見出し画像

Womb2020 #6 その事業は"誰"と創るのかー想いを持った事業の育て方ー

今回は、2020年10月28日に行われた第6回目のウェビナーで議論された、事業は"誰"と創るのかー想いを持った事業の育て方ーをまとめてご紹介します。

スクリーンショット 2020-10-29 10.04.16

本イベントでは、WOMB Business Incubatorで起業家向けに行う講義(録画)を中心に、実際に起業家が挑んでいる課題や事業における具体的な事例や、メンター・アドバイザーとのディスカッションなど実践的な内容ををウェビナー形式でライブ配信します。

WOMB Business Incubatorとは?

WOMB Business Incubatorは、広義の健康「ウェルビーイング(Well-being)」の社会課題の解決を目指す起業家を支援する10か月間のインキュベータープログラム(オンライン)です。起業に対する必要な知識だけでなく、領域の起業に必要である事業理念の作り方や業界特有のティップスなど、講師のセッションを中心に、1年後に事業を生み出す「覚悟」と「基盤」を作り上げます。


第6回は、【その事業は"誰"と創るのか-想いを持った事業の育て方-】をテーマに、ソーシャルビジネスに取り組む社会起業家を支援されている法務のプロフェッショナル小野田髙砂法律事務所・代表弁護士 小野田 峻先生を講師にお招きします。
起業家が成し遂げたい内容によって、スタートアップ的組織がいいのか、ソーシャルビジネス的アプローチがいいのか、有志のプロジェクトでも大きなことが成し遂げられるといった、小野田講師から見て「成し遂げたいことを誰とどういった立て付けで創るのか」というお話を頂きました。

WOMB Business Incubator メンター・講師:小野田 峻(小野田髙砂法律事務所・代表弁護士) 

盛岡で東日本大震災に遭遇したことをきっかけとして、東京弁護士会内有志の津波被災地訪問企画を立案し、継続的に実施。2016年11月には、社会起業家向けシェアオフィス(“social hive HONGO”)併設の小野田髙砂法律事務所を本郷三丁目にて開業。(2018年7月には増床。2019年11月時点で、shHに入居している団体は20社)法務サポートの提供だけではなく、社会課題解決に関連する人的リソースや社会的な興味関心を可視化し、かつ、有機的に連携させることにより、ソーシャルビジネスの脆弱性を支えている。
これに加え、社会課題解決に関わる全ての人々に対して、社会課題の領域においては、単純な二項対立は存在していないという視点(体験的気づき)を提供している。

共著のご紹介:弁護士「好きな仕事×経営」のすすめ―分野を絞っても経営を成り立たせる手法―

// 以下、小野田氏のご講演内容を引用、抜粋し記載します //

スクリーンショット 2020-10-29 10.06.54

震災後、より世の中を良くしたいと起業する人が増えた

司法修習中に盛岡で東日本大震災を経験、10ヶ月くらい裁判官、弁護士が何をしていたかを見ながら、自らもボランティアとして時期によっては沿岸部と盛岡を行き来きした。その後、盛岡で弁護士をする選択肢もあったが、東京と東北をつなぐ役割をしたいと東京へ戻った。東京の弁護士とし何かできることは無いかと、被災地訪問企画をセッティングし、普通セッティグしないような現地のアーティスト、メディア、語り部の人たちから直接話を聞くという企画を立て、東京弁護士会では今でも継続的に実施している。東北の被災地は街を丸ごと作り直さなければいけない。商業自体が一旦、丸ごとなくなった地域もなくなった2万人が突然いなくなった中で、働くってなんだろう、生きるってなんだろうと考え直す若い人が増えた。エティックの宮城さん曰く、元々あったが世の中を良くしたいと起業する方が増えた、と。

法律的なことも含めいろんな相談に乗る中、社会を良くすることを仕組みでやろうとするのが面白いと思い、自分だけでなく弁護士の一つの選択肢として社会起業家を支援する仕組みを作ろうと2016年に社会起業家向け併設の法律事務所を作りコミュニティとしては20社が入居。

