毎月短歌連作部門1

こんばんは。大体のことはギリギリでなんとかする斎藤君です。大体のことをギリギリで何とかするので町内会では少し名の知れた存在になってきました。もちろん悪い意味で。これが面倒な役割を任されないようにするコツです。みんなには内緒だよ。

さて、今回から毎月短歌の連作部門の選者を担当することとなりました。よろしくお願いいたします。第1回目にして締め切り1時間前の発表です。ほんとすみません。まぁ細かいことはいいでしょう。発表です。ででーーん。

一席 スクワット賞
石村まい   「無声動画」
私の中のミニ斎藤君達が「凄え!」「すげえ!」「スゲエ!」と喝采した一編でした。主体の感情を直接的に明言せずに事物に語らせる技量が群を抜いていると思いました。全体を通して涼しげで静かな連作ですが、その中に微かな不協和音を聴くことができます。連続する白く透明なイメージから浮かび上がる主体の心象と生活像、その中にいくつか点在している小さな、しかし頑固な汚れのようなもの、、、。不協和音はそれ単体ではあまり心地よいものではないですが、いくつかの音と共に鳴らされることで不思議と心地よい音になる場合もあります(もしくは気持ち悪さが軽減されます)。これって人間と人間が共に暮らすことに似ていませんか?似てますよね?え、似てない?うるせえ。似てんだよ。
完成度の高い、美しい連作であると思いました。
,,,っていうかミニ斎藤君て何。

二席 デッドリフト賞
吉田岬    「般若心猫」
主体と猫との距離感の妙が強く印象に残る連作でした。どこか仏教的な死生観を下敷きに、主体が猫を尊ぶ姿が悲しく描かれます。大抵のペットはヒトよりも短命であり、我々ヒトは彼らの死に責任を持って向き合わねばなりません。つまり生きているうちから覚悟を固めておく必要があるということです。主体なりの猫の愛し方、あちらの世界への送り方を作者特有の格調で詠っており、とても美しいと思いました。ちなみに私はよく猫に大胸筋の上でふみふみされます。

三席 ベンチプレス賞
汐留ライス  「祭りが始まらない」
常に感じている自分への異物感や周囲からの疎外感、そして自分を受け入れてくれる世界がどこかにあるはずだ、という決して叶うことのない希求を感じました。不思議な世界観ですが、これは主体が見た儚い白昼夢なのでしょうか。言及はされていませんが、空想的なものと現実的な描写が入り交じり、独特の心地よさがありました。カフカの「城」のように、祭りが始まることはきっとないでしょう。それでも主体は待ち続けるのです。ちなみに作中に豆腐が出てきますが、私は絹派です。

以上が連作の選評なのですが、やはり皆様の力作を読ませていただいて痛感したことは「この歌に賞をあげてえ!」でした。というわけで全ての歌の中から私の一番お気に入りの歌にも勝手に賞を設けさせていただきました。深水さん毎度勝手なことしてすんません。

TKといえば小室哲哉か高阪剛で賞

藤瀬こうたろー  「1990年代」より

大予言外れちゃったと振り向いた君の笑顔が降る世紀末

美しく晴れ渡った空の下、主体と歩く「君」の笑顔の魅力が際だっていると思います。しかし「君」の笑顔は100%爽やかな、晴れ晴れしたものなのでしょうか。それともある種の切なさ・悲しさを含んだものなのでしょうか。結局何も起こらなかった世紀末、あの頃私たちは常に終末を意識して生きていたような気がします。頭の片隅で「世界が終わって欲しい」と願っていた人もいたはずです。今回読ませていただいた沢山の歌の中で自分の中に一番「ひっかかり」が生まれた一首でした。あ、ちなみに私の本名のイニシャルもTKです。短歌界のTK。だっさ!。

以上です。受賞された皆様、誠におめでとうございます。副賞で何も差し上げることができないのが歯痒いのでとりあえず一年分の大胸筋ピクピクを送りますね。

ぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴくぴく。

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