ウイスキー検定 熟成
熟成とは
ウイスキーでは木樽で熟成させる決まりがあります。
蒸留したてのニュースピリッツは無色透明で荒々しいため樽で寝かせてまろやかにすることが目的です。
アルコールにポリフェノールやセルロースといった樽材成分が溶け込むことにより香味成分が付加されます。
国によって最低熟成年数も違いますが、長いものであれば50年以上寝かせたウイスキーも存在しており数千万円で落札されるウイスキーもあるのです
樽の種類
ウイスキーには全てオーク樽が使われています。一番多く使われているのはホワイトオークで学名:クエルクス・アルバといいます。ヨーロピアンオークは学名:クエルクス・ロブール。
熟成ではバーボン樽の使用が一番多く、シェリー樽やミズナラ樽も使われています。
バーボン樽の特徴
アメリカンのバーボンウイスキーやテネシーウイスキーの熟成で使用された空き樽を使います。バニラやバナナ、ハチミツといった風味が得られます。
なぜバーボン樽が多く使われているのかというと元々はシェリー樽も多く使われていましたがスペインの原産地呼称法により瓶詰による出荷が義務付けられ、樽に詰めての出荷ができなくなりました。それにより安価に手に入るバーボン樽が主流になります。
樽のサイズ
バレル
容量180~220リットル
バーボンウイスキーの熟成に多く用いられる
ホグスヘッド
容量220~250リットル
バーボンバレルを解体し側板を増やし大きく作り直した樽
スコッチに用いられることが多い
バット
容量480~500リットル
シェリーバットともいう
シェリーを一定期間寝かせて樽に染み込ませる(シーズニング)
パンチョン
容量480~500リットル
オクタブ
45~68リットル
クウォーター
110~159リットル
55リットル前後のものもある
※熟成に使われる樽には様々なサイズがあります。
容量が大きい樽ほど長期熟成され、オクタブやクウォーターなどの小さい樽は接触面積が多いため熟成が速く進みます
倉庫での熟成方法
ダンネージ式
・伝統的な積み方
・土の上に木のレールを敷き、その上に樽を置き3段ほど重ねていく
・熟成がゆっくり進む
ラック式
・鉄の巨大な棚に収納していく貯蔵法。10段ほどの高さで保管できるため
大量の樽が収納できる。
・樽の出し入れも容易
・ダンネージ式よりも熟成が早い
パラダイス式
・パレットの上に樽を縦に並べる収納方法。パレットを重ねて縦に並べる
ことができるため、ラック式よりも大量に保管できる。
・フォークリフトで移動させるため作業効率が良い
・ラック式よりも熟成が早い
※たまに熟成後のアルコール度数があがっている場合がある。それはアルコールは蒸散し上部の屋根付近に滞留するから。高い位置で保管されている樽はアルコールより水の蒸散が多くなることにより度数が高い
熟成用語
ウエアハウス
樽を熟成させる倉庫のこと
ウッドフィニッシュ
熟成後のウイスキーをさらに別の樽に移し替えて再度熟成させること
これにより新たな香りや味が付加される
エンジェルズシェア
天使の分け前ともいう。樽の中のウイスキーは最初の歳に3~4%、次年度からは1~2%ずつ蒸散していく。天使が飲んだ分だけ美味しくなるといわれている。
ただ暑い気候での熟成はアルコールより水の蒸散の方が早く進行するためアルコール度数が高くなることもある
カスクストレングス
加水せずに樽から瓶詰したもの。
クーパー
樽職人。発酵槽などの修理も行う。
クーパレッジ
樽を製造する作業所
シングルカスク
一つの樽から瓶詰したもの。
ノンチルフィルタード
冷却ろ過を行わずに瓶詰されたウイスキー
白濁されたものが浮き出てくる場合があるが味に影響はない
ノンチルを好むファンもいる
最後に
熟成については多すぎて一度で書ききれないためまた改めて更新します。
知りたい情報がないことが多く困ることがあると思うのでツイッターにて質問を受け付けています。
自分自身もウイスキー検定1級とウイスキープロフェッショナルの資格を持っているため安心して質問してもらって構いません。
本日も読んでいただきありがとうございました!
twitter @rohiwhisky
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