まずはこれを見てもらいたい。以下はGoogle検索で『野球』と入力したサジェスト(2023年4月現在)だ。
・野球
・野球速報
・野球順位
・野球結果
・野球wbc
　さらにこの下はWBCに関する検索ワードが続いている。野球は日本で年間何百試合と放送されており、結果だけでも気になっている人がたくさんいる。要するに、野球は世間から注目されている競技ということだ。

　対してゴルフのサジェスト(2023年4月現在)。
・ゴルフ
・ゴルフパートナー
・ゴルフエフォート
・ゴルフ５
・ゴルフドゥ
　さて一番上のゴルフの下に連なっているのは何かと言われると、ゴルフ道具が買える店の名前だ。この事実からある二つの推測が立つ。一つは、ゴルフをやっている人間は自分の道具ばかりに目を向けて自分のプレーを向上させるか道具にモノを言わせて金の力でしかレベルアップを考えていない成金的自己中心的人間ばかりがこれに執着しているということだ。道具を買うことばかり考えて、他人がどんなプレーをしたのか、プロがどんな偉業を成し遂げたのかは全く気にしていない。
　そしてもう一つ。これが一番の問題だ。ゴルフは観ていてつまらない、というハナシだ。多くの人がプロの結果を気にしていないし、どんな勝負を繰り広げたかを気にと留めていない。興味があるのなら『ゴルフ　マスターズ　結果』なんてワードが候補に挙がるはずだ。結果を気にしていないということは、他人のプレーに興味がないも同義。興味が湧かないのはきっと、観ていてつまらないからだろう。

　更にこれを見てもらいたい。以下はGoogle検索で『野球　つまらない』と入力し、検索結果内に挙がってくる『他の人はこちらも質問』(2023年4月現在)という欄の内容だ。
・日本のサッカーと野球どっちが人気？
・野球 なぜ長い？
・野球 どこの国が強い？
・なぜ日本では野球が人気なのか？
　なんとなくだが、日本の野球人気の度合いや理由に注目している人が多いと思われる。また実際の検索結果のほうは、「野球がつまらないと言われてしまう理由とは」といった記事が非常に多い。野球がつまらないという話題を真摯に受け止め、その原因と真剣に向き合った内容を綴っている。

　対して『ゴルフ　つまらない』と入力し、検索結果内に挙がってくる『他の人はこちらも質問』(2023年4月現在)という欄の一覧にはこのような内容となっている。
・ゴルフ離れ なぜ？
・ゴルフの何が面白いのか？
・ゴルフはなぜ難しいのか？
・ゴルフ どのくらいお金かかる？
　お察しの良い人なら一目瞭然だろう。少なくとも『ゴルフ　つまらない』と検索する人はゴルフに対して「面白くない」「難しい」「金がかかる」というイメージを感じているのだ。しかも表現として「何が面白いのか？」「なぜ難しいのか？」と書かれている以上、いったんキチンとプレーをした上でそう感じている人が多いのではないだろうか。毛嫌い・食わず嫌いをしているという訳ではなさそうだ。同じように私も、最初から毛嫌いしていたのではなく興味が無かっただけだ。むしろ、実際にちゃんと始めたら面白いのかもなぁ、ぐらいには思っていた。しかも「どのぐらいお金かかる？」と質問している人もいる。これはもう言い逃れ出来ない、ゴルフとは、始めるためにも金がかかり、始めてもつまらなく、始めてもやめてしまう人が多い競技なのだ。
　そして検索結果の記事はもっと酷い内容だ。というか腹立たしい記事ばかり表示される。
・ゴルフが楽しくなる！〜
・ゴルフはスルメ〜
・ゴルフは魅力に気付けば楽しくなる！〜
・ゴルフは本当は面白い！〜
　こういうタイトルばかりだ。これらの記事を書いているのは、だいたいがゴルフのレッスンを生業としている人たちばかり。下手なうちに嫌になって辞められると、彼らの活躍の場はなくなってしまうので、「少しでも我慢して続けようよ！」と必死になってこういう意見を発信しているのだろう。そこで、このニュアンスを逆の面から見ると、こうも考えられないだろうか。「ゴルフは上達すれば楽しいですよ！」を言い換えると「ゴルフの始めたては全然面白くない初心者お断りのクソスポーツです！」となる。彼らはこのような意見を自ら発信しているのも同然だ。しかもこの人たちはもう一つの可能性から目を背けている。それは、ゴルフを続けて上達してそれでも面白くないと思う人もいる可能性だ。食わず嫌いをせず、コーヒーやビールのように何度も苦味を受け入れる努力をした。それでも飲み込めなかった、好きになれなかった。そんな人たちの存在を無視している。野球はつまらない、と言われてしまった時に野球ファンや野球人は、『そうだよねそう思われてしまうよね』とその意見を真摯に受け取っている。ゴルフはどうろうか？『つまらないのは初心者だけで上達すれば絶対に面白い！』このように反対意見から完全に目を背けている。他の価値観を遠回しに否定しているのだ。しかも野球はプロ野球人気を向上させるために投手が投げるまでのルール的制限時間を短縮し試合のテンポアップを目指している。ゴルフは自分達の競技が面白いと信じて止まないので、ルールが改善される流れは一向に無い。馬鹿は自分が馬鹿であることにすら気付けない、といったハナシに近しいものを感じる。
　確かにどんな競技でも、初心者がその競技を楽しみきれないのは、常であり仕方のない事だ(ただしこの考え方も後程徹底的に否定する)。それを抜きにしてもゴルフの第一印象は酷いものだし、ゴルファーはその現実から目を背けてばかりと言えるだろう。