堀江貴文氏の福島第一原発「処理水」放出に関する主張への反論を試みてみた。

最初にお断りしますが、私は無党派層(少し左より)です。
「処理水」放出に対しては反対の立場です。
堀江貴文氏がこの問題について、ご自身のYouTubeチャンネルで公表された主張、短縮版が出回っていて某政治家もシェアしているようですが、抜粋されたものに、ささやかな反論を試みてみました。
YouTubeチャンネル

https://youtu.be/sCS3GSjqy1s

本稿で扱った氏の発言はこちらの短縮版に取り上げられたものです。

https://twitter.com/bakanihakaten35/status/1695048816544911847

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堀江氏:山本太郎、聞いてるかこの野郎。

コメント:相手が国政政党の代表者であるとはいえ、不穏当な呼びかけであると言わざるを得ないが、ここのところのれいわ新選組への支持の伸長に対して、支配層が相当な危機感を抱いていることが、支配層のラウドスピーカーである氏のこの発言に表れているとすれば、納得できなくもない。

堀江氏:お前、何か東日本の食材食うなって言ってただろよ。あなたが東北の人とか痛めつけてんだよ。

コメント:山本太郎氏による「東日本の食材を食べるな」という発言を探してみたが、2013年5月8日付の氏のブログに、以下の記載がある以外には見当たらなかった。

>じゃあどうやって自分の身体を守るのか。
>国や東日本の自治体がセシウム以外の多くの核種、土壌汚染を細かに調べないのであれば東日本の食材を僕は食べない。
>「酷いじゃないか!そう言う考え方が風評被害を生むんだ!」って人もいるだろう。
>冷静に考えて欲しい。
>危険な物質を山ほどバラ撒き続け未だ漏れっぱなし、二年経っても汚染地域をハッキリとさせずに食物の生産が続く。
>風評被害などではなく、完全な「実害」なんだ。

https://ameblo.jp/yamamototaro1124/entry-11526179168.html

たしかに「東日本の食材を食べない」と述べているが、前後の文脈から「国や東日本の自治体が十分な調査をし、対策しない状況では、(食べたくても)食べられない」という趣旨に解するのが妥当だと思う。なお、山本氏は後日福島での街頭演説で、この発言を含む一連の発言について、己が認識の至らなさゆえに、福島の方々に対して配慮が足らなかったことを謝罪している記録がある。

https://reiwa-shinsengumi.com/activity/2212/

堀江氏:日本の国益を害しているのは、福島第一原発の処理水を安全なのに危険だというふうに言ってる、れいわ新選組初めとする左派の活動家のやつらだよ。

コメント:まず、正当な選挙で選ばれた議員が所属する国政政党とその支持者に対して、「活動家」というレッテルを貼るのは、時代錯誤的な情報操作であることを指摘する。
そのうえで、「国益を害している」ことについて、政府の利益、経済界の利益、地元の生産者の利益、消費者の利益...何をもって「国益」とするかによって、何が「害され」るのかが明らかにならない。
「処理水の安全」について氏は、結局「希釈することによって、いかなる毒物もその毒性が無くなる」ということを事実として強調されているが、排出される放射能の総量の問題、食物連鎖による濃縮の問題、特に半減期の長い核種が体細胞に取り込まれて影響を与え続ける問題、などは見事に切り捨てられている。

堀江氏:もう断言するよ。あなたたちは害悪だよ。ほんとにね、真面目にオレは怒ってるよ。

コメント:「真面目に怒って」おられることは理解するにしても、堀江氏の立場でなされた「害悪」という発言は、政府や東電の「処理水」問題を批判する立場の人々から見れば、最大限の賛辞である、と思えなくもない。

堀江氏:いつまでやんの、これ13年だよ、事故から。東北の人たち可哀そうに思わないのか、お前ら。お前らが騒ぐから、いつまで経っても風評被害に悩まされてんだよ。

コメント:感情に訴えかけるフレーズである。おそらくこの部分に「ほろり」とくる人も多いに違いない。
しかしながら、福島初め東北の方々がこの13年間、苦難の日々を過ごされる原因を作ったのは、国であり東電であり、「汚染水」放出反対派の有識者や一般市民ではなく、ましてれいわ新撰組の山本太郎氏ではない、というのが事実である。

