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『すずめの戸締まり』【2022アニメ映画】

【コメント】2024年4月21日投稿

Netflixで視聴済。思った通りの作品でした。過去の「君の名は。」「天気の子」と同様、私のような常識に凝り固まった頭では難解でつまらないと感じてしまう。なので、別の角度から観る必要があります。一つ一つの現象の意味を考えず、空の美しい映像と行動力抜群の女子高生を楽しむアニメだと思ってみると結構楽しい作品。新海監督は、この作品に次のメッセージを込めたそうです。「どんなことを経験しても、その後も人は生きていくことができる。今、辛いことがあっても、来年の今頃は笑っているかもしれない。苦しみや困難の先には希望がちゃんとあるし、過去の自分に「だから大丈夫だよ」と伝える未来の自分がきっといる。そんなことを伝えたくてこの作品を作りました。」と聞いてみて、なるほどと少し理解出来ました。

教室で授業中走り回ったり、ぼっーと空を観ている学習障害の子供と似ています。その子のことを知らなければ「席に着きなさい」「先生の話を聞きなさい」と怒られます。障害と知っていれば何も言わない、という感覚です。この例えが適正かどうか、ですが私は新海監督の作品を観ると思います。では、また。

【作品情報】

『すずめの戸締まり』、2022年(令和4年)に公開のアニメ映画。脚本・監督は新海誠氏。日本各地の廃墟に点在する災いの出口・“扉”を閉じていく少女の解放と成長。

【主な登場人物】
岩戸 鈴芽 声 - 原菜乃華

本作品の主人公。2006年5月24日生まれ。出身と故郷は岩手県宮古市赤前地区。宮崎県の静かな町で叔母の環と2人で暮らす17歳の女子高校生。4歳の頃に母親を亡くす。
母の形見の脚が一本欠けている椅子を大切にしている。

宗像 草太 声 - 松村北斗

「閉じ師」として日本各地の扉を閉める為に旅をしている青年。2002年2月24日生まれ。ある廃墟に向かう途中で鈴芽と出会うも、後にある出来事によりすずめの椅子に姿を変えられてしまう。家業である閉じ師とは別に、父に憧れて教師を目指しており、教育学部に在籍している。寝相と寝起きは悪い。

ダイジン 声 - 山根あん

人間の言葉を話す白い子猫の姿をした神獣。扉が存在する場所に現れては鈴芽たちを翻弄する。街の人々から白くもっさりと蓄えたヒゲが昔の大臣のように見えることから「ダイジン」と名付けられており、以降鈴芽達からも呼ばれている。
幼い子どものような無邪気で気まぐれな性格。実はすずめが最初にたどり着いた廃墟の後ろ戸を封印していた西の要石であり、何も知らないすずめが引き抜いたことによって、猫の形を象った石から元の姿に戻って逃げ去ってしまう。やせこけた姿ですずめと再会した際に彼女から親切にされ「うちの子になる?」と声をかけられた嬉しさからすずめに懐き、傍らにいた草太を邪魔ものとみなして呪いをかけすずめの椅子に姿を変えてしまった。怒った草太に追いかけられると同時に逃げ出し、後を追うすずめたちをその先々で開いていく後ろ戸へと導いていく。
草太の家にあった閉じ師の古文書には、江戸時代に白要石になった者についての記述がある。それによると、先代の白要石がミミズに敗れて消えたために寅の大変が起こり、その際に大和国の三輪山で震災遺児となった子どもが、当時の閉じ師に自ら申し出て、『白き右大神』と言われる新たな要石となったという。

【ストーリー】

宮崎県の静かな町で叔母・岩戸 環(いわと たまき)と暮らす17歳の女子高校生・岩戸 鈴芽(いわと すずめ)はある日夢を見る。一人の幼い少女が廃墟も立ち並ぶ草原の中をひたすら歩き、母を探すも見つからず疲れ果て蹲る。そこに一人の女性が歩いてくる。その女性を少女は見つめるがその瞬間鈴芽は夢から目覚めてしまう。

