ヨーロッパの郷土菓子
ヴィクトリアスポンジ (Victoria Sponge)、イギリス
イギリスの代表的な郷土菓子の一つ。19世紀イギリス王室のシェフが考案したスポンジケーキで、かのヴィクトリア女王が“オズボーンハウス”(王室の離宮)のティータイムに楽しんでいたといわれています。
当初はジャムを挟んだだけのシンプルなものでしたが、現在はクリームや果物が使用されているものが一般的です。
カッサータ (Cassata)、イタリア
イタリア・シチリア発祥の伝統的なお菓子。リコッタチーズとスポンジケーキをマジパンで包み、アイシング(糖衣)やシロップ漬けのフルーツで華やかに飾り付けられたデザートです。
その起源には諸説あるものの、9世紀初頭シチリアを侵攻してきたアラブ人たちから伝わったといわれています。
ウェルッシュケーキ (Welsh Cake)、ウェールズ
ウェールズの伝統的なお菓子。ウェールズ語で「ピカーラマイン(=石の上のケーキ)」を意味し、平たい鉄板で焼き上げて作られます。
生地の中にカレンツ(干しブドウ) やスパイス(シナモンやナツメグなど)が加えられたもので、バターを塗ったり、砂糖をまぶしたりしていただきます。
カーディナルシュニッテ (Kardinalschnitte)、オーストリア
オーストリア・ウィーンを代表する郷土菓子。メレンゲとスポンジケーキをストライプに焼き上げた生地に、クリームやジャムを挟んだお菓子です。
コーヒークリームのものが有名ですが、古くからあるのはフランボワーズジャムの方です。
ターイターイ (Taai-taai)、オランダ
アニスと蜂蜜のクッキー。オランダの祝祭/シンタクラースの日に食べられるお菓子で、オランダ語で“Taai (硬い)”を意味します。
シンタクラースとは、サンタクロースの原型といわれる聖ニコラスのことで、彼の命日の前日12/5には子どもたちに贈り物を贈る習慣があります。
カタイフィ (Kataifi)、ギリシャ
ギリシャで親しまれているお菓子の一つ。「天使の髪」とも呼ばれる細い生地(フィロ生地)を焼いて、その上からシロップをかけたお菓子で、生地の中央にはクルミやアーモンド、ピスタチオが入っています。
そのルーツは中東にあり、地域によってバリエーション豊かなものが楽しめます。
クレームシュニッタ (Kremšnita)、クロアチア
クロアチアのサモボルで生まれた郷土菓子。カスタードクリームとメレンゲが2層になったクリームをパイ生地で挟んだお菓子です。
クロアチアの広い地域で親しまれているものですが、他の地域では冷たく、サモボルでは温かくして食べるのが特徴です。
チュルチヘラ (Churchkhela)、ジョージア
“ジョージアンスニッカーズ”と呼ばれるジョージアの伝統的なキャンディー。糸で一列につないだナッツ類をブドウ果汁に浸し、乾燥させて作られます。
長期保存が可能な上、栄養価にも優れているため、かつては軍人や旅人の食糧として食されたことが多かったそう。
ヴィーエ (Wähe)、スイス
スイスのタルト。アプリコットやルバーブ、りんごなどの季節の果物の他、チーズやほうれん草など多種多様なものがあります。
復活祭(イースター)の40日前から始まる“四旬節”は肉食を断つ習慣があり、かつてヴィーエはこの期間中に食されることが多かったそう。
ロスコン デ レジェス (Roscon de reyes)、スペイン
スペインのクリスマスのお菓子。ドーナツ型の生地に砂糖漬けしたフルーツやナッツが散りばめられたケーキで、1月6日の公現祭(3名の賢者がキリストの誕生を祝福した日)に食されます。
ケーキの中には陶器の人形や豆が入っており、前者は幸運が訪れ、後者はロスコンの代金を支払わなければならないルールがあるそう。
カルスコー (Koldskål)、デンマーク
デンマークの冷たいデザート。バターミルクの入ったレモン味のミルクスープにクッキーやフルーツを入れていただきます。デンマーク語で「冷たいボウル」を意味するもので、夏の定番デザートとして親しまれています。
シュヴァルツヴェルダー キルシュトルテ (Schwarzwälder Kirschtorte)、ドイツ
キルシュヴァッサー(さくらんぼの蒸留酒)を染み込ませたスポンジ生地にさくらんぼとチョコレートで飾り付けをしたドイツのケーキ。
ドイツ南西部、シュヴァルツヴァルト地方の黒い森をイメージして作られており、ドイツ語で「黒い森のサクランボケーキ」を意味しています。
クルトシュカラーチ (Kürtős Kalács)、ハンガリー
ハンガリーやチェコ、ルーマニアで親しまれている焼き菓子。ハンガリー語で 「クルトシュ(Kürtős) = 煙突」、「カラーチ(Kalács)= ケーキ」を意味します。
棒にパン生地を巻きつけて回転させながら焼き上げるお菓子で、シナモン・ココア・ナッツなど様々なフレーバーがあります。
シャルロット (Charlotte)、フランス
フランスの伝統的なお菓子。細長いビスキュイ生地の中に、ババロワやフルーツを流し込み、冷やして固めたもの。
その名称は、英国王ジョージ3世の王妃 “ソフィア・シャーロット”が身に着けていたボンネット風の婦人帽に似ていることに由来します。(諸説あり)
ベルギーワッフル (Belgian Waffles)、ベルギー
ベルギーのお菓子。甘さ控えめの四角い形をしたブリュッセル・ワッフルと甘くて丸い形をしたリエージュ・ワッフルの2種類があります。
街角のスタンドなどでは、フルーツやホイップクリーム、チョコレートソースなど様々なトッピングがされたワッフルが店頭に並べられています。
パステル・デ・ナタ (Pastéis de Nata)、ポルトガル
ポルトガルの伝統菓子のひとつ。丸い生地に卵黄をふんだんに使用したカスタードクリームが入ったタルトで、朝食や軽食に食べられることが多いそう。
マカオを経由してアジア地域に広まったものは「エッグタルト」として親しまれています。
パパナシ (Papanași)、ルーマニア
ルーマニアの伝統的なドーナッツ。ルーマニアのフレッシュチーズ「ウルダ」やカッテージチーズ、レモンの皮などが入ったもので、その起源は古代ローマ時代ともいわれています。
揚げたてのドーナツの上からサワークリームやジャムをかけていただきます。
ナポレオンケーキ (Napoleon Cake)、ロシア
ロシアの伝統的なケーキ。フランスの郷土菓子“ミルフィーユ”が原型で、1812年ナポレオンのロシア遠征(祖国戦争)の100周年を記念して作られるようになりました。
全体を覆うように装飾された細かいパン粉はロシアの雪を表現しており、当初はナポレオンの三角帽を象ったケーキが作られたそう。
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