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自分でざっくりの土地境界の復元に挑戦[DG-PRO1RWS + Drogger-GPS]

概要

この記事では、日本の運営するみちびき(準天頂衛星システム)を利用して、センチメートル単位での測量を行った際の内容を記載します。
以下で対象読者に想定するような方の一助となれば幸いと思っています。

想定読者

・センチメートル単位で地積測量データ(座標値)からざっくり土地境界を調べたい方(私がそうでした)。
・日本の準天頂衛星システムを使って、リアル下町ロケットの世界を体験したい方。

用語の整理

GPSとGNSSについて
解説記事が結構ありますので、上のキーワードそのまま調べて貰えれば分かりますが、一つだけ、”GPS”というのはアメリカの運用するシステム(Global Positioning System)の名称です。例えば「バンドエイド」などのように固有名詞が一般総称かのように言われている感じです。衛星測位システムには日本ではGPS互換のみちびき(英名称はQZSS)やロシアのGLONASSなど色々あります。正しくはそれらのシステムを総称して衛星測位システム(GNSS=Global Navigation Satellite System)と呼ぶらしいです。GPSでドヤれる感じの豆知識でした。

緯度経度と日本測量系(平面直角座標系)
よく位置データというと緯度経度が使われますが、日本の測量(土地の境界を定めるもの)は便利上平面直角座標系という表示形式が使用されます。
https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/datum-main.html
日本を13のエリアに分け、それぞれのエリアで原点からの平面距離でx,y座標(0.000m つまりはミリ単位)形式で表したものです。公共測量(つまりは登記される地積測量図)でも使用されることから公共座標系とも言われるそうです。
https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/jpc.html
今回は地積測量図の座標をGNSSで測量したいため、緯度経度からこちらの座標系に読み替える必要があり、どうやろうかなと模索していたのですが、後述するようにそれをズバリ解決してくれる製品がありましたので、とても助かりました。

さていよいよ測量方法(本題)

※まずはじめに免責ですが、土地境界の復元は土地家屋調査士の専任業務となります。素人が復元してもそれはあくまで目安にしかなりませんので本記事を参考に復元された境界を元に発生したトラブルその他一切に記事作者は責任を負いません。あくまでそのような事が技術的に可能だということを示し、誰かの一助となれば幸いと思い記載するものですので、ご自身の責任において試されてください。

用意するもの

以下の道具を利用します。

DG-PRO1RWS
https://www.bizstation.jp/ja/drogger/dg-pro1rws_index.html
そのままズバリな製品ですね。各種衛星から位置情報、補正情報を受信する機械です。今回のメインとなる機械ですね。

Drogger-GPS(アプリ)
上記製品の会社が出しているアプリです。適当なAndroid端末にインストールしてください。(Android端末は画面が小さいとちょっとつらいかもしれません)

三脚アタッチメント
GNSS信号の受信アンテナは地面からの電波反射を防ぐ板(グランドプレーンと呼ぶらしいです)があったほうが良いなど色々あるようなので、こちらの製品があれば、ピッタリアンテナ設置出来て便利でした。
https://www.bizstation.jp/ja/drogger/dg-pro1rws_index.html?tab=accessory

三脚
お持ちのもの適当で良いですが、私は以下を使用しました。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B00OBBUBSU/

三脚とのジョイントネジ
上記は測量機でよく使用するタイプの三脚なのですが、測量でよく使用されるネジサイズ(5/8ネジ)とカメラなどで使用される小さいネジサイズ(1/4)を変換する必要があったので、こちらを使用しました。ネジサイズだけでなくネジ山の数なんかも違うとうまくつかないのでここは要注意です。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07QB22L91/

セットアップ方法

事前に以下の記事を読むと前提知識がわかりやすいです。
https://drogger.hatenadiary.jp/entry/RTK_GUIDE
簡単な説明としては、リアルタイムで測量するためには、基準局(ベースとなる箇所)と移動局(移動して測量する場所)の2つがセットになる必要があり、機器2つ買うのはちょっとコスト高だなーとおもっていたのですが、便利な国土地理院が電子基準局を発行してくれるサービスがありました!

国土地理院の電子基準局サービス申し込み

以下から申し込みできます。
https://www.gpsdata.co.jp/service_menu/
送られてくるサーバーIPなど各種設定を以下の手順でアプリに設定します。

アプリの設定

以下の記述通りですんなりいけました。
https://drogger.hatenadiary.jp/entry/JGPS_VRS
それから、平面直角座標系の変換ですが、アプリのアップデートにより2021/5/29のアプリアップデートにより緯度経度から公共座標系の読み替えに対応してくれていました。以下の設定でいけます。
https://drogger.hatenadiary.jp/entry/2021/05/29/170544

センチメートル級測量で無事土地境界を発見

結論ビズステーションさんの製品+アプリでやりたいことは全て達成できました。すばらしい製品に感謝です。

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まとめ

今回は土地境界の調査ということで、今までのGPSだけですと数メートル誤差があるためむずかしかったですが、このような日本の衛星システム(GPS互換のシステム)を使用することで、センチメートル誤差での位置データを受信することができました。センチメートル誤差であれば、下町ロケットで扱っていたような自動制御の農作業や土木重機の自動操縦なんかもかなり実現可能性が高くなってくると思いました。また応用によってはさまざまなサービスも生まれるだろうと思い、ここから先はアイデア勝負という感じだと思いました。

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