見出し画像

今日もaudible 第17回: The Wintringham Mystery by Anthony Berkeley

audible uk の会員ですが、リンクは日本版のaudibleにしました。
audible uk については下記をご参照ください。

今日もaudible: ところで audible uk って何?


11月の 2 for 1 sale

11月の 2 for 1 sale で購入した2本(本でいいのでしょうか、冊でしょうか)は、どちらも好みの音声と朗読のペースで、心地よく聞き終わりました。

日本では話題になることもない本や作家に遭遇できるのが 2 for 1 sale の醍醐味です。

どちらも日本版Audibleでは聴き放題対象外です。

The Wintringham Mystery: Cicely Disappears


That Bonesetter Woman


bonesetter とは、聴いた内容から判断すると、日本でいうところの整体師のようです。

本日は The Wintringham Mystery: Cicely Disappears について書きます。


Cosy listeningですね


Scandinavian Mysteryいわゆる北欧ミステリーを続けざまに聴いていて、残虐なシーンの連続に心が疲れていたせいか、このThe Wintringham Mystery: Cicely Disappearsはまるで一服の清涼剤のようでした。

途中でひとり死にますが、その死に方にもまったく暴力的なところがありません。

主人公は探偵でも刑事でもなく、勘違いしながら謎解きが進んでいくあたりも、なんだかのんびり楽しめます。

Reviewの中で何名かが 'cosy' という表現を使っているのですが、まさにそんな感じです。心地よくずっと聴いていられます。

時代背景


時代背景に目を向けるのもおもしろいです。audibleにある紹介文によると、最初に出版されたのは1926年らしいです。

ドラマ「ダウントンアビー」と時代が近いのではないかなと思いながら聴いていました。

第1次大戦が終わり、大邸宅の使用人たちが自分には使用人としての人生以外もあることに気付き、イギリスでは使用人不足が起きていたころでしょう。

The Wintringham Mysteryの主人公であるStephen Munroは遺産である邸宅に使用人とともに住んでいましたが、財産をすべて使い切り、footmanとしての人生を始めるところから話が始まります。

Stephenの雇い主であるLady Susan Careyがはっきりと言っています。使用人不足でなければfootmanとしての経験もない人物を雇わないところだが、能力のある使用人が不足していて仕方なく雇うと。

ただしのちに、他にも理由があったことがわかります。

裕福だと思われていた資産家が実はお金に困っている場面も出てきます。自分の財産を投資して失敗する資産家が出てくる時代でもあったのでしょうが、そのあたりのことも主人公と恋人に関わってきます。

深刻で暗い雰囲気になってもおかしくない出来事も出てくるものの、ものすごく能天気に話が進んでいきます。

ドキドキするわけではありませんが、退屈しません。聴き続けていたくなります(やろうと思っていた仕事が進まずに困りました)。朗読者の力も大きいと思います。

アガサ・クリスティーも解けなかった謎らしい


ものすごくのんびりして、能天気で、勘違いしながら話が進んでいくのですが、のんびりした雰囲気を取り去ると、複雑なプロットが残ります。

動機や容疑者が次々に現れては「いや、そうではなかった!」と消えていくあたりは、続けざまに聴いていた北欧ミステリーに通じると思っていたところでした。

自分は謎解きをしながら聴くわけではないので、予想と外れて悔しいなどと思うことはありません。

audibleにあるこの小説のsummaryによると、新聞に掲載された1926年はアガサ・クリスティーの「アクロイド殺し」が世に出た年でもありました。

掲載紙であるDaily Mirrorが謎を解いた読者に賞金を出すと宣伝したものの、正解者は出なかったらしいです。

しかも応募者にはアガサ・クリスティーもいたとか。

このあたりは下記のWikipediaの記事にも記載されていました。自分の名前ではなく、夫の名前での応募だったと。


こんな事情はまったく知らずに、サンプルを聴き、軽くあらすじを読んで購入を決めたのですが、当たりでした!

英語表現はこのあと「今日も audible 第18回」で書きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?