参照)本
弁護士「好きな仕事×経営」のすすめ―分野を絞っても経営を成り立たせる手法―
参照)内閣府委託調査:我が国の社会的事業に対する資金的支援及び非資金的支援の実態に関する調査事例8参照。

伝えたいこと①想いを持った事業の育て方②その事業は誰と創るか

スクリーンショット 2020-11-02 8.38.47

事業を育てるところでは、自分自身の解像度を上げること。旧来型の画素数をグググと200年後300年後のモバイルデバイスくらいの解像度を上げる。その事業は誰と創るか、課題や変化からの距離は人それぞれ。

想いを持った事業(ソーシャルビジネス)を考えたとき、『人ってこういうもの』という現実とこういうことを実現したい、昨日泣いてる人を笑ってもらいたいと願いの現実化(創造力)の止場。iPhoneが出てくるまでボタンがないデバイスが出るとは想像してなかったのが、現実になっている。願いが形になっている。

人の習慣の力と社会の形状記憶の力はとてつもなく強い

自分に馴染みがあること、経験があるところに引っ張られてしまうし、元に戻ろうとする。元に戻ろうとする力は生活でも社会でも強い。誰しもに馴染みのある領域(教育、食、老、死など)は行動変容を起こすのは難しい。誰しもが経験するものはある種の成功体験、失敗体験があるので引っ張られてしまう。社会で大きく制度を変えていく時、制度が全てにアジャストしてるので、コストがかかる、非効率と思いがち。行動経済学でいう経路依存性。

明らかに効率の良いシステムがあったとしても、乗り換える時に感じるめんどくささを感じる。例えば、iPhoneアプリを乗り換えるのめんどくさいと感じるみたいなと考える。移し換えてしまえば、実はあとの時間はショートカットできる。非効率にコストがかかってることが社会でも同じことが起きている。

経路依存性=「あらゆる状況において、人や組織がとる決断は、(過去の状況と現在の状況は現段階では全く無関係であったとしても)過去のにその人や組織が選択した決断によって制約を受ける」という理論

バイアス=新しいシステムに移行できない→引力から突破して自由になるかを考える。その力を否定しても意味がない、対立構造も意味ないので、どう活用するか。その両立の先に当たり前だと思ってる延長線上じゃない、新しい当たり前の”未来”がある。

3つに整理したSocial Business Side

スクリーンショット 2020-10-29 11.53.17


①複雑な世界、正解がない世界で一番重要なことは何か。
結論は、新たな問い、優れた問いを立てる力。

答えを解く力じゃない。回答の力ではなく、問を立てる力が重要。今の時代、世界中の人ともアーカイブがあれば過去の人とも繋がれる。こういう面白い問題があると旗を立てると、自分で解けなくても良い。誰かが解いてくれるかもしてない。旗を自分で立てることが重要。

新たな問いと優れた問いを言い分けてる理由

優れた問いは、いま世の中にあるものは全ては途中だと思っている。改善できるし、さらに深掘りできる。もっと短時間で早く、遠くに行くためにはどうしたら良いのだろうかと考えたとき、トライアンドエラーを繰り返して最終的には馬車が数年に車に置き変わり、もっと問いを立てて、さらに東京ー名古屋間がリニアでもっと早く移動できるようになった。もっといい問いを立てると、良い問いは深掘りできる。

いま昨今のスタートアップベンチャーの波の中で、新たな問いばかりクローズアップしてると片手落ちと考えている。別に新たなことを思いつかなくても、優れた問いは、今あるものをもっとこういう風に使うようにはどうしたら良いか、じゃあ誰もがプログラミングをすぐに簡単にできるような教材を全国に伝えるにはどうすれば良いか、など問いを深掘りしてる人がもっともっと必要。新しいことを思いつかなくても、今あるものをもっと便利に使える方法はどうだろうと、それが問い。

