荒金良介

SLIPKNOT主催のダーク・カーニバル『KNOTFEST JAPAN 2023』がまもなく開催される。2014年、2016年と回数を重ね、今年通算３回目を迎える本フェス。幕張メッセにて4月１、2日の２デイズに渡り、阿鼻叫喚の爆音祭りが繰り広げられる。『KNOTFEST JAPAN』の特徴を挙げると、開催地である日本のバンドをきちんとフックアップし、ラウド・シーンを世界的に盛り上げたい！という姿勢を感じることだ。海外と日本のアーティストが混ざり合い、お互いに刺激を受けて与え合う。もちろん観客にとっても普段観る機会のないバンドのライヴを観て、打ちのめされることもあるだろう。その意味でも本フェスは「ラウド見本市」としての役割を果たしている。

今年も充実したラインナップが並んでおり、オープニング・アクトから見逃せない。”日本のOZZY OSBOURNE”と言っても過言ではないTHE 冠が初日に出れば、2日目は昨年ドイツ最大のメタル・フェス『Wacken Open Air 2022』内の「Metal Battle」にて日本人初の優勝を勝ち取ったSABLE HILLSが登場。

また、本編の初日には新ヴォーカリストにJohnを迎えたCrystal Lake、2日目は京 (Vo / DIR EN GREY）とyukihiro (Dr / L'Arc-en-Ciel）を含む5人編成のPetit Brabancon、異次元のミクスチャー/メタルコアで現場を沸騰させているPaledusk、また、coldrainとマキシマム ザ ホルモンの強者も顔を揃えている。

さらに『Wacken Open Air 2019』にて堂々たるヘッドライナーを務めたPARKWAY DRIVE、13thアルバム『THE NOTHING』で来日が叶わず、最新14thアルバム『REQUIEM』で久しぶりに来日するKORNのライヴも楽しみで仕方がない。そして、SLIPKNOTは両日共にヘッドライナーとして君臨。パンデミック後、新マスクに変更した彼らのライヴ・パフォーマンスは必見！ 強烈なビジュアルとサウンドが渾然一体となったカオティックな演奏を浴び、日々の鬱憤やストレスも雲散霧消されることだろう。

随分と前置きが長くなったが、ここではSLIPKNOTの定番10曲を紹介したい。目前に控えた彼らのライヴをより楽しむために鉄板曲を選んだつもりだ。

SLIPKNOT オススメ楽曲10選

「The Dying Song（Time To Sing）」

昨年出た最新7thアルバム『The End, So Far』はミドルテンポ/叙情性が増した奥深い曲調で、新たな地平を切り拓いていた。ファンの期待に応えながら、時に予想を裏切ってくれなければロック・バンドではない。同じ場所に居座らないSLIPKNOTの先進性を断固支持したい気持ちだ。そして、最初に取り上げるのは「The Chapeltown Rag」に続き、2ndシングルとしてカットされたこの曲だ。ショーン・”クラウン”・クラハン自ら監督したMVも必見であり、コリィ・テイラーの歌声で始まる冒頭部分からグッと惹きつけられる。サビではキャッチーに突き抜け、グルーヴィーに押しまくる演奏もライヴで一段と映えるだろう。

「Wait and Bleed」

この曲名を見ただけで、脳内に”あの歌メロ”が自動再生される方も多いのではないか。「猟奇趣味的激烈音楽集団」という日本盤帯のキャッチ・コピーも秀逸だった、セルフタイトルを冠した衝撃の1stアルバム（1999年発表、200万枚のセールスを記録）収録曲。第43回グラミー賞にて「Best Metal Performance」賞にノミネートされた曲で、もの悲しいコリィの歌メロはシンガロングせずにはいられない魅力に溢れている。メロディに傾斜した曲調にもかかわらず、どこか不気味なムードが漂っており、激越に攻めた楽曲とはまた趣の異なる恐怖心を感じる。

「Before I Forget」

メンバー全員がマスクなしで演奏に没頭し、素顔が見えそうで見えないMVでも話題を呼んだ曲。この曲は3rdアルバム『VOL.3:(THE SUBLIMINAL VERSES)』（2004年発表）に収録され、第48回グラミー賞にて「Best Metal Performance」賞を受賞した。

