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こんな夢をみた。

20分だけ仮眠する、つもりが朝までぐっすり眠っていた。
そんな日は見た夢を覚えていることが多い。
今朝もそんな調子だった。
寝ている間に毛布を蹴飛ばして下に追いやったり、布団を横長に被ってしまい、寒い寒いと言いながら目覚めたりと季節によって多少の違いはあるものの。
夢を見た朝は頭に薄っすら灰紫色の靄がかかる。
その間中ずっと、私は床から出たあとのことを考えながら靄が晴れるのを待ち続ける。
しかし現実は待ってくれないのだ。
シミュレートどおりの行動を取りながら気休めとばかり手首足首の関節をパキパキ鳴らしながら起き上がる。
パキパキといえば、今朝はパッキングがなかなか終わらない夢だった。
白い段ボールに押し込めるようにして私物――そのほとんどが書籍や資料といった紙類――をまとめる私に「おめでとう!」だの「頑張ってね!」だのと声を掛ける人たち。
何がめでたいのか、何をどう頑張るのかわからないが夢の中の自分は丁寧に言葉を返している。
その一方で、もっと時間をくれ!!と内心で大絶叫している。
なんとも複雑だ。
現実では所持していないが夢の中の自分は何とも仕事の出来そうな人間が巻いていそうな腕時計をしていた。
その文字盤はタイムリミットまであと20分弱。
なんのタイムリミットかって?
ここ(がどこか知らないがおそらく学校のような施設)の閉鎖時間だ。
学校(仮)なのになぜか畳敷きの部屋に押入れがあり、そこに私物が詰め込まれている。
茶道部の部室らしい間取りでもない。
そもそも学校(仮)に私物を置かないだろう。
現実の私は置き勉すらしなかったのに。
くだらないことを考えながらも白い段ボールたちを次々に完成させてゆく。
ガムテープがなければ遠目で豆腐に見えなくもない。
その一つひとつに宛先記入済み荷票をつけているのだが、やはり夢。
宛先の住所と氏名がぼんやりしていて読めない仕様になっているのに私は露ほども記載内容に不審感を抱かずに作業している。
おそらく自宅か夢の中での転居先が書かれているのだろう。
名前まで判別不明なので受取人が自分であることを祈るばかりである。
押入れの最後の煤けた茶色の段ボールを引っ張り出して白い段ボールに詰め替えようとしたところで、気がついた。
茶段ボールの中身は私の所有物ではないことに。
茶段ボールの中身は新興宗教の教本だの雑誌(信者は神誌と呼んでいるが私はそう呼びたくない)だの電子記録媒体だののフルセットである。
夢の中の私も現実世界の私も新興宗教の売りつけセットに嫌気が差しているので中身を殴りつけてから茶段ボールを封じた。
黒マジックペンで大きく「ゴミ」と書いてから。
夢ならではのらくらくシステムで荷物は白段ボールに詰めて荷票をくっつけておけば目的地まで運んでくれるらしい。ありがたい。
ゴミは各自で処分とのこと。
タイムリミットが迫ってきた。早く出て行けとばかりに蛍の光が聞こえてきた。
廊下へ出て通りすがりの女性に明日も作業をしてよいかどうか尋ねてみる。
メガネをかけたスリムな女性に言われた「明日は土曜だから建物自体は開いている」の言葉を信じてゴミたちを放置した。
あした片付ければいいか、と思ったところで目が覚めた。

おはよう現実。
今日もタスクに追われてる。
まだ死ねない。


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