正しさを届けるには足を止めて考える時間を作り出す必要がある

正しいだけでは足りない=世の中キレイゴトだけじゃないよね
正しさばかりをぶつけても、刺さらない。

スクリーンショット 2020-10-29 12.32.42


大人は色を読めと言うと漢字に引っ張られ、子どもは漢字を読めというと色に引っ張られる

短時間でこのテストをやるときに、間違えるのは脳がバグってしまっている。いかに人に届くように、情報を届けるのか。正しさを届けるには、足を止めて考えてもらう時間を作り出す必要がある。時間を作り出すことに切り替えるにはどう言うことをすると良いのかを考える必要がある。

合理的な行動や目的的な行動ではかえって本当に欲しい情報を受け取れない

システム1:直感的←かっこいい、面白い
システム2:意識しないと稼働しない←何が正しいのか

いろんな多くの人にシステム2で考えてもらうにはどうすれば良いかを考えることが重要になる。合理的な行動や目的的な行動は世の中的には正しいとされがちではあるが、必要な情報、熊本地震のときに被災地支援に個人で行ったとき、例えば弁護士会のブースが体育館の玄関の入り口に設置されていて相談しやすい雰囲気を作ってるが誰も行かないが、皿洗いしてるときに後ろで地域の方がこう言うトラブルあったらしいよ、と話してる人にどうしたんですかと入っていろいろ聞いて。弁護士会のブースに連れて行ったり、弁護士会の電話番号を伝えた。もし、自分が最初から弁護士だと名乗ってたらその人たちの話は聞けてない。

合理的な行動や目的ではかえって本当に欲しい情報を受け取れない

現地のニーズが聞きたいとなると、直接取りに行くより、生の情報を得るためにはどうすればいいかと工夫が必要になる。バイアスがかかったり、迎合があったり、独りよがりの事業にならないように工夫が必要。

思い描く未来が、抽象度が高くて実現までの道のりが遠ければ遠いほど、これまでの成果主義的な手法だと、かえってその未来の実践は難しくなる。

なぜなら、遠い未来に目標を置いて、バックキャスティングで考えて全部予定を組んでしまうと、それだけで一つの道が決まってしまう。実は無限にあった過程や可能性が全部決まってしまう。未来において、今が犠牲になり続けてしまうとそもそも意味がない。誰と、どう言う事業、今この瞬間どれだけ楽しく幸せにやれるかが突き詰めては一番大事。それが全部犠牲になる。かつ、成果を考えても、一つに道が決まってしまうと危うい。常にどんなと道にも行けるような状態で無数の可能性を担保したまま進めることが重要。

どういう視野で解像度でいるべきか

どう言う視野で、解像度でいるべきか。『私』と『あなた』は違う人。じゃあ、『私』と『社会』は別のものなのかと考えたとき、他人で構成された集合体の社会は別だと考えがちであるが、それではまずい。

支援者(行政、金融機関、専門家)による私と社会の捉え方

今までのソーシャルビジネスは『私』と『社会』は切り離した二項対立の世界観で組んでいるのでうまくいかない。事業を作る上でどう言うマインドセットでいるべきか、解像度でいるべきか。あなたと私は違う人。私と社会は別のものと考えがち。支援者(行政、金融機関、専門家)私と社会の捉え方:二項対立の世界観社会の中に課題があって泣いてる人がいる中で、外側に支援者や専門家がいる。課題の当事者からすると、支援者は他所にいる人。

スクリーンショット 2020-10-29 15.29.47


問題点は、5万人の泣いてる課題と500人が泣いてる場合、5万人が泣いてる方を優先されてしまう。日本のように人口減少、かつ多数決原理で選別されるので多数決原理で勝てない課題は放置されてしまう。

