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教養としてのボードゲーム

ここまで人口に膾炙してくるようになると、ボードゲームというのはそれなりに、一般的になってきたのでは無いかという仮説が成立するのでは無いか。

「ボードゲーム?あーはいはい、アレね。〇〇(何か適当なテレビ番組やウェブサイト、SNSなどを挿入してください)で取り上げられてたヤツね」

おおよその人が、そんな感じの反応をしてもおかしくは無い。のではないか。

であるならば、教養あるオトナ、教養あるビジネスパースンとして、別にそんなに詳しく無いけど、まぁ知っているアピール、しかも本質を突いたような絶妙な会話におけるエッセンスを提供したいと思うのが、人の常である。ビジネスの現場は、知識でマウントを取り合う気の抜けない猿山のごとし。自分が上だということを誇示しなければ、稟議のひとつも切れやしないのだ。しらんけど。

あなたはビジネスパースンであるとする。仕事関係で初めて会う人との雑談で

「私の趣味はボードゲームなんですよ」

と言われた時の回答について考察をしてみたい。会話の基本は、あいての意見を受け止めつつ、軽妙洒脱な回答をテンポよく返すということだ。
前提として「趣味はボードゲーム」と発言した人は、ビジネス上で良好な関係を築きたい相手であるとする。また返答するひとは、ボードゲームを遊んだことは無いが、なんらかの知識として知っているものとする。つまり、教養としてこれくらいは知っておこうというインプットをなにがしかやっていたとする。その知識を活用することとする。

①「それ人生ゲームみたいなやつですか」

ベタである。相手は微妙な笑顔を浮かべるだろう。あるいは、本当にこういう会話が存在するんだ!フィクションだと思ってた。と新鮮な驚きに目を輝かせるかもしれないが、それはあなたの回答が良かったからでは無いことを自覚してほしい。
「人生ゲームですか」という答えは、残念ながらとても教養あるビジネスパースンの受け答えとは言えない。みんなが知ってるものを、しかもちょっと外れた形で述べているにすぎない。
「(おいしく高価なみかんであるところの)“媛まどんな”が好きなんですよね」という返答に対し「カツ丼みたいなものですか」という問いかけをするようなものだ。食べ物であること以外に共通点がない(なんだか深遠な哲学が隠れているような気にもなるけど)

②「それUNOみたいなやつですか」

惜しい!すごく惜しい!耳からシュリンクが流れ出るくらい惜しい!なんかわかんないけど惜しい気がする!!
でもやっぱりちょっと違う。カードゲームだからそれはボードゲームじゃないんよ、という向きもあるだろうけど、おそらく多くのボードゲーム愛好家はそこを厳密に区別していないだろう。ボードが無くてもボードゲーム。勉強しない塾、原宿。あと新宿。
UNOはやはりパーティーゲームとして一定の認知度を誇りすぎてしまっており、コンビニでも売られてしまっているのでちょっとちがう。
「じゃあウボンゴも違うってことすか?」と心の中のイマジナリーWANIMAが言う。もちろんウボンゴは違わないのだけれど、今回の想定問答の答えにはなりえないんじゃないかな。
むしろUNOはみんな正しいルールで遊んでいない、とか、正しいルールで遊ぶと実は戦略的とかそういう話題とかもあるので、ここまでにしたいとおもいます。

③「それカタンみたいなやつですか?」

たぶんこれが現時点で限りなく正解に近いんじゃないかと思わなくも無い(筆者の個人的な見解であり、所属する団体の意見ではありませんし、別に何かの団体に所属してはいません)。
カタン。またの名をカタンの開拓者たち。またの名なのかどうかは心許ない。海外製のボードゲームを日本で販売する際におけるタイトルを翻訳するかとか、完全なのか完全ではない日本語版なのかとかのはなしについてはここでは立ち入らないようにしたいと思います。
カタンはその発売以来30年近く経過しても存在感を失わないボードゲームの金字塔であり、ボードゲームのなかのボードゲームと言っても過言では無いでしょう。世界大会も開かれたりすると言う。島に入植して資源を集めて開発するゲームだよ。ひつじが出るのは良いゲーム。当時としては革新的なメカニズムで複雑すぎるという批判もあったが、パラダイムシフトそのものである。
そのため、それを教養として知っていることは実に自然であり、情報感度が高い人が聞いたことがあるものとしては実に妥当である。
とはいえこれはちょっとベタすぎる。ドイツ出身の知人は紛れもなくボードゲーム愛好家なのだが、カタンは絶対にプレイしたくないそうだ。「学生時代に遊びすぎたから」というのがその理由だという。超クール。そんなことがあるのか…。うらやましいなぁ。
「モノポリーみたいなやつですか」というのも近いニュアンスがありますね。ボードゲーム愛好家の中には(なぜか)モノポリーを快く思わない人が多いイメージがあるけど何故だろう。モノポリーの説明は割愛します。

④「それ、トレーディングカードゲームみたいなものですか」

あるいは任意のトレーディングカードゲームの名称を言うこと。マジックザギャザリングとか遊戯王カとかポケモンとかですか。それはボードゲーム界隈と近くいようで遠いのですが、近接した領域であってなんというかいろいろ知ってそう感が出ます。もちろん両方嗜む人も多いと思うけど。ただし、トレーディングカードゲーム愛好家は、それをメインで遊んでいることが多い印象。

⑤「それ、〇〇(なにかヒットしたボードゲーム)ですか」

これがまあいいんじゃないのかな。
例えば、プエルトリコ、アグリコラ、ドミニオン、アズール、サイズ、ウィングスパン、あたりが挙げられるのではないかと思う。最近のタイトルはあまりわからないのですが。

⑥「それどんなものですか?教えてください、遊んでみたいです」

いや、これが正解かもしれない。でももうこれは教養とか関係なくて単に会話力、人間力による回答だわ。
あなたに興味があるんです、あなたと遊びたいんです。そう言われると悪い気はしない。悪い気はしねえな!


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