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Irish Wolfhound Notebook©️2020-2023 アイリッシュ・ウルフハウンドに関する情報と記録のためのノートブック。 previous sites: Wolfhound People (2004-2011), Wolfhounder (2015-2020).

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ルアーコーシング

ルアーコーシングとは ルアーというと、疑似餌を使って魚を釣るルアーフィッシングがおなじみでしょうか。ルアーlureという言葉は、もとは中世の鷹狩りで放った鷹を呼び戻す時に用いた「おとり 」(作り物の鷹)を意味するフランス語loireに由来します。鳥・魚などの動物をおびき寄せて捕えるためのおとり、デコイや疑似餌もルアーです。また、人を惹きつける物、魅惑的な物という意味もあります。ルアーコーシングのルアーは、犬を惹きつけ、追いかけさせ走らせる「おとり」です。 コーシングcou

    • 甲状腺機能低下症

      hypothyroidism 犬では一般的な内分泌疾患です。甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが減少することで代謝が悪くなり、元気喪失、体温低下、食欲低下、体重増加、脱毛などの様々な症状が出ます。遺伝性の疾患で、血液検査で確認することができます。 アイリッシュ・ウルフハウンドでは症例は少なく、好発犬種ではありません。しかし他のサイトハウンド犬種と同様、もともと甲状腺ホルモンの値が低めの犬が多いため、甲状腺機能低下症と誤診されることがあります。血液検査で甲状腺機能低下症と言

      • てんかんと神経系の病気

        primary epilepsy てんかんは脳の神経細胞の過剰な活動が、意識障害や全身の痙攣を伴う発作を繰り返し引き起こす神経疾患です。原発性(突発性)のものと、脳腫瘍など他の様々な病気に併発して副次的に起こるもの(症候性)があります。 原発性(突発性)てんかん カサルらの2006年の論文によると、てんかん症状を示した796頭のウルフハウンドのうち、146頭(18.3%)が原発性でした※1。アイリッシュ・ウルフハウンドの原発性てんかんは遺伝性(常染色体劣性遺伝)であると考

        • IWに多い病気・気をつけたい病気

          犬の病気には、犬種に関係なく広く一般的にみられる病気もあれば、特定の犬種で多発する病気もあります。胃腸炎、皮膚病、アレルギー性疾患など、一般的な病気でウルフハウンドでも発症する病気も多くありますが、ここではとくにアイリッシュ・ウルフハウンドで多くみられ、注意すべき病気をリストアップしています。 深刻な病気悪性腫瘍、とくに骨肉腫 ー 骨肉腫はIWの約2割が発症し、死因の第1位となっています。治療をしても完治は望めません。 心臓疾患、とくに拡張型心筋症(DCM)ー DCMはI

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        記事

          離断性骨軟骨炎(OCD)

          Osteochondrosis, OCD OCD は成長期、とくに4~10カ月の子犬に起こりやすい病気です。関節の軟骨が小さく欠けて「関節鼠」となり、関節炎を起こします。 成長期の骨の両端には、成長板と呼ばれる軟骨でできた組織があり、これが骨に変化しながら伸びていきます。成長板になんらかの負担がかかると、軟骨細胞に障害が生じて正常な骨への分化ができなくなり、軟骨にひび割れや亀裂が生じます。これが関節まで波及すると関節炎を起こします。さらに関節の軟骨が部分的に剥離するとし、

          離断性骨軟骨炎(OCD)

          成長期に気をつけたい疾患

          ウルフハウンドの子犬は生まれて最初の1年間に急成長を遂げ、600g程度で生まれた子犬が12カ月後には60kg前後にもなります。生後3カ月から半年過ぎまではとくに急激に成長し、その成長の速さは、毎日体のどこかが大きくなる様子が文字通り目に見えるほです。それだけの速さで成長することもあり、成長過程ではさまざまな体のトラブルや病気が出やすくなっています。 とくに骨や関節のトラブルが起こりやすく、注意が必要です。怪我や衝撃が原因になることもあるので、月齢に見合った適切な運動(激しい

          成長期に気をつけたい疾患

          顎と歯の問題

          長年、アイリッシュ・ウルフハウンドでは、歯の問題は見過ごされてきました。しかし近年、下顎の幅が狭く(細く)なりすぎる傾向がみられ、それに伴う犬歯の位置異常によるトラブルが増えています。 欠歯 犬の歯と顎の問題で一般に多くみられるのは、欠歯や噛み合わせの異常(オーバーショット、アンダーショット)です。犬の歯は42本ありますが、その一部が生えてこない状態を欠歯といいます。犬種によっては、欠歯はブリードスタンダード(犬種標準)で欠点と定められていて、ドッグショーの評価に影響し、

          顎と歯の問題

          アイリッシュ・ウルフハウンドの寿命

          アイリッシュ・ウルフハウンドの平均寿命は、各種の調査から6.5〜7歳くらいであることがわかっています※。オスよりもメスのほうが長生きする傾向がありますが、いろいろな犬種のなかでも平均寿命が短い部類に入ります。 この犬種の飼い主にとって、「二桁」の年齢に達することは一つの目標であり、憧れです。しかし残念ながら、10歳のお祝いをすることはなかなか適わないのが現実です。統計データでみると、10歳に達するウルフハウンドは10頭に1頭、全体の約1割。11歳、12歳と年齢が上がるにつれ