二項対立の世界観の弊害:現場の実態と(実存)との課題

①支援者に向けたお膳立てされた『事実』
=現場の実態とは異なる。顕在化されるまでにタイムラグが生じる。

②いわゆる解決策が展開されたときにはもう、現場は変化してる。
=解決策が現場に押し付けられる。

③解決策が支援者の数だけ生じる
=支援者同士の正当化論争に終始。現場放置。

④課題解決が、解決策というリソースの配分論に陥る。
=課題の当事者が多数決原理に晒され続ける。泣いてる人が5万人の課題と500人の課題では、常に後者が放置され続けてしまう。

パラダイムシフト、ゲームチェンジするためには?

スクリーンショット 2020-10-29 15.45.35

これからの『私たち』が気づく私と社会の本当の関係性:主客同一の世界観:主客同一の世界観

結局、全員を含めて社会。例外なんて誰もいない。それぞれが影響しあってすべてが変化している。1日で変化してる。頭の中で情報が飛び交ってる。いろんな情報から影響受けている。確固たる自分を切り離せない。全員が同じでありとあらゆる人たちがいろんなものから影響を受け、影響を与え合ってると考えると、途端に面白くなるソーシャルビジネス。収益構造がガラッと変わる可能性が出てくる。例えば、課題の当事者=500人が泣いてる、社会の構造が現状のようなものだから泣いてると見えてくると、その人が明日には笑顔になるにはどうすれば良いかと言う”問い”を立てる。新しい仕組み、ビジネスを生み出し、仮に笑顔になったとすれば、社会保障費が下がるかもしれない、他の人に行動変容を起こせるかもしれない。行動変容する側の人がありがとうとお金を払ってくれるかもしれない。受益者負担じゃないビジネスを作れる可能性。

事例)ライフワークインターン

大学生の中間層、自己肯定感が低く自分の周りにロールモデルがいない人が社会に入ったとき、急なライフイベントの変化(子育て、介護等)に対応しながら仕事をするイメージが持てるかどうか、と大学生がチームを組んでインターンに3ヶ月間ベビーシッター子育て支援をやりつつ、共働きの世帯の人と対話を重ねてソーシャルビジネスのアイデアを考えて、大企業に提案するのをワンパッケージにしているのを、自治体や大学に提案してる。大学生をこういう風に変わるためにはどのような教材、関わる人たちのコストを考えるが、スリールのプログラムは、受入世帯のパートナーを2人を対話の中で変容をする、来年も受け入れたい、その家族の上司も変容する機会を与える、大学側も大学生の変化を共有し気づきを与える。

関わった人たちが何かしら行動変容ができることに設計することでお金を払ってでも参加したいプログラムに変わる。すべてが互いの内外で影響しあって、変化し続けていくということ(相互存在)

ソーシャルビジネスに必要な3つの戦略的視点

スクリーンショット 2020-10-29 15.58.27

技術の進化と、社会の中で起こる5つのタイムラグ

①技術の汎用性・民主化のタイムラグ
→大学の中でしか使えないのがみんなで使える
②経済的タイムラグ
→高いものが安くなる(Oculusとか)
③精度のタイムラグ
→良きサマリア人の例え
④社会的関心・注目のタイムラグ
→どれだけいいことしてても時間がかかる
⑤心のタイムラグ
→技術が進歩しても人の心が追いついてくるか。

社会の変化によってどこのタイムラグを埋めるべきかが異なる。
馬車から車に変化したことはイノベーションだが、人間の内面は変わってない。技術が進歩して人の新しい感情や心のザワザワにはタイムラグがある。

iPhoneが出てきたことで人の行動変容が起こったと感じたのはつい最近でポケモンGOで子どもが外に出て、そこでリアルな虫に興味を持つことができて。この変容が起こるまで10年かかった。タイムラグがある中で、技術の進歩を追いかけて世代が変わるまで待つのか?

