見出し画像

「汝、星のごとく」「星を編む」を読んで ※ネタバレありません。

2023年の本屋大賞を受賞し、書店でも目立つ場所に置かれていることの多い「汝、星のごとく」と続編「星を編む」。手に取った人、もうすでに読んだという人も多いだろう。読み終えた今、私のこのぐるぐると渦巻く感情を整理するべく、また他にもこの作品を読んだ方がいらっしゃったら、ぜひ感想を共有したいと思い、noteに書かせていただく。

具合が悪くなるほどの共感
読んでるうちに、自分の心の奥底で感じていること、考えていることを丸裸にされ、様々な思考が我先にと飛び出してくる。読み終えた今でも、この本をどう表せばよいかわからない。とにかく、「私」という人物が作り上げられていく人生の中で、こういった本が与える影響は少なからず、いや、かなりあると言わざるを得ない。総じて言えることは、「自分の幸せ」を追求するためには、「他者の幸せ」や「他者の不幸」を受け入れ、それとともに生きなければならないということだ。タイトルに「星」が入っているように、私たちは星であり、私たちに関わるすべての人もまた同じように星なのである。生きていく中で変わっていく価値観や周りの人への感情、複雑な事情を抱えた登場人物たちがその荒波を巧みに生き抜こうとする姿に、具合が悪くなるほどの共感と感動を覚えた。

「幸せ」とは
幸せの形、人間関係は本当に人それぞれで、当人にしかわからない複雑な問題だ。他人からの共感も同情も、きっと本質の1割程度しかかすっていないのではないか。
人からどう見られようと、どんなレッテルを貼られようと、自分が幸せな道を生きること、自分が幸せにしたいと思う人を、他人の目や自分の利害を全く抜きにして考えて生きること、それが最大の幸せな人生なのだと感じた。この本に登場する人物たちは、「自分の幸せ」を究極までに見つけようともがきながら生きていると感じた。それが美しく儚かった。

恋人という関係性の中でその関係を終わらせる人もいれば、結婚後数十年が経って離婚する人もいる。逆に、出会ってすぐに結婚する人や、年を重ねたあとで結婚する人もいる。本当に、人の人生はわからない、人それぞれだ。だか、人間関係は、終わってしまったらそこまでで、1人の人をずっと思い続けることに尊さがあることを忘れてはならないのだと改めて感じた。
喧嘩になって、投げやりになって、自分のことしか考えられなくなって相手に配慮できなくなって、、そういった悲しい別れを経験したこともある。しかし、愛と思いやりで周りの人を満たすことができる人は、きっと誰とでも、一緒に過ごす全ての時間を、愛と思いやりに満ちた時間にできるのだろう。

私は、日々を精一杯生きているだろうか。大切な人との時間を、大切と感じ大事にできているだろうか。そして、これからも、周りの人と温かく穏やかな時間を過ごしたい、自分を大切に思ってくれる人を、一生大切にしたい、と思った。それと同時に、人生においてとてつもなく大きな割合を占める人間関係、その中でも大きな割合を占める家族や恋愛の関係は、人生の生きづらさや自由に関わってくることを痛感した。
私たち人間は分かり合えるものではない。そうと知りながらも、苦しむ人、悩む人に少しでも手を差し伸ばすことのできる大人になりたい。


凪良さんの作品は、人間関係の複雑さを見事に剥き出しにし、読者に訴えかけるところに一つの魅力があると私は思う。その上で「幸せ」とは何なのか、「幸せ」を求める人間たちのありのままの姿を痛いほどに共感させられる。まだ読んだことがないという方は、ぜひ手に取っていただくことを強くおすすめする。


長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?