「とりあえず、スタンバイに入れ」

全員「了解ッ」

僕達はいつでも緊急発進出来る様にスタンバイに入った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〜 日本海上空 〜

???「この辺りは、そろそろ日本の防空識別圏に入るような気がするのです…」

今、私はどの辺りを飛んでいるのでしょうか?
訓練飛行を終えて基地に戻る途中に落雷に遭いコンパスが故障してしまったのです。

???「わふ……嫌な予感がするのです…」

私の機体はMIG-24R(フェンサーR)偵察飛行に特化した旧世代の偵察戦闘機だ。

???「無線機も壊れているのです…」

私は一生、このままこの空を彷徨い続けるのでしょうか…寂しい…皆に会いたいのです…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〜北部防空司令所(北部SOC)〜

女性「SIFコードに該当する機体なし。」

部長「ふむ、露からのお客さんか…」

女性「最近多いですね…部長」

部長「佳奈多くんもそう思うかね?」

佳奈多「ええ、中国の動向は相変わらずですが…露も最近は活発な傾向があります。」

部長「私もそう思うよ。」

彼女は熊岡 佳奈多1等空尉 北部防空司令所で
頭脳明晰で冷静な迎撃管制官だ。
空自で異例の最年少1等空尉でもある。
そして、夫は114飛行隊班長の熊岡3佐だ。

副長「部長、間もなく防空識別圏に入ります。三沢にスクランブルをかけますか?」

部長「うむ、三沢にスクランブルを発令」

佳奈多「了解、 北空SOCより三沢へ」

三沢AR〔こちら、三沢AR 〕

佳奈多「スクランブル発令 当該機SIFコードなし。速やかに確認せよ」

三沢AR〔了解、ホットスクランブルをかけます。〕

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〜三沢基地 アラート待機所〜

スタンバイの指令が入ってから1時間…

理樹「……。」

張り詰めた空気が流れる…その時

ジリリリリリリン

赤色のホットラインが鳴り響く。

発令士官「はい…01スクランブル!」ポチッ

ビーッビーッビーッビーッビーッ

発令士官が叫ぶのと同時に僕らは格納庫に向けて走り出していた。
数秒後には機体のラッタルを駆け上がり、コクピットに収まっていた。

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥンッ

エンジンに火を入れる。暖気と全てのチェックが終わり管制塔と交信する。

理樹「TWR Altair06 flight checkin 
order scramble」
(アルタイル06  スクランブル発令)

TWR〔Altair06 unknown vector160 angel330  by gate Follow data Link。
read back〕
(アルタイル06 国籍不明機は方位160° 高度33000ftを飛行中 離陸後はデータリンクに接続し接近 復唱せよ。) 

理樹「unknown vector160 agl330 by gate 
Follow date Link 」

僕は管制官からの無線を復唱した。

TWR〔read back is collect Altair06〕
(アルタイル06 その通り)

理樹「roger Altair06」
 
玄武〔05〕

TWR〔Altair06 wind is calm runway16R 
 cleared for take off〕
(風は微風 滑走路16Rから離陸せよ。)

理樹「roger Altair06」

玄武〔05〕

アラート待機所のある場所から滑走路はほぼ一直線だ。機体を真っ直ぐ進め、ファイナルポイントに機体を停止させる。

豊〔final check clear〕
(最終確認終了)

豊からシステムの作動確認終了を知らせる無線

理樹「roger  clear for takeoff」
(了解、離陸する)

スロットルレバーを100%まで上げ、フットブレーキを緩める…途端に機体が動き出しフル加速で滑走路を駆け抜ける。

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ

豊〔V1…VR.V2…… positive〕

理樹「gear up」

瞬く間に三沢の街が遠くなった。
2番機の玄武も少し間を置いて離陸した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー114飛行隊隊舎ー

結弦「スクランブルか…」

日向「最近多いな。こないだも出撃したぜ」

結弦「日本の領土が欲しい国はその辺にごまんといる…それを阻止するのが我々自衛隊だ。」

俺は同期の日向に言い聞かせるように話した。

日向 秀樹 2等空尉 TACネーム(ヤンヨー)
俺と同期で、何故かこれまで配属された部隊も一緒だった。もしかしてコレなのか?
TACネームの由来は奥さんにプロポーズした時の言葉が「俺が結婚してやんよ」だった事で〔ヤンヨー〕となった。

日向「急にそれっぽい事言うなよ…」

結弦「お前でもビビることってあるんだな。」

日向「そりゃああるさ、俺だって人間だし」

祐介「結弦、何の話してんだよ?」

結弦「あ、祐介さん。いえ、コイツも結構ビビリなところがあるって話をしてたんですよw」

祐介「へぇ〜ひなっちにも怖い物があるんだ〜?」ニヤリ

高崎1尉が不敵な笑みを浮かべる。

ゆり「意外ね」

3人「うおっと!?」

ゆり「さっきからずっと居たんだけど?」

祐介「全く気づかなかった…」

結弦「お前…気配を消す術でも覚えたのか…」

日向「まぁ、ゆりっぺだからなぁ…」

ゆり「ゆりっぺ言うなッ」

全員「wwwwwwww」

祐介「あ、そうそう聞いたか?戦技会の話」

結弦「ええ、理樹か松のどちらかを選ぶって話ですよね?」

日向「アイツらどっちとも成績がいいから甲乙付け難いんだよなぁ〜」

ゆり「副隊長の話では後日、格闘戦をさせて勝った方を選ぶって話でしたよね?」

祐介「そうだね。どっちが勝つやら…」



         続く…


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?