例えば介護の領域にテクノロジー、IOTを持ち込むのに抵抗があるお年寄りに、人間にお尻拭いてもらうのか、ウォシュレットか、どっちがいいかと聞いてウォシュレットと答えた人にそう言うことですよと論破したところで何の意味もない。追いつけない人がいるなら、その人のところまで行って一緒に前に進むことを誰かがやらないと、本当のところの社会の成熟にはならない。

対症療法か根本治療か

「解決できない課題」バトンを受け取って次に渡すか、この時代で終わらせるのか。社会的事業の役割の多様性について、価値創造、課題解決(横軸)個人の変容促進(いまここという感覚、微分的、暗黙知)、想いのバトンの継承(過去・現在・未来という感覚、積分的、形式知)ワクワクすること、本質的に現場の泣いてる人を笑顔にしたい。言語化しやすいか、しにくいか。

経済成長には本来、2つの意味がある

限界を押し広げるのがダメではなく、役割分担でボトムアップしていくところはお金も光も集まらないので、社会のボトムアップを実現するという意味の経済成長を自分は応援している。

右下は言語化しやすい。銀行、投資家
左上は言語化しにくい。成果を物差しが未整備
課題解決をミッションにしてしまうと、大企業や国の下請けになりがち

スクリーンショット 2020-10-30 8.33.38

他方で、価値創造は世の中の実態を一言で言い表せない。わかりやすく切り刻まれる。そういう風になりがち。別に課題解決してるとまでも言えないし、価値創造まで言えないが、関わってる人たちをどんどん変容させてるう団体もいる。先人たちの取り組みを未来に引き継ぐ団体もいる。そういう人たちの尺度を考えるときに、縦軸の個人の変容促進と想いのバトンの継承。

・ 想いを持った事業の育て方は世界の解像度を上げる。プレイヤーたち自身が解像度を上げていく。
・私たちの行動は世界の一部で、誰かの可能性が広がることは、世界の可能性が広がること誰と作るのか?

そもそも、チームが必要なのはなぜか?

誰かにとって、近い課題は、別の誰かにとっては遠い課題。その逆もある。何かの課題に近い人。特別な誰かにだけでなく、どんな人にも”役割”がある。
 ①課題や変化からの距離は人それぞれ。
熱量も使える時間も人それぞれ。熱量のない人も、忙しい人も巻き込んでいく必要もある。課題から近いことが尊いでなく、この課題から遠い人は別の課題と近い。誰もが何かの課題と近くにいるので、誰かに届けるにはより多くの広報ができるかもしれない。ちょっと遠い人の役割、熱量のない人も設計することも大事。

事例)心肺蘇生の訓練

サントリーの天然水が人体に近いことをサントリーに提案して、博報堂も巻き込んでペットボトルを利用した心肺蘇生訓練を発想。本来ゴミになるペットボトルを使った心肺蘇生訓練のキットを提案し、キットとアプリ組み合わせ豊島区と連携協定を結ぶ。豊島区が一番助かる町にする。


スクリーンショット 2020-10-30 8.42.07

ソフト面、誰とどこにどう逃げるか

誰もが誰もが、だから特別な誰かでなくてアクションをムーブメントしていく(ハッシュビーオレンジ→オレンジフラッグ)
できないことを糾弾するのではなく、できるところを褒める(ランキングを作る)

南海トラフの自治体は防潮堤がないところもあるから、海岸に津波を知らせるオレンジフラッグを垂らす。市町村レベルで広まったのだが、県では策定が義務付けられてるので、勝手に採点基準を作った。192自治体のできないところを糾弾するのではなく、できてるところを褒めるプレスリリースを打った。
津波フラッグhttps://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/tsunami_bosai/tsunami_bosai_p2.html

旗を立てることが法律で位置付けられてない、現地の声から分かったので、意見書を書いて、気象庁の方を巻き込んで、有識者会議を立てて音のサイレンで聞こえない方を巻き込んで1年間実証実験をして6月に改正された。

