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オフコース アルバム「I LOVE YOU」 哀しき街

メロディメーカー松尾一彦の面目躍如ともいえる逸品ですね。

このアルバム「I LOVE YOU」を初めて聴いた時から、このなんとも言いようのない妖しい世界の虜になりました。この曲も当時繰り返し聴いていたものです。

「せつなくて」や「僕のいいたいこと」など小田さんや鈴木さんにはない松尾さんのキラリと光るセンスを感じます。

作詞は当初大間さんが担当するはずだったのが煮詰まって書けずにいたところ、小田さんが短時間で書き上げたとのこと。流石ですね。

コーラスも秀逸で、そういう意味でも、このアルバムの中で最もオフコースらしい作品かなって思います。このまま五人のオフコースが続いていたら、今までとは違う新しい世界観が開けていたかもと思わせる作品です。

夜が間近に迫った夕暮れ時。淋しさに心がざわめく男たちや女たち。都会独特の孤独な男女の群像をイメージできます。

さすが小田さんと思ったのは、歌詞の3番目で明日の事を語らう倖せそうな恋人たちを敢えて描いたところです。この楽しげな恋人たちを見ているのは、1番や2番の歌詞で登場した哀しい女たちや男たちかもしれませんね。かつての幸せだった時の事を思い出して…

つまり、


あなたと居ると息が止まるほど
切なくてただ倖せで

恋人たちのうちのいずれか一人の女性がそう言ったのでしょう。それを耳にした今は淋しい女性は思ったのです。


誰れか 私を 夜の海辺まで
抱き上げて連れて行って

と…

賑やかな夏の哀しい黄昏時の街。

名曲です。

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