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【世界一周・旅のカケラ #22】現地の食卓に混ざって朝ご飯にあやかる

ピピ島ではさまざまな出会い、そして経験をしたけれど、記憶に残るのはいつだって現地の人との関わりだ。

ピピ島の宿は、クラビのねぇさんが結んでくれたご縁、ダイバーのさとし君が紹介してくれた格安宿。しかも気のいいさとし君は顔が広く、ピピ島のローカルからも信頼されているようだった。

おかげで宿のスタッフが、毎日顔を合わせるたびに挨拶をしてくれた。

この宿は複数の建物で成り立つ、不思議な作りになっている。

ピピ島での私の拠点

寝泊まりした部屋は確か、独立した建物にある男女ミックスの16人ドミトリー。私以外はオーストラリア人の男の子、そしてイギリス人男子のグループとメンズだらけ。その中に小さなアジア人(私)が混ざるわけだけど、ミックスドミトリーにはとっくに慣れていたし、この部屋はかなり大きくて快適だった。

部屋から通りへ出る階段

部屋から出るとトイレや横に長い洗面台があり、降りていくと右手に船みたいな建物があり、左手に屋根付きの円盤みたいなスペースがある。

それらはそれぞれ食事をする場所で、船の建物はレストランの役割を果たし、そこでは滞在客以外も美味しいタイ料理にありつくことができる。

円盤みたいな建物は滞在者用の食事場所になっていて、モーニングやカフェも楽しむことができるのだけど、時間帯によっては宿を経営しているファミリーが食事を取っていることがある。

そのタイミングで通りかかると毎回、食事に招いてくれるのもきっと、私をさとし君の「連れ」と思っているからだろう。

私は滞在中に毎朝通ったベーカリーがあったし、夜は夜で宿のルームメイトたちと出かけることも多かったのでなかなか参加はできなかったけど。一度だけ、その家族の朝食に混ざったことがある。

招かれて着いたテーブルはまさに家族の団らん。4枚の大皿とライスが乗り、それを3人でシェアしていた。

しかも朝から信じがたいほどのスパイシーフード!カレー味のサテーに始まり、肉だんご入りスープヌードルに、パパイヤのサラダ・ソムタム、そしてタイ風オムレツが並ぶ。どれもできたてで熱々で湯気が上っている。

「これも食べろ、あれも食べろ、もっと食べろ」とさらにレバーや魚のナンプラー漬けなどちょっと苦手なものも取り皿にどんどん盛られる。笑。汗が噴き出すようなものもあり、口の周りがヒリヒリする…。いったい何が辛いのかわからないまま、口に運び続ける私。

ただ「現地の家庭の味」というのは、お金を払っても食べられるものではないから、チャンスがあればいつでもありがたくいただくことにしている。

だってどこの馬とも知らない日本人を、知り合って数日の私を、家庭の食卓に招いてくれる器よ。しかも朝から!

しかも英語だってままならないファミリーだった。私を手招きしてくれた一番若いスタッフは、カタコトの英語で話しかけてくれたけれど、食卓を囲みながらそのお母さんや別のスタッフはにこにこして、一緒にただもぐもぐしていただけだ。

でも観光地って、それも途上国にいるとね、そういうのも気にならなくなるのが不思議。まるで毎日しているじゃない、と言わんばかりのさりげない誘いは、乗るのが当たり前という気分になってしまう。

いや、決して当たり前じゃない。彼らの好意であり温かさだと重々感謝しつつ。つい旅人として何度も甘んじてしまうのだ、そのあまりの心地よさに。

旅のなかで幾度となくそんな風に、あるときは家庭にあるときは職場に招かれて現地の食卓に混ざったものだ。

そのなかでもこのピピ島の宿で食べたタイ料理の朝ごはんは、美味しさでも品ぞろえでもぴか一だったな。と、朝から食べたスパイシーな家庭の味を思い出そうとしてみるのだった…。

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これは同じ敷地内にある、船型のレストランで食べた食事

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