個の総和を越える。足し算で足りない部分を掛け算にする

人の習慣の力と社会の形状記憶の力はとてつもなく強い。1人の力じゃできない。足し算でも足りない。掛け算にしていくか。自然界で起きてることはすべて掛け算、1本の木の枝が1キロの重力に耐えられる木を3本を束ねると耐えられる重さは、3キロではなく、5キロ〜8キロ。川の流れも水の量が増えると掛け算で増していく。人は本人が本領発揮すれば。この総和を越えるために、チームである必要がある。その力をいかに自由になるか、どううまく活用するか。『私』と世界は密接。トライアンドエラー。みんなでトライアンドエラーを共有される状況が大事。

// 後半は登壇された小野田さんと奥田のテーマトークです //
WOMB Talk :メンター・アドバイザーを交えたテーマトーク

(奥田)社会と向かい合って変化を起こしてる部分で共通してるところがあると思うのですが、この10年くらいで社会に何かをもたらすビジネスが質・量ともに変わってきたと?

スクリーンショット 2020-10-30 10.16.01

市場に任せたらすべてが解決できるわけではない

小野田さん)エコシステムができてないと思っている。世代の積み重ねができてない。質的な変容ができて連なりができてない中で、この10年で何が大きかったかと、実感として東日本大震災と人口増加。競争原理を福祉に持ってきたときの弊害。

社会情勢の変化がある。今回のコロナみたいなことで、自分たちの生活が脆弱で不安定だと気付いた。人口減少の中で1人の人がいろんなことを担わないと労働力が減っていく中では間に合わない。参加型にならざるを得ない。

誰かが介入していく、勝手に良かれとやることに任せてればいいじゃん、だと部分最適が起きて全体最適が起きないことが分かった。参加型から協働型とか。最近特に感じてるのが、参加型だと名をなす人=有名な社会活動家がいた。前の世代は。今は自分のブランディグをするでなく、名を求めない、名もなき人たちと一緒に些細なところでストーリーを作ってることが重要になってる変化を感じている。

(奥田)社会的な事業をやってる中でもトップで人を動かす、兵隊のように下を動かしたいではなく、組織に”貢献”しなさいというのがダサい気がしてて。 逆に一人一人が有機的に動いた中でシナプス的な、トップを見ないで、伝達していく。神経みたいに伝達してることが面白いと思って見てる。貢献を求められることが腑に落ちないことがある。
もっと貢献したいです、となるとそうじゃないよね。と。社会にいいことをしてるのに、私も貢献したいと、相手が言ったときにそうじゃないよね、とNG出す意味は?

小野田さん)貢献したいと思ってる人は素晴らしい。どう言う理由で”貢献”って言葉を使ってることで、どう答えるかと回答を変えてる。貢献って言葉を使った時点で二項対立の世界観で捉えてる気がする。奥田さんのnoteで読んだGiveが終わる記事。

ワタシ的”Give”の時代の終わり
https://www.okudahiromi.com/blog/20190728/3521

貢献って使ってる時点で二項対立で捉えてないか

大変ですよねと言われるが、ギブをしてるつもりはない。自分の居場所で自分の生き方の延長線上に過ぎない。貢献って使ってる時点で、二項対立で世界を捉えてて、価値を提供しないとならない、という価値観にいるように見える。

あなたが貢献しようが、しまいが、どう動くかによって世界は変わってるというところに気づいてもらいたい。所作を変える、誰かに話しかける。話しかけたらもう世界は変わってる。 不自然なことはやりたくない。川の流れを邪魔してることを取っ払ってるだけ。特別なことをしてるわけでないし、実感として分かってる。

貢献という言葉を使ってると、ある種、思い込みや囚われの中にいると思うので、ハットするようなことを切り返しがち。それぞれの人が変わることで社会は変わってくる

(奥田)自分が貢献しなきゃと、立ち位置から焦ってまで人のために何かをする時代ではない。自分の場所に立って、自分の中から溢れたら、渡す。与えようとする時代は終わった。満たして満たして。まずは自分が一番幸せになる分野を作ろうと思って事業を作ってる。