          アイリッシュ・ウルフハウンドの寿命

          しっぽの怪我

          ウルフハウンドは一般にかなり長いしっぽを持っています。その長いしっぽを思い切り振るのは、凶器のようなもの。しっぽを傷つけてしまったり、折ってしまうことがあります。ちょっとした怪我なら問題はありませんが、繰り返し傷つけたり、骨折してしまったりすると、意外と治りづらくやっかいです。 ケアと予防 怪我をしたら、病院で手当を受けましょう。しっぽの先は痛覚がないためか、怪我をしても、さらにぶつけたり、自分で気にして噛んだりして悪化させてしまう場合もあります。そうなると治りづらくなる

          しっぽの怪我

          スタンダード(犬種標準)

          ジャパン・ケネル・クラブが加盟する国際畜犬連盟(FCI)のブリード・スタンダード(犬種標準)です(FCI-Standard No 160, 2001.4.2版)。 FCIに加盟する世界中の国で用いられているもので、原産国であるアイルランドのスタンダードに準拠しています。FCI非加盟のアメリカやイギリスで用いられているスタンダードは、若干の違いがありますが、基本は同じです。 ☆☆☆ FCI Breed Standard: Irish Wolfhound Japanese v

          スタンダード(犬種標準)

          コート管理(毛のお手入れ)

          日々の手入れ 日常的な手入れは、ブラシをかける程度でOK。換毛期にはそれなりに毛が抜けます。スリッカーブラシなどが便利です。 汚れたように見えなくても、毎日お散歩から帰ったら濡らしたタオルで全身を拭いて汚れを落とすようにするときれいに保てます。シャンプー回数も減らせます。 ハサミ ウルフハウンドの毛には、基本的にはハサミを入れてはいけないとされています。 ただし、お尻の周囲など、おしっこやうんちで汚れやすい場所は、目立たないようにハサミやバリカンで毛を短く整えておく

          コート管理(毛のお手入れ)

          運動

          超大型のサイトハウンドであるアイリッシュ・ウルフハウンドの運動については、小型犬や中型犬とは異なる点やサイトハウンドならではの特性があります。健全な発育と健康維持のために、適切な運動を心がけてください。 基本的に気をつけるべき点は、ライフステージにあった運動量=どの年齢でも疲れすぎる前にやめること、そして運動する環境=土や芝など柔らかい地面で安全な広い場所での自由運動、のふたつです。 子犬と成長期の運動 成長期は、体はどんどん大きくなるけれど関節や筋肉はまだ発達途中の時

          子犬の食事

          超大型犬はゆっくり育てることが大事。早く大きく育てようと高カロリーな食事をたくさん与えるのは逆効果です。成長時期に太らせると、骨や内臓に負担がかかり、かえって成長に悪影響をおよぼします。生後3ヵ月以降はやや細めの体型を維持するようにこころがけます。そのため、一般的な子犬向けの高たんぱく・高脂肪・高カロリーの食事は、超大型犬にはあまり適しません。 食事の選択 大きな体を作っていく食べ物はとても大事です。ドッグフードは多種多様な商品が売られていますが、材料の質の高い製品を、品

          子犬の食事

          避妊去勢手術

          避妊去勢のメリット・デメリット 避妊去勢手術には、望まない出産や特定の病気の予防というメリットがありますが、一方で特定の病気の発症率が増加するデメリットもあります。手術をするかどうかは、避妊去勢が健康に及ぼすメリット・デメリットをよく理解したうえで、個々の犬の性格や飼育環境なども考えあわせて飼い主が決めるべきことだと思います。以下では、主に病気に関して現時点で知られているメリット、デメリットをまとめました。 避妊去勢手術をしない場合には、当然のことながら、望まない子犬の誕

          避妊去勢手術

          血液検査の数値

          サイトハウンドの血液検査数値は、一般的な犬の正常値とはずれるものがあることが知られています。ウルフハウンドも同じ傾向があり、白血球数や血小板数が低め(基準値の下限、または下限をやや下回る)で、赤血球数やヘマトクリットが高めの犬が多いようです。平常時に安定してその数値を維持しているのであれば、とくに問題はありません。 白血球数の上昇は感染症などの指標となります。日頃からこの数値が低い犬では、何らかの原因で白血球数が劇的に上昇しても、一般的な「基準値」の範囲内に収まってしまい、

          血液検査の数値

          繊維軟骨塞栓症(FCE)

          Fibrocartilaginous Embolism, FCE / Fibrocartilaginous Embolic Myelopathy, FCEM / 別名:脊髄梗塞 Spinal Cord Infarction 脊髄の梗塞により急性(2~6時間)に四肢の麻痺が進む病気です。多くの犬種では中年齢で発生することが多い病気ですが、アイリッシュ・ウルフハウンドでの発症は非常に早く、生後6~16週の仔犬に多く発生します。 現在のところ、この病気には遺伝性はないようだと考

          繊維軟骨塞栓症(FCE)