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米国景気刺激策審議

米上院は新型コロナウイルスによって大きな打撃を受けた、経済の安定を図るために、2兆ドル規模の景気刺激策を可決した。下院は27日に上院が可決した景気刺激策を審議する予定だ。その景気刺激策に対して、ドナルド・トランプ米大統領は上下院が可決すれば、すぐに署名する考えを示している。

景気刺激策の規模は国内総生産(GDP)比9%超で、2007~2009のリッセション(景気後退)時に導入された経済対策を上回る。しかし、さらなる支援策が必要だとの見解も聞かれている。

今回の景気刺激対策では、一定の所得制限があるが、米国民の多くが一人当たり1200ドル(13万程)を受け取ることができる。この支給に子供一人あたり500ドル(5万程)が追加される。さらに、失業保険の支給対象を拡大するほか、小規模企業に向け、給与支払いや費用手当の融資も含まれる。

トランプ政権関係者は、家計向けの支払いを数週間以内には開始したいと考えている。ちなみに、前回の景気後退時には支給までに2ヶ月の以上を要している。

家計向けの現金支給は計3000億ドルを推定している。まずは連邦手当の支給者や定期的な納税申告者など、政府がすでに情報を持っている国民が優先され何段階かに分けて支給される可能性が高い。その中で、所得が低すぎて税務署に申告していない、最も脆弱な層の支給は難航するとみられる。

企業への融資にしても、借り手が基準を満たすかの審査がまず必要になったり、従業員の規模に加え、過去の給与コストを証明しなければならない為、時間がかかりそうだと、予測される。

エコノミストが今回の景気刺激対策で高く評価している内容の一つが、失業保険の拡大である。これにより、フリーランスやギグ労働者(単発や短期の仕事に従事する労働者)も支給対象となるほか、失業手当は4ヶ月間、現行水準から週あたり600ドル増額される。

この景気刺激策によって4~6月(第2四半期)の米国内総生産(GDP)の落ち込み幅が年率17%まで縮小すると予測されている。景気刺激策がない場合には、30%近いマイナスになるという。通年では、2%の落ち込みになると予想されている。

日本は、どうなのか?

日本では今回の新型コロナウイルスによって、打撃を受けた経済回復の対策として、現金一律給付を政府・与党で検討されてきた。26日、国民に対する一律の給付は見送られる方向で最終調整に入ったことが発表された。

政府・与党では感染拡大を受けた緊急経済対策として、国民一人一人に10万円の現金支給を行うことなどを検討してきた。しかし、「富裕層にも配るのは国民の理解が得られない」などの反発が強く、所得制限をつけたうえで現金給付する事となり最終調整へ入った。

また、今後は「配布金額」を決めるほか、商品券の配布や中小企業支援としての納税猶予などの対策が取りまとめられていく。



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