スクリーンショット 2020-10-30 10.17.30


貢献という言葉は滅私に繋がりがちなので心配になる

(小野田さん)滅私の精神じゃダメで。弁護士なので事業の相談だけでなく、精神的な相談も同時に受ける。滅私の代表者の方はどこかで限界が来る。チームにもいい影響が出ない。貢献という言葉は、滅私に繋がりがちなので心配になる。

(奥田)数100人の社会起業家の人たちと接してる中で、陥りやすい気をつけた方がいいことは?

(小野田さん)正しさに囚われがち。課題に取り組むと情報が集まる。統計学、当事者の声、なんでそれが解決できないのかが見えてくる。ボトルネックがどこかと自分なりにも見えてくる。解決すべきだ、気づいたので届けようとする。いきなり届けようとしても理解してくれない。行政との関係、当事者との関係性。その自治体で何人いるのか、避けて通れない。それ以上に問題の課題がある中で自分が思う正しさに囚われることなく引いて考えられるかどうか。いまこの瞬間を蔑ろにしがち。

あるべき未来のために今を犠牲にしない

自分の中でのあるべき未来みたいなものからバックキャスティングからマイルストーンを置いて考えると、今を犠牲になり続ける。今がダメで、もっといい未来があるはずだと。バックキャスティグ思考は重要で課題解決が計画的にできないと。でもソーシャルビジネスがバックキャスティングに向いてるかどうかを考えた方がいい。いろんな可能性を潰してないか。

同時に自分の身近な人を犠牲にしがちとイコール。泣いてるどこかの誰かを幸せにするように、自分のチームもハッピーじゃないと。

未来のために、今の自分を犠牲にしない


(奥田)未来を犠牲にしない。今の自分を枯渇させるほど犠牲にしない。ギブの時代は終わった。小さいサイズのグラスで幸せになったら溢れさせる、それを繰り返す。今日ワクワクしてプロジェクトをするか。解像度を上げるの話と似てる。そのためには目の前の何にフォーカスするか。

スタートアップで言うとワンメトリック。何をしたらワクワクするか、人の行動が変わるか。行動変容。未来行動を変えさせようと言う発想はしなくて、数秒後に行動が変わって欲しい、30分ごに変わって欲しい。どれがいいかなと考えて方向だけ決めてる。

(小野田さん)自分が枯渇してると、人を巻き込みにくくなる。ビジネスは立ってる旗がお金だから設計しやすい。ソーシャルビジネスの中心のコアメンバーは生活切り盛りしてでも、10年かかっても頑張る。いいね、と副業的に関わる人、行政の人など熱量や時間に差がある人が集まる。創業者はやりましょうとしても。手伝ってくれる。旗がいいから。こんなにコミットしたのに、リターンがないのかとか。揉めがち。ソーシャルビジネスは初期段階で揉めがち。外部の人と揉めがち。熱量に差があるから。周りのチームがハッピーかと、目配せができてるのであれば、継続して関わりたいと言う人が増えるし巻き込める人が増える。

究極、みんな死ぬ。地球もなくなる、全て無にかえる。何かを残す、変えることを目的化しすぎて、それを至上命題にしてしまうこといかに虚無か。全てなくなってしまうなら今この瞬間、やりたいことをやりたい人とやるかが唯一の価値がある。

(奥田)3秒ルールに周りの人が何を感じるかと、一つ一つのことをやる。誰でもできそうなことでありながら、そこまで考えてないんだな。と思ったりしている。今回、Wombメンバーの面談の依頼などがあるが、共通してどう言う系統の相談が多そうか?

