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縁聴のすすめ・結婚するあなたへ

むかし、ブライダル写真撮影の仕事をしていました。
その際に、打ち合わせという名の営業をしていたのですが、売るとか売りつけるというのが超絶不得手で、売るというよりはお二人のなれそめを聞いたり、カメラマンとしての体験談をお話ししたりしていました。

写真やアルバムのサンプルを見せるのですが、サンプルといっても見ず知らずの他人が映っているわけですから、通常の物品販売とは趣が違います。違和感を持つ人もいるし、感じない人もいる。写真の上手さで売る人もいれば買う人もいる。しかし売る私自身が他人の写真を見せて売る事への違和感を感じているし、腕前に関しても絶対的な自身があるわけでも無し…。

そんな状態での間(あわい)で、「次にどちらかのご実家へ行かれることがありましたら、ご両親が結婚されたときのお写真を見せて貰ってはいかがでしょう。そしてその時のお話を聞かれてはいかがでしょうか。」とお薦めすることがよくありました。

人の一生は様々なエピソードがあって、死別・離婚・思い出したくもない経験もされているかもしれません。しれませんが、子どもからみれば生んでくれた親ですし、きっかけとなって、何かの言葉が声になるかもしれないし、もしかしたら、我が子にはあらたまって話せないが、結婚する相手になら何か話せるかもしれない。そしてその我が親の声を子どもは「縁(へり)」で聞くことができるかもしれない。

直接に言葉や声が我が子に向けられるのではない会話空間で何かがおこるかもしれない。

今にしてみれば、とてもきわどい提案であったが、一度もクレームに繋がったりお叱りを受けることはなかった。実践された方からは事後の報告も頂いたし、その後お二人から注文を頂くことも多かった。

私に新婦様が話しているのを「縁(へり)」で新郎様が聞く。

新郎様が私と話しているのを「縁(へり)」で新婦様が聞く。

親が我が子のフィアンセに昔話をしているのを我が子が「縁(へり)」で聞く。

その時今まで話したことがないことが話され、聞いたことがない話し、言葉、声が聞かれていたら。よかったと思う。よかったと、

結婚という機に、みんな共に話せて良かった、聞けてよかった。
会話のきっかけづくりとなって良かった。と、

さて、来週娘の彼があらたまって家へやってくる。
多分結婚するのだろう。

共に「縁聴論」を継承してくれることを願う。

#結婚
#縁聴論
#オープンダイアローグ

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