森の主(ぬし)。
蓼科山麓のとある森の中。
人知れず鎮座される巨木の物語。
出会い
その巨木と初めて会ったのは8年前の事、時期は3月初旬。
バックカントリースキー(BC)が趣味の私は当時、周辺の森を登り滑り、新ルートを開拓していた。何度も遊んでいたこの森をその日は別の方向へと滑って行った。なだらかなメローな斜面であった。
そして大きな一本のカラマツと出会った。
大きく美しい樹形、迫力のある洞(うろ)。ただならぬ雰囲気を醸し出す巨木。
このカラマツの引力とも言える魅力にこの年3回会いに行った。
藪漕ぎ
登山道からそう遠くない森に住む大カラマツ。この巨木の事は近くを通るたび気になっていた。
だがその後会っていなかった巨木。
2023年4月、この大カラマツに会うため森の中へ。
登山道から笹の森へ、藪を漕いでいく。以前来たときは雪の上を歩いて(滑って)いたが今回は藪漕ぎである。約1mの笹、かきわけて進む。目的の大カラマツを目指して。
森の主
その巨木の周りは少し開けている場所。主役を際立たせるステージのように。
目の前に現れた巨木。間違いない、この木だ!美しい樹形、迫力の洞。
思わず見とれる、写真を撮る。なんとも言えない嬉しい気持ちになる。
8年ぶりの再会である。
この巨木を千手松(せんじゅまつ)と名付けた。
その神聖さと数え切れない枝の数、千手観音様のイメージから。
「千手松」に続く。
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