(小野田さん)自分が挑んでる領域がどう言う状況にあるか、どんなプレイヤーがいるかなど把握が不十分。ビジネスの領域だとフレームワークがあるが、ソーシャルビジネスは当てはまらない。オセロみたいに同時にひっくり返せないので、それぞれのプレイヤーが機能しあって、社会の行動や状況の把握が甘いから、どこに注力するか。どこと役割分担するか。場合によっては、他の団体を応援する。

自分のやってる事業を一つの法人でするのか、複数法人体勢でやるのかを考えるのが甘い。複数法人体制で社会のアピール、お金の集まり方も変わる。お金に対する思い込み、制度やルールに対する認識の甘さ。お金の正体を学んできてないと一面的な考え方だとお金に振り回される時がある。

(奥田)触れるためにはエコシステムに入るのがいいのか、何を具体的に行動の一歩として進めたらいいのか?今さらビジネス本じゃない。日本に足りてないのは何か?

反応が振動を持って返ってくるところに身を置く

(小野田さん)自分を知るのが大事。なににワクワクするか、なににザワザワする。世の中のビジネス本はだいたい読む必要がない。先人たちがすでに言ってる。先人たちの施策に対して知らなすぎる。

自分自身が思うザワザワや疑問は過去の人たちはどう考え、どう折り合いをつけたのか、どう言う手法だったかを探しにいく、登山やピクニックみたいな。自分が思ってた課題って、紀元前のプラトンが同じこと言ってるとか、アーレンが言ってることをビジネスで表現するならとか、ルソーの教育手法は今こそ大事だから今の技術だったらどう実現するか、とか。

自分から湧き出た疑問と先人たちの会話を始めてみた上で、実際の社会起業家のプレイヤーの発信を見てると、ビジネス本の延長なのか、本質的なことでやってるのかが見えてくる。そう言う人の活動に一緒にやってもいいし、普段の活動を変えてもいいし。それは必ずしも起業する必要はない。

(奥田)よく解像度を上げる、問いを立てる力を作る、具体的に何をしたらいいの?どう言うことを続けたらいいのかと質問しようと思った。

幼少時に帰って、なぜなぜ君に変えるとか。2000年前の人はどう考えてたのか。問いを立てる力の根底になるのかと。

自分をいつも、この場所じゃなかったら、時代じゃなかったらどうだったのか、どう考えるのかとと考える。

女性として働くと言うところを中東だとどうか、3000年前だったらどうなるのかと行動している。いろんな意味の俯瞰したもの、しゃがんだときの解像度を。

(小野田さん)問いを立てる力は大事。すぐに身につかない。時間と空間を広げる。時空を行き来する。これがイノベーションにつながる。

近所の鳥居とか。実は石碑があって、貝塚があって。自分のいる地域で時空を広げることもある。500年前や1000年前に広げる。世界を見て回ることだけが問いを立てることじゃない。空間を広げて考えることがキモ。

(奥田)これから何らかの事業、ビジネスを始めようとする人へのメッセージをお願いします。

(小野田さん)二項対立でない主客同一。みなさんの行動が何か変わるだけで世界そのものがすでに変わってる。

例えで出すのが、1モル(10の24乗)と言う単位。
海に赤インキをたらして海をかき混ぜることが出来たとしたら、コップですくうと最初の赤インキの成分が2,3個入ってる。

みなさんが行動して世界には何も影響を与えてないように見えるが、行動した側から世界の一部になっている。

そう言う意識を持って行動すれば、今日は駅から自分の家に帰る道を変えてみようと言うだけでもいい。目に見える範囲の人を変えるだけでもいい。もっと大きく世の中の問題を根本治療するでもいいし。気負う必要ないと同時に、みなさん次第で世界が変わっていくことを実感すると生きやすくなるし、楽しくなる。

(奥田)一つ加えるとすると、何か影響に与えた時に一番反応があるときに身を置くと、振動を持って返ってくる。場所を選ぶと楽しくワクワク生きられると思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?