週刊ヲノサトル vol.14 (2018.12.31-1.6)

/ ベランダでビール
/ 劇場で観た映画 2018
/ 酒を注ぐ問題
/ 綱渡りのプレッシャー
/ ダンスと音楽のマリアージュ
/ 他


12月31日 (月)

■ 何もかも忘れてリラックスするために訪れた南の島で、結局いつものように東京と仕事メールのやりとりを続けている哀しい生き物です。嘘です昼間っからベランダでビール飲んでられるので全然哀しくありません


■ 朝食のビュッフェにはシャンパンまで並んでいるではないか。「さすが一流ホテルは違うね!さっそく一杯…」と近づいて、衝撃のあまりその場に立ち尽くした


1月1日 (火)

[映画] 劇場で観た映画 2018


1月2日 (水)

■ 明後日はいよいよ本番。再演とは言え、劇場が変われば歩数も間合いも変わるのがダンス。ということは必要な音楽の長さも変わるわけで、送られてくるランスルー動画を観ながらストップウォッチで場面の長さを測り、サウンドを作り直す地味な作業を、休暇で来たはずのホテルで続けておりました


■ そしてCo.山田うん3daysの翌日はこちらのイベントなので、画面と音の関係を実証する面白動画の編集にもとりかかる。さらに翌日からは多摩美の講義なので、その準備も進めなければならない。どうやら2019年も、ジャグリングというか綱渡りというか自転車操業な生き方は続きそうだ


1月4日 (金)

■ 旅から帰ってビール飲んで昏倒していた人間が、ハッ!と飛び起きて早番入りました。


■  酒を注ぐのがグルーミング、というのはわかりやすい表現。社交なので「まあ一杯」と差し出されると一杯目は受けますが、あとは「手酌で結構!(ビシィ)」と猛々しく断って笑いをとるか、「注ぎ足されるとどうしても飲み過ぎちゃうんで…」と穏便に断ることが多いな。

個人的には酒を注がれるのもサラダや鍋を取り分けられるのも揚げ物にレモンを搾られるのも苦手ですが、それは、食卓で人は誰かのしもべになるべきではないといった平等主義的なものではまったくなく、単に「俺が、俺のタイミングで、俺好みの味を、俺の好きなだけ確保したい」からなのです


■ いい酒場は温泉に似ている。いつも夢想するのは、山奥に沸いた天然の温泉だ。そこには熊も猿もリスも小鳥もゆったり浸かって微笑を浮かべている。お互いが誰かなんて気にせず、めいめい好きなようにくつろいでいるだけだ。いい酒場には例外なくそんなバイブスが溢れている


■ 今年の初仕事、Co.山田うん『十三夜』atスパイラルホール 5公演が今日から始まった。想定通り、通し稽古の後は持ち込んだノートPCで修正作業。開場直前にデータを音響さんに渡す。こういう綱渡りのプレッシャーに弱い人には、お勧めできない仕事です…

今いちばん関与してるノボル一ザ(※能楽師安田登一座)も、おおむね綱渡りだけど、最凶に綱渡りな仕事はやはり明和電機だな。幕が上がる数分前まで、裏では工員が必死でハンダ付けしたり配線を直したりし続ける阿鼻叫喚の地獄絵図。それでもショーマストゴーオン!幕は開けなければならないのだ。

明和電機のステージで故障や事故が起きた時は、すかさず工員たちが駆けつけてステージ上で修理してしまう。社長は全く動ぜず「明和電機の製品はすぐ壊れます。でも、すぐ治ります」と語って笑いをとる。

機械は壊れる。人間は失敗する。そんなことは当たり前で、その時どう対処するかこそが大事なんだ。それを明和電機の仕事から学んだ。


1月5日 (土)

■ 
「パパってピグミーマーモセット?」
「ちがいます」

#息子氏の質問


■ なんか知らんうちに続々とライコー&サッティーのグッズができてきてるようだ…。いよいよ面白くなってきました。

「ライコー&サッティー」?(自問自答)


■ 昨夜の公演をふまえてアップデートしたトラックを音響さんに送った。ふつうのダンスは音のビートやカウントに合わせて動くから、後から音だけ変更するのは難しいかもしれないが、このカンパニーのダンサーたちは呼吸と間合いで動いているので、音が変わったぐらいではびくともしない。(本当は『また変えやがって!』と内心で舌打ちされている可能性も否定できないが……)

この『十三夜』を何度もご覧の住吉智恵さんからは「都会の夜の小粋な男女って感じなのよね〜♡」(一部脚色)とお褒めいただいた。実のところスーツやドレスに身を包み革靴やハイヒールで踊るにはあまりにもキツすぎる動きの連続だが、粋で軽やかに見えるのはひとえにダンサーの技芸。

四年前に本作の制作を始めた時、イメージにあったのはシェークスピアの『十二夜』だった。男女の性別を超えたさまざまな思惑が恋のから騒ぎを引き起こす、あの物語だ。照明が入ってからは、月の光に惑わされた美しい狂人たちの、一夜限りの宴にも見えてきた。

言葉による「物語」がないだけに、ダンスには観る側が自由にイメージを重ね、想像できる余地が大きい。今回の公演も、ご覧になった方が何を思い浮かべたか、できることなら一人一人に訊いて回りたいものだ。きっと全部ちがうだろう。そこがいい。


■ Co.山田うん『十三夜』2回目終了。また修正箇所が出てきたので、タクシーとばして帰宅。新しい音源を1時間以内に届けなければならない。面白くなってきたぜ……。


■ そして今日も、舞台が終わってみたら修正したい点があるので明朝までにお直し。ダンサーの生理はステージのたびに変わる。次にどう変わるかを読んで、最適解を用意するのが座付音楽家の業務である。

もちろんお客様に納得いただける水準にはなっているのだが、作り手目線の理想像に最後までこだわりたいのです。その一回、その空間に居合わせた人にしか伝わらないとしても。いや一回だからこそ。



「パパ、負けたことある?」
「何度もあるよ」
「動物に?」

#息子氏の質問


■ Co.山田うんの群舞では、舞台上の十数人がA群、B群、C群とわかれ、それぞれちがったことをやってるのだが、空間的にAとBが交錯すると、Aの中の一人がBの動きにスイッチしてそっち側の人間になってしまう。みたいなことが随所で同時多発的に起こる。文化の伝播や交通のメタファーのようでもある。


■ 中学生の頃の、学校での会話を突然思い出した
友「一円を笑う者は」
俺「ん?」
友「百円なら大笑いや」


1月6日 (日)

■ 我が座右の銘「酒に貴賎なし」にも通じるお言葉。

座右の銘その2
「酒は偽物でも、酔いは本物だぜ」


■ 本日のお直し音源も無事に送れたので、開演までのわずかなあいだ明日の無声映画伴奏の準備を続けます。演目はエドウィン・ポーターの『ジャックと豆の木』 


■ Co.山田うん『十三夜』ダンスと音のマリアージュ、ついに98点に達す!(自己採点)しかし我ながらしつこいとは思うが、あと2点がどうしてもほしい。夜公演の音を作り直すためにまた帰宅。制限時間はあと50分。

というわけで、泣いても笑ってもこれが最後の『十三夜』もうすぐ幕が開く


終演後はそのまま会場ホワイエで打ち上げ。山田うんさんと二人でカウンターに立ったら、割烹みたいな絵ヅラになった


それでは、また来週。

(2019.1.7)

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