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たびたびの旅【居心地のわるい旅】

旅の効用には議論がある。
人々は旅を通じて自分の生活拠点を再評価する。
自宅を至極の場所と感じる人もいる。
正反対に引っ越しで最適な環境を求める人もいる。
満足感を得るためには費用や意識変革が必要だ。
現代は交通手段の進歩により距離感が変化している。
しかし人間の進化はそれに追いついていない。
それでも人は旅に出る。
旅は苦痛でもあるが趣味の王道だ。


旅の効用

旅の効用は語りつくされた。

旅に求めるものは人それぞれだ
「結局は自宅が一番だと確認するため旅に出る」
という説もある。

自宅が至極の場所という人間は少なからず存在する。両極端だが最適の環境を求めヤドカリのように繰り返し引っ越す者もいる。どちらにも言い分がある。

どちらもまともな人間だ。
しかし、両者には埋めがたい【深くて長い溝】がある。

自宅を最良の環境にする方法は主に二つだ。
ひとつは相当の費用を負担することだ。
もうひとつは、自分のライフスタイルや意識を変革させ【満足感】の本質を見つめ直すことだ。

いずれの選択も簡単には達成できない。
持てる財力を最大限発揮できる者は世界中に少なからず存在する。だが九分九厘自分ではない。

ライフスタイルや意識は簡単に変革できない。
【無形の縛り】は本人が気付かないほど、巧妙に意識を覆っているの。
他者の指導や、読書で転向できるなら、もはや【ライフスタイル】とも呼べない。【クセ】だろう。

ヤドカリ対ホテル暮らし

ヤドカリ族については今更申すまでもない。
自分が求める究極の【家】に巡り合う確率は1万分の1以下だろう。
万に一つの物件を見つけても、そのうち飽きが来る。

どこへ越しても満足できないからヤドカリ生活を続けているのだ。
簡単に居場所を見つけられるのなら、とっくに定住化している。

費用対効果を勘案すれば、永遠に引っ越しを続けるのは無理な相談だ。高齢者ほど賃貸物件の選択肢が少なくなる。
じっとしていられない性分を埋める機会費用なら仕方がないが、自宅を買う場合を除けば高齢者に喜んで貸家を提供する大家はいない。

財力に問題がなければホテルに住むという選択肢もある。ただしホテル生活が最善といえるのかは疑問だ。

形容詞的になら『自宅のようにくつろげるホテル』は存在する。
しかし、ホテルの一室を自宅とした場合【心底くつろげる】保証はない。

閾値を試すたび

自らの閾値を試すべく、ヒトは今日も旅に出る。
距離や対価、移動時間などの多寡を問わなければ日常は旅に溢れている。

通勤や通学、病院通いも本当は旅の一形態だ。
交通機関の発達によって、地球の反対側でも一日あれば到達する。
現代の感覚で、旅行とは日常の移動を含めない。
江戸期以前は、一日に到達できる距離の限度は50Km程度であった。

東京駅起点の場合およそ50kmの距離となる駅は
・東海道線藤沢
・横須賀線鎌倉
・総武線物井
・内房線八幡宿
・外房線誉田
・宇都宮線東鷲宮
・高崎線鴻巣
・中央線高尾
・常磐線龍ヶ崎
である。
これらの駅は東京から乗り換えなしで到達できる。

通勤通学を趣味とする者も世の中には存在する。
極めて少数派ではあるが。

大抵の通勤者は苦痛に感じる50kmという距離を、毎日電車で通う人々は決して少数ではない。

現代は通勤可能な距離でも150年前は旅と呼べる移動であった。厳然たる事実だ。
人間という動物は150年前からさほど進化していない。進化は誠に微々たるものだ。

新幹線や飛行機なら500kmや1000Kmの移動は簡単だ。
しかし『席に座っているだけ』なのに妙に疲れる。
【人間が長距離移動に順応できるほど進化していない】証拠ではあるまいか。

居心地が悪いのは・・・

『旅は居心地の悪い』と強弁すれば、反論の嵐に巻き込まれ難破船となるのは必然だ
旅行、鉄道、クルマ、船、飛行機・・・いずれも趣味の分野では王道だ。
趣味の政権与党といえる主流派ぞろいだ。

あえて問う『苦痛なのになぜ趣味にするのか?』
答えは様々だろう。
模範解答は
『大変でも好きだから耐えられる』
となろうか。
『好きこそ』というのが趣味の本質だろう。

【趣味を仕事にしてはいけない】というが、仕事に苦労は付き物だ。
【仕事に進化した趣味】が苦痛を伴うなら【二重苦】が達成される。
ジョギングにせよ、登山もしかり達成感は格別だ。
呼吸が苦しいほどツライ駆け足や山登りは快楽とは正反対の生体反応が連続する。

心地が悪くなるのは十分に予想される事態だ。
しかし登山やマラソンを趣味にする人は案外多い。

旅行は駆け足や登山と同じなのだろう。
少しだけ居心地が悪くなっても旅人は自宅を出発する。旅が苦痛の連続でも、それが趣味ならば耐えるのが人間の本質なのだ。

まえ口上のあと・・ずさり

長い口上は芝居の邪魔だ。居心地が悪くなる前に本編へ旅立たないと、居場所も無くなりそうだ。

私の本業は不明だ。乗り物で口銭を得てきたので【のりもの屋】といったところだ。

【のりものに関わる話】に興味がおありなら、次回も隣の席へ座りお供を願いたい。

本船はまもなく一番もやいを解き出港する。
出港時刻とは一番もやいが外された時間だが、この段階で陸へ戻るタラップは外されている。
どうしても下船される場合は高額の費用を負担し通船に迎えを頼むか、海に飛び込で泳いで帰るしか手段はない。
乗りかかった船とはこのことだ。
旅のお供はそれほど苦痛ではない・・・はずだ。

旅行に出る理由ベスト3
1 新しい文化や環境を体験するため
2 リフレッシュ・リラックス
3 冒険・挑戦

理由だけ見れば
遠方へ出かける必要はない

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