彼らの曲の中でも随一のキャッチーさを誇り、ノリのいいシンプルなアプローチが効いた人気曲。「I（アーイ！）」の歌詞を観客全員で叫んで、会場が一つになるアンセム・ソングである。グロテスクなマスクとは対極に位置する、この爽快さもSLIPKNOTの魅力と言いたい。

「Duality」

こちらも3rdアルバム『VOL.3: (THE SUBLIMINAL VERSES)』に収録された曲で、コリィの豊かなヴォーカリストとしての才能を存分に味わえる。パートごとに歌の表情を細かく使い分け、サビではメロディアスな広がりを魅せつける。多くのリスナーを巻き込める求心力を見事に発揮している。

「People=Shit」

バンドの出身地である地元アイオワを堂々と掲げ、デビュー作の衝撃を上回るエクストリーム化を遂げた戦慄の2ndアルバム『IOWA』（2001年発表）。そのオープニングを飾るこの曲は、堰を切ったようなブラストビートで幕を開ける。「人間はクソ！」という身も蓋もない直截的な言い回しにも背筋が伸びる思いだ。

ライヴではお約束のごとく曲名を大合唱する光景が広がる。中指を立てるべきは相手か、自分自身か、いや、そもそも人間なんてロクな生き物じゃねえ。そんな痛烈なメッセージに射抜かれる。いつの時代にも響く楽曲であることは間違いない。

「The Heretic Anthem」

これも2ndアルバム『IOWA』収録曲で、「If you're 555, then I'm 666」の歌詞はSLIPKNOTのことを詳しく知らない人でも耳にしたことがあるのではないか。IRON MAIDENにも「Number Of The Beast」という代表曲があり、その中に「666, the number of the beast」という歌詞がある。”666”とは新約聖書の「ヨハネの黙示録」に記述されている獣の数字から取られている。”666”は悪魔の数字とも呼ばれており、メタル系バンドが使うことが多い。話がサウンドから逸れたが、ジョー・ジョーディソンの壮絶なドラミングも大きな聴き所だ。

「Psychosocial」

初の全米チャート1位、日本でも総合チャート２位を記録した4thアルバム『ALL HOPE IS GONE』（2008年発表）収録曲。ミドルテンポながら、ノリのいいリフに体を揺さぶる楽曲だ。親しみやすいメロディアスなヴォーカルも素晴らしく、鋭利に斬り込んでくるギターソロもかっこいい。結果的にこのアルバムはポール・グレイ（B、2010年に死去）、ジョーイ・ジョーディソン（Dr、2013年に脱退、2021年に死去）が参加したラスト作となってしまった。

「Spit It Out」

1stアルバムに収録され、コリィのラップが見事にハマッている曲。LIMP BIZKITなどラップ・メタル/ミクスチャー好きもすんなり入れる曲だろう。ただし、ラップとはいえ、吐き捨てるような情感迸るスタイルを掲げており、コリィのオリジナリティが光っている。曲を聴いているだけで感情を執拗に掻き回されてしまうテンションの高さで、チャラさは皆無。ライヴでも俄然盛り上がる。

「Surfacing」

こちらも1stアルバムに収録されている曲で、不穏なイントロからSLIPKNOT節が全開と言っていい。感情の奔流を叩きつけるようなサビの高揚感も最高でアガらずにはいられない。

ギター、DJ、ドラム、パーカッションとそれぞれに見せ場もあり、どのパートをとっても邪悪かつ混沌とした勢いに溢れ返っている。頭をカラッポにして、音に身を沈めたくなる曲だ。特にスクラッチや効果音がやけにカッコイイ！

「Custer」

5thアルバム『5: The Gray Chapter』（2014年発表）に収録されている曲で、イントロ部分で口ずさんだリズムをそのまま演奏で追いかける幕開けがクールすぎる。緩急の起伏を付けた展開で引き込み、また、「Cut, cut, cut me up And fuck, fuck, fuck me up」の歌詞を怒声のごときラップで畳み掛けるパートは破壊力満点だ。

KNOTFEST JAPAN 2023 をお楽しみに！

いよいよ開催されるKNOTFEST JAPAN 2023 をより楽しむことができるようにこのnoteを皆様にお届けしました！！どうか、お怪我等ないよう安全に思いっきり楽しんで来てくださいね🔥