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元オタクが語る『プロジェクト・グーテンベルク-贋札王-』2018

作品情報

主演:
周潤發(チョウ・ユンファ)
郭富城(アーロン・クォック) 他

原題:『無雙』/中国香港合作映画(131分)

日本語版配信メディア:Amazonプライム

キーワード:ガンアクション+どんでん返し+偽札作り

『男たちの挽歌』シリーズをハンカチを握り締めて観ていた人なら、絶対これ観るよね。
で、観てみたらやっぱりチョウ・ユンファはかっこよかった。
トレードマークの微笑みも、香港ノワールを彷彿とさせる2丁拳銃両手持ちガンアクションも、いつも余裕と色気の漂う風格も、60歳を超えても変わらず健在なんだなぁと感激。
この10年くらいは目立った俳優活動がないため、チョウ・ユンファは何度も引退説が囁かれた(ときには死亡説さえも)。
それでもこの作品のアクションシーンではほとんどスタントを使わなかったと知り、やはり彼は香港を代表する大御所名優に違いないと改めて実感。
そういう意味では、期待通りの彼が見られる映画です。

全財産56億香港ドルの寄付を表明した彼の
先日の釜山国際映画祭での発言
何も持たずに生まれた
そして何も持たずにこの世を去る
身体以外のものは
必要とする人がいるなら持っていけ

一方のアーロン・クォックは、もちろんこれまでも出演映画をいくつも観てきたけど、私の中では踊れる元アイドル歌手というイメージの方が拭えない人。
なんしか香港大四天王の一人と言われてたもんね。
ご本人のキャラクターは朗らかでお茶目さんなイメージなので、この映画の最初のさえない感じ、気弱で頼りない感じ、いつもシャツの第一ボタンまで留めておどおどしている感じが、私的には眩しかった。
でもやっぱりこの人も実力派ベテラン俳優ですよ。
どんでん返しの後の李問は、得体が知れずちゃんと怖い。
さすがですね。

アーロンも募金やチャリティには熱心だ
というか
香港の俳優や歌手は昔からみんな
社会活動や寄付に注力している

『インファナルアフェア』の脚本家が本作品の監督&脚本なだけあって、テンポのよい展開と緻密な描写で引き込まれます。
偽札を作るために試行錯誤する過程は、鮮やかで面白かった。
でも、最後のどんでん返しの部分は、少し急ぎ過ぎた気がする。
もう少し丁寧な説明があれば、見終わってから考え込まずに済んだのに。
でも、香港電影金像奨の主要7部門を受賞&中国大陸で公開された香港映画としては当時の史上No.1の興行収入を記録、というのも納得の良作でした。

殿堂チョウ・ユンファの2丁拳銃姿も見られるぞ
お札に火をつけタバコを吸うのも見られるぞ

《あらすじ(ネタバレ注意!)》

うだつの上がらない無名の画家李問(郭富城/アーロン・クォック)は、いつか世に出る日を夢見て、同じ画家志望の恋人とつつましく暮らしていた。
しかしある時、自分が彼女の足を引っ張っていることに気づく。
自分には彼女のような才能はない。
あるのは模倣する技術だけ。
贋作画家として活路を見出し、彼女の未来から身をひこうと決めた李問。
そこに現れたのは、偽札製造のプロ集団を率いる〝画家〟(周潤發/チョウ・ユンファ)。
お前を主人公にしてやる、そうすれば彼女を取り戻せる。
〝画家〟にたきつけられた李問は、及び腰ながら偽札作りに加わり、とうとう仲間とともに完璧な偽米ドルを作り上げるのだが。
〝画家〟が躊躇なく人の命を奪う場面を何度も目の当たりにし、李問は犯罪に加担していることを気に病むようになる。
それを面白く思わない〝画家〟は李問を恩知らずと罵り、新進気鋭の一流画家となりつつあった元彼女を、李問自身の手で殺させようと仕向ける。
彼女を殺されるくらいなら、と震える手で〝画家〟に銃口を向ける李問。

アーロンは役作りのため
実際に飲み食いを控えた生活をしたという

と、李問は取調室で供述するのだが。
〝画家〟を執拗に追ってきた女刑事が、李問の嘘に気づく。
本当は一体何が起きたのか?
〝画家〟の正体とは一体…?
はい、ここからどんでん返しです!
よそ見しないで観てくださいね〜

物語は取調室での李問の追憶に沿って流れていくけれど、彼を取り調べている女刑事もまた、この事件の関係者として物語を紡ぎます。
この物語に出てくる女たちはみな、恋人への想いゆえに大きく変貌を遂げていく。
それも見どころの一つでした。
この映画はクライムサスペンスと呼ぶべきか、それとも男女の愛が引き起こした悲劇と呼ぶべきか。

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