2023年9月25日。鈴芽は青年・宗像 草太(むなかた そうた)と登校中すれ違う。鈴芽は彼が気になり通学路を引き返し後を追い、山中の今は廃れたリゾート地にある廃屋で水溜りの中に佇んでいた一つの古い扉を見つける。鈴芽は何かに引っ張られるように扉に手を伸ばし、引き込まれる。その扉の向こうの世界には、広い草原と全ての時間が混ざりあった空があった。鈴芽はその世界に驚愕し足を踏み入れようとしたが何故か世界に入れず、足元にあった猫の形をした石を見つける。好奇心からその石を持ち上げると白い猫に姿を変え逃亡し、それを見た鈴芽も堪らずその場から去っていった。

鈴芽がようやく登校し友人らと昼食を取ろうとした時に窓の向こうの山から煙が登っているのを目撃するが、彼女以外誰にも見えていなかった。その時緊急地震速報のアラームが教室中に響き渡る。揺れは直ぐ収まったが鈴芽は煙が赤黒くなり空へと登っていくのを目撃するもこれも彼女以外誰にも見えなかった。堪らず彼女は再び廃屋へと向かうがそこには必死に戸締まりしようとしている草太の姿があった。彼は鈴芽に警告するも煙のようなものの勢いに押され吹き飛ばされる。鈴芽は駆け寄るが地中から金色の細い糸が現れ煙に付着すると煙が倒れ町中を再び地震が襲う。落下してきた鉄骨から鈴芽を庇い怪我を負いながらも草太は再び戸締まりしようとし、そこに鈴芽も加わる。草太が何かを唱えたその時、幾つもの温泉街が繁栄していた頃の人々の声が鈴芽の耳に入り二人は戸締まりに成功する。

その後怪我した草太を介抱するため鈴芽は家へ向かう。彼は『扉』を探して締めることで、要石で封印していた日本列島の下をうごめくミミズの暴走を防ぐべく仕事をしていたことを伝え互いに自己紹介を済ますと痩せた白い猫が再び現れる。鈴芽が餌を与え「うちの子になる?」と話すと「うん」と人間の言葉で返す。更に「すずめ、優しい、好き」「お前は、邪魔」と話した瞬間、草太は鈴芽がまだ幼い頃に使っていた三本足の椅子に姿を変えられてしまう。二人は驚き草太は白い猫を追い二階の窓から飛び降りる。続けて鈴芽も追おうとすると彼女が心配で帰宅した環と鉢合わせになるが鈴芽は急いで向かう。彼女は通行人らの注目を浴びながら白い猫と草太が乗船したフェリーに乗船する。草太は猫と対峙するも猫は巡視船に飛び移り逃げられてしまう。

フェリーで一晩を過ごした鈴芽と草太は愛媛に到着したのちに猫を探す。猫は各地で人々の注目を集め、SNS上では「ダイジン」というあだ名を付けられていた。一方、鈴芽と草太は道中ですれ違いざまに原付から落ちたみかんをキャッチしたことで、民宿で働く海部 千果(あまべ ちか)と出会う。千果と会話をしている最中に二人は再びミミズを目撃する。千果の協力も得て二人は後ろ戸がある中学校に辿り着き後ろ戸を締める。その後千果の民宿で一晩を過ごし別れた二人はダイジンを追うため、ヒッチハイクをしようとしたが中々うまく行かず、さらには雨も降り始めたことからバス停に向かう。そこへ立ち寄ったスナックのママ、二ノ宮 ルミと出会い、彼女の助けを得て神戸へと向かう。ルミの子どもたちの面倒を見ながらスナックの手伝いをしていたが席に座っていたダイジンを目にする。追いかける道中でまたもミミズを目撃し、二人は後ろ戸がある廃れた遊園地に向かい、草太はダイジンを捕らえようとタックルするが遊園地の電源が作動し鈴芽は観覧車で落下しそうになりながらも奮闘するが窓から再び夢で見た光景を目にして触れようとする。その様子を見た草太は急いで彼女の元に向かい呼びかけ、鈴芽は気を取り戻し観覧車の後ろ戸を締める。その後ルミのバーで一夜を過ごし駅でルミと別れる。

