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オフコース 「愛の終わる時」

1980年6月にリリースされたオフコースのシングル「Yes-No」のB面が鈴木さんの「愛の終わる時」であることは当時においても知っていましたし、良い曲であるとも思っていました。しかし、恋に落ちていた当時の私にとっては「Yes-No」が衝撃的過ぎて「愛の終わる時」はあまり心に響かなかったです。

でも、当時の鈴木さんの状況を理解した上で今改めて聴いてみると、「愛の終わる時」は鈴木さんの心からの叫びであると思えてなりません。

オフコース結成当初からクルマの両輪の如く小田さんと音楽活動をしてきた鈴木さん。その集大成とも言える名盤「ワインの匂い」。鈴木さんは、おそらくこの路線で続けていくつもりだったのでしょう。しかし、より飛躍を遂げたい小田さんはオフコースのバンド化へ舵を切り、鈴木さんもそれを承諾。その結果、オフコースは小田さんをリーダーとするバンドとなり、小田さんの作品がオフコースの音楽のイメージとなってしまった。鈴木さんとしてはオフコースを辞める選択肢しか残っていない状況です。

愛の終わる時


今もう君が見えない
空っぽの高い空
生き方が違うのさ
とても疲れたの
もう終わりにしたいの
なぜあの時
うなずいたんだろう

この1番の歌詞は鈴木さんの心情そのままって感じです。

「あの時」とはいつのことでしょうか?
バンドになることを承諾した時でしょうか?
小田さんをリーダーとしてプロモーションしていくことを承諾した時でしょうか?


戻って そこから
足を止めて

この段階、1980年6月の段階では、鈴木さんの中にまだオフコースに留まるという気持ちも少しはあったような気がします。


君が歩き出す
愛が消えそうになる
呼び止めたい
言葉にならない

オフコースはバンドとしての道を歩き出し、ビッグネームとなってしまった。
しかし、自分の中ではオフコースに対する気持ちが冷めていくだけ。
自分の気持ちをメンバーに伝えたいけど、言葉にならない。

シングル「さよなら」のB面では、「汐風のなかで」という出会いを歌った鈴木さん。
シングル「Yes-No」のB面では別れを告げようとする情景の曲「愛の終わる時」を歌った鈴木さん。それぞれA面とB面の情景が真逆であることも興味深いですね。

自分の苦しい心境をサラッと歌い上げた鈴木さん。そういう事情を度外視して、純粋に別れの曲としても名曲だと思います。

小田さんはどういう想いでこの曲のコーラスをしていたのか気になるところです。

こういう内情を抱えながらも、オフコースは名盤アルバム「We are」を産み出していくのです。

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