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パラレルワーカーという生き方 vol.2

今を生きること。
それはある意味簡単で、ある意味難しい。

目まぐるしく情報が行き交い、
瞬間的な判断が求められる、今この時に。
自分の人生を振り返りたい。そう思った。

今回はvol.1の続き。

幼少期から飲食店を経験していた筆者。
教諭や研究の道を諦め、飲食に腹をくくる。

コロナによる逆風を受け、
全く新しい仕事へと、今。
道が開かれた。

スーツと作業着 緑の塊

求人誌で見つけた、新しい仕事。

①家から近い事
②飲食ではないこと
③フルタイムで働けること

というガバガバな条件設定で選んだ職場は、
工業地帯の半ばにある、運送会社だった。

スーツを着て面接に赴く。
そこに待ち受けていたのは
社長を筆頭に、
作業着に身を包んだごつい男達だった。

作業場初体験の筆者、度肝を抜かれる。
まるで完全アウェーに迷い込んだ
新人営業マンの気分だった。

"俺は今、サラリーマン金太郎なんや…!"
と自らを鼓舞しながら、施設案内へ乗り込む。

メイン職場の倉庫には、緑の塊がズラリ。
社長が一言。
「これを仕分けてもらうから。」

まるで訳がわからない。が、
とりあえず面接は合格らしかった。

これで食い扶持に困らずに済む、と安堵する。
そんな筆者に待ち受けていたのは、
折りたたみコンテナ(略してオリコン)を
分けて積んで巻く、肉体労働の生活だった。

単調肉体労働の日々

スーパーの棚卸しなどに使われる、オリコン。
SCR619S(SCPみたいで気に入っている)を
筆頭に、様々な形や品番がある。

企業の使用済みオリコンを仕分け、
50段×5列の250個に積んでラップを巻き、
トラックに積んで洗浄会社に運搬する。

それが運送会社の、
もとい筆者のメイン業務であった。

音楽もない、埃っぽい倉庫の中。
ひたすらに、黙々と。
黙々と、仕分けていく。

1週間で、腰痛になった。
1ヶ月で、疲労困憊に。

オリコンの汚れで爪の中まで
黒く汚くなるので、
BARのバイト前には入念に洗って
綺麗にしなければならない。

そんな些細なことも嫌になったが、
幸いパートの女性の方々が親切だった。
ごく短時間の何気ない会話が、
日々の業務の励みになった。

仕分けて、積んで、巻く。
繰り返される、単調肉体労働。

午前中の業務で身体的な疲弊はピークに達し、
午後からの業務は精神的にも苦痛だった。

当時足繁く通っていた、家系ラーメンのお店。
にんにく野菜油マシマシ固めのつけ麺に、
数多のパワーとエネルギーを貰った。
本当に感謝している。

女性職場の中ににんにく臭のまま現れるのは
気が引けたが、幸い話題にもあがらなかった。
それくらい、会話の薄い労働現場だった。

運送会社には1年ほど勤めた。が、
工場長に受けていたパワハラまがいの
叱責に耐えかね、転職を決意する。

工場長は組織の中の権威を守るため、
「足が遅い」「頭が悪い」などと
筆者をかませ犬が如く叱責してきていた。

組織構造としては綺麗かもしれないが、
筆者はその叱責に耐えうる
忍耐力とモチベーションを
持ち合わせていなかった。
後述の職場を見つけ、退職の意を示す。

最後に渡された、離職届。
記載された、「自己都合」の4文字。
筆者の心の奥に、深く刻み込まれている。

頭の隅の記憶

工場長の叱責に飽き飽きし、
他の職場を探していた矢先。
一つの事業所が筆者の目に留まる。

"児童指導員"と書かれた文字に、ハッとした。

「俺って、先生になりたかったんよなぁ…?」

大学4年間の学びを通して得た、
「公立の先生には自分は向いていない」
という結論。
障害児教育を専攻していた筆者は、
その学びを活かすため、より少ない
人数を教えられる場所を探していた。

「発達障害児の集まる施設なら、
 自分の今までの知見も
 役に立つかもしれない」
と奮い立つ。

運送会社に別れを告げ、
新たな新天地へと足を進めたのだった。

ライスとライフのパラレルワーカー

「パラレルワーカーという生き方 」で
取り上げたBARの社員や仕分け業の話は、
所謂筆者の"ライスワーク"の話である。
ライスワークとは、食いぶちを得る為の仕事。
特に仕分け業に関しては、
ライスワークの側面を色濃く持っていた。

ただし筆者の場合、
ライスワークとは別の"ライフワーク"
同時並行(パラレル)で行っていた。
ライフワークとは、生きがいを得る為の仕事。
筆者にとってのライフワークは、
家庭教師であり、イベント出店であり、
共同経営で立ち上げた自分達のお店であった。

ライスワークとライフワーク。
どちらが欠けてもうまくいかない、と
筆者は考えている。

その結果筆者のバイトは、
①児童指導員
②家庭教師
③バーテンダー
④カラオケ店員
⑤珈琲教室講師
⑥カフェバー経営
⑦イベント出店
7足のわらじまで膨れ上がっていく。

この事については、
次の記事にて紹介させて頂きたいと思う。




vol.3につづく

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