二人は東京に到着し草太のアパートへと向かい部屋で様々なミミズに関する文献を読み漁っていた時、草太の友人の芹澤 朋也(せりざわ ともや)と出会うが小さな揺れが襲い、鈴芽は部屋の外に出ると近くで動いていたミミズの姿を目にする。彼女と草太は急いで後ろ戸の元へと向かうがダイジンも現れる。二人はダイジンを追い、後ろ戸は地下にあることを知るがその時再び揺れが襲い、東の要石も抜けてしまったことに気がつく。一人でミミズに飛び乗った草太の後を追うように鈴芽もミミズに飛び乗り、二人は東京上空に上昇する。ミミズは空へと高く登り始め、やがて広がっていき東京の上空を覆ってしまう。そしてダイジンと対峙した二人はダイジンに説得するもダイジンは草太に「かなめいしはおまえだ」と伝える。草太は段々凍りついて行き要石と化してしまう。その様子を見た鈴芽は涙を流すがミミズが地面に向かって落下し始め、要石になった草太を刺すしかないと悟った鈴芽は要石をミミズに突き刺す。ミミズは爆散し鈴芽は空から落下するがダイジンがすずめを守る。地下ですずめは後ろ戸の向こうの常世でミミズに刺さっていた草太を目撃するがやはり常世には入れなかった。そこにダイジンが鈴芽の元にすり寄るが彼女はダイジンを拒絶する。ダイジンはみるみる痩せていき何処かへと立ち去る。後ろ戸を締め、地上に出た鈴芽は草太の育ての親であり閉じ師の師匠でもある祖父の宗像羊朗の入院している病院へ行き、常世へ入る方法を聞く。草太を助けに行くことを決意し草太の部屋で身支度し出発すると御茶ノ水駅前で芹澤に声をかけられそこに鈴芽を迎えにいくために来た環も鉢合わせする。更にダイジンも乗車し一同は東京を発つ。

一同は道の駅大谷海岸に到着する。彼女を心配していた環は鈴芽と口喧嘩をする。鈴芽とダイジンは側にいた巨大な黒い猫に気付く。猫は「サダイジン」と名乗りダイジンは応戦するも咥えられる。一同はサダイジンを載せ実家へと向かうがオープンカーが道路を逸脱し、走れなくなってしまう。それに焦った鈴芽は二匹と実家へ走って向かい、環も廃棄されていた自転車を見つけて後を追う。鈴芽達は今は無き実家の跡地に辿り着く。近くを掘り「すずめのだいじ」と書かれた缶を見つけ開き、日記帳を見つける。開くと3月11日からページが黒く塗りつぶされていたが最後のページには夢で見た光景、そしてかつての彼女を常世へと導いた一枚の扉が描かれていた。彼女は扉を探しダイジンに声をかけられ、後を追うと草木に覆われた今は錆びた扉を見つけ、ダイジンはこれまで後ろ戸のある場所に案内していたことに気づいた鈴芽はダイジンに礼を言い、元気を取り戻したダイジン、サダイジンと共に常世へ向かう。

常世へと入った鈴芽とダイジン、サダイジンは再び扉から抜け出そうとするミミズを目にし、サダイジンが巨大化して応戦する。鈴芽はダイジンと共に要石と化した草太の元に駆け寄り抜こうとするも抜けずダイジンも加わり必死に抜こうとすると鍵が光り草太の声を耳にする。鈴芽は完全に凍りつきかけていた草太を救い、そして要石を引き抜いたのだった。鈴芽はようやく草太と再会するがダイジンは力尽き「鈴芽の手で 元に戻して」と話し要石へと姿を変える。草太は祝詞を唱え、鈴芽は人々の声を耳にする。サダイジンの手により空中へと転移した二人はミミズの先頭に要石を突き刺す。ミミズは倒れやがて草木が生い茂った丘へと姿を変える。燃え盛っていた周辺も広い草原と化していった。

その後鈴芽は、常世に迷い込んだ幼い鈴芽を見つける。母を探す彼女に、かつて夢で見た白い服の姿で駆け寄り諭すが、幼い彼女は諦めず泣きながら母を探そうとする。鈴芽は幼い彼女に再び諭す。幼い彼女が「お姉ちゃん、誰?」と問うと鈴芽は「私は、すずめの、明日」と答え、三本足の椅子を託す。幼い彼女は扉から出ようとし振り返ると、その丘には一人の女性と男性が見守っていた。全てが終わり二人は常世から帰還し、鈴芽は「行ってきます」と呟き扉を締めた。その後草太と別れ、鈴芽は、草太と辿った道を環らと辿り帰路につく。

戸締まりの旅から数か月後の、ある2月の朝。鈴芽は登校中に草太とかつてすれ違った通学路で彼女に会いに来た彼の姿を見つける。そして鈴芽は「おかえり」と話しかけ、微笑んだのだった。

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