堀江氏:だってこれ難癖なんだもん。合理的な、これが危険であるという証拠は無いんです。無いのにもかかわらず、だからいつ流したってこの人たちは文句言うんです。

コメント:「難癖」について、別の部分で、国や東電の施策に反対する人たちのことを「放射性物質を盾にしたヤ○○みたいなもん」と表現している。「そうやって活動の口実を作って政党助成金を得ているれいわ新選組」に対する攻撃のフレーズなのだが、こればかりは言語道断としか言いようがない。
「合理的な、これが危険であるという証拠は無い」と言うが、逆に「合理的な、安全であるという証拠」はあるのか。結局「薄めれば大丈夫」以上の論拠はあるのだろうか。

堀江氏:政府も毅然とした対応して欲しい。もうこんな処理水なんかさ、ここまで引っ張ってやる必要ないわけ。ほんと、そういう人たちの声は無視していいです。

コメント:「毅然として」かどうかは別にして、政府が自分たちの作ったシナリオに従って、漁業者との約束も反故にして、「粛々と」進めていることは間違いない。
一定の根拠に基づいて反対する声を「無視していい」というのは、民主主義の否定であると言わざるを得ない。

堀江氏:「中国も危ないって言ってるぞ」みたいなこと言って、中国の手先みたいになってますよ。はっきり言って、バカじゃねえの。二重でバカですよ。中国の思う壺ですよ、これ。

コメント:「中国が危ないと言っている」のは事実である。中国に政治的な思惑があることは、否定しない。この厄介なお隣さんの超大国に対して、我が国の「国益」を守らなければならないことも間違いない。権威主義的で国民の人権など平気で蹂躙する国ではあるが、ことさら「処理水」の問題については、中国政府は明確に「自国民の安全を守る」という姿勢を表明した。かかる主張に対してどのように対峙するのか。もしも安全だというのならば、世界を味方にして中国に反論できるような、科学的根拠に基づく情報発信すべきであろう。初手から「所得減の補償と別の販路拡大」というのは、世界に向けた情報発信を「やりたくでもできない」材料しか持っていないことの表れではないか。

堀江氏:始末に負えないのは、バカな芸能人とかインフルエンサーが、それを煽るから。お前らさ、一回さ、中学校からやり直せ。化学の教科書読め、バカ、お前のことを言ってるよ。「東北の魚を食わねえ」とか言っているバカ。お前のことだよ。

コメント:最初の一文について、このような言い方は氏に対して失礼であることは承知の上で、「バカな芸能人とかインフルエンサー」の部分を「無責任な政治家とかお取り巻き」に置き替えてお返ししたい。
「約束したことは守る」「相手を説得するときは相手が納得できる根拠を示す」というのは小学校で習うことだが、それもできていない国や東電の連中を擁護する氏は、小学校からやり直すべきと考える。ちなみに中学では、「化学」という科目はなく、「理科第1分野」が化学と物理の分野をカバーしたカリキュラムになっている。
そうそう、小学生でも知っている真理:「バカ言うもんがバカや」。

堀江氏:わかんねえことがあったら質問しろ。感情的にあなたたちが煽っているが、国益を害している。東北の人たちを苦しめている。胸に手を当てて考えろ、な。

コメント:質問したら「薄めれば無害」以外の事柄についても説明していただけるのだろうか。
「処理水」放出についてのれいわ新選組の声明を読んだ。理路整然とした中に感情にも訴えかける見事な文章だったと思う。徒に感情的になっているのは氏のほうではないか。
何をもって「国益」とするか、何が「東北の人たちを苦しめているか」、冷静に議論をすることが必要だろう。

当方もいささか感情的になったかもしれない。「胸に手を当てて」冷静になろうと思う。

以上

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