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Bolivia


2009.September

クスコからバスでチチカカ湖へ向かった。

チチカカ湖はペルーとボリビアにまたがる巨大な湖。世界で最も高い土地にある湖だそうだ。(富士山よりも高い)
ぼくらはボリビア側のコパカバーナに滞在することにした。エクアドルのコミュニティをやっているニッキーからもコパカバーナの町と太陽の島というチチカカ湖の島を薦められてたので、楽しみにしていた。

色んな宿で情報ノートを色々見ていると、コパカバーナにある宿に特別部屋があるらしく、そこは特別なんだけど、宿代は他の部屋と変わらず、空いていれば誰でも泊まれるそうなのだ。その宿に着くと、ぼくらは早速その部屋が空いているかどうか聞いてみた。

すると空いているので泊まれるとのこと、ラッキー!!!
その部屋は建物の最上階の5階にある部屋で壁面が4方共全て前面ガラス張りで、目の前にチチカカ湖を一望できる。そして朝日も夕日も素晴らしいらしい!

部屋は清潔できれいだし、しかも安い。めっちゃ安い。
荷物を降ろして、オーナーのおばちゃんと話していると、おばちゃんはコカのお茶を入れてくれた。ここボリビアとペルーではコカ文化が大昔から根付いていて、健康のため栄養価が多く含まれているコカの葉を噛んだり、お茶にしたりしてよく日常的に親しんでいる。

お茶をしながらおばちゃんは面白い話を聞かせてくれた。話題がぼくらの部屋のことになり、眺めいいっすねー!なんて話していると、そうそう、12時過ぎに裏の山の頂上を良く見てみなさい。しょっちゅうあそこにUFOが浮かんでるんだから、とおばちゃんが言い出した。ニヤニヤしているが、何度も何度も見たんだという。 
そりゃーーー楽しみだわーーー。

翌朝、ぼくらは近所の市場(メルカド)でフルーツを買ったり、色々と買出しをし、近くの山に登ってみた。


コパカバーナは思っていたより大分小さな村。きっとボリビアは貧しいからなんだろうけど、ペルーから来ると更に大分ひっそりとしんみりと感じる。

それは昨夜、もうお店が閉まっているからだろうと思っていたけど、こうして昼間に歩いてみてもやっぱり静かで控えめな、言い方を変えると物が少ない印象。
村の風景にはどこを見ても必ず大きな体にパナマ帽を被り、色とりどりの布やマントを体に巻いて膨らんだかわいいスカート姿の先住民のおばさんたちがいて、糸を紡いでいたり、物作りをしている。この国は国民の半分以上が先住民なのだ。


先住民の暮らしは近くで見ているだけでとても興味深いし、見習う点が多い。
彼らこそ、地球と共に暮らしてきた人たちなのだから。
手作り、自給自足。
これは彼らにとって基本の生き方。もちろん地域や人によっては現代文明との関わりが深い人やそれ故に大変な諸問題に苦しむ人たちも多いが、彼らを見ていていつも何か
ぼくらが忘れている人間エネルギーを感じる。大地との近さというか。

ボリビアに入って、物価の安さをペルー以上に感じるが、食事の質は下がったようだ。
お米や野菜やスープもペルーの方がうまかったー!
けど、ここチチカカ湖は天然のマスが食べられる!
どこに行っても鶏肉だらけの中南米でおいしい新鮮な魚をいただける場所は超ありがたい! うまいマスを何度もいただいた。

ある日、太陽の島に行ってみることになった。
船で数時間かけてチチカカ湖を渡っていくと、太陽の島は浮かんでいる。その隣には小さな月の島がある。

Isla de la luna

 
ものすごく素敵な島だ。ほとんど人口のものがなく、自然のままの島に人が住んでいる。
もちろん工業的なものはなく、人の暮らしと自然が共存する美しさを強く感じた。
全てが土に帰る有機的な暮らし。美しいね。


自然環境も抜群に美しい。高度が高い土地だから空気も澄んでいるんだろうねー。日差しはメッチャ強く、
油断してるとすぐヒリヒリしてくるほどだけど、湖の青さと空と島の風景がとんでもなくきれい。


島をゆっくりと北から南へ歩いてみると数知れない極上絶景スポットがある。なんでこんなにピースフルな
景色なんだろう。

ここに住む先住民たちは当たり前のように母なる大地(パチャママ)を大切に、そして寄り添って生きてきている。パチャママから必要以上のものはもらわない。パチャママありがとう、と。

島の至る所で目にする段々畑もこの土地を生かした伝統的な農法だ。
島にはインカ時代の遺跡も残されている。

ぼくが好きな場所は島の南にある若返りの泉。ここの湧き水はすっごくうまい!島の人もこの水を飲んでいるんだねー。聖なる水。水が美しいところはいいね!
泉と川の周りにはいくらでも天然のクレソンがある。うまかったーーー!!



ぼくらが宿の近くでヤギを見たりロバの嘶きを聞きながらのんびりしていると(ロバうるさくて変な声)、小さな
女の子が近くにやってきた。オラー!調子はどうだい?と話しかけると、女の子はどうやらぼくらに写真を撮って欲しいみたいだ。ん??
しかもよく聞いていると、写真を撮ってお金を欲しいみたいなのだ。ぼくらも、ごめんねー、お金はないんだよ。と言いながらお話していると、その子は大事そうに胸から下げている小物入れから自分の宝物であろうものたちをぼくらに見て見て!!と言わんばかりに見せ始めてきた。
よく見ると、それは小さな少し泥のついたお菓子のオマケであろうメンコが5枚、しかも全部同じ絵柄のものと、小さなシャツかなんかのボタンが一つだった。

ぼくとみちは少しの間に色々思った。いくら4歳くらいの女の子とはいえ、日本だったらこのメンコとボタンを大事に大事に持っている女の子っているのかなー、と。
ここは、チチカカ湖に浮かぶ島。商店も一つもない。
物が強烈に少ない土地なんだなー、と島の現実に少し触れた瞬間だった。
しかし、一方でこの子のクルクルのキレイな瞳と嬉しそうな笑顔。大切で貴重な時間を過ごしている実感が湧く。

みちはその子に自分の首に下げていた小物入れとそこに入れていたメキシコで拾った自分の貝殻をあげた。
それを自分にくれるんだと分かった瞬間のその子の笑顔は忘れられない。嬉しくて嬉しくて、その後も笑い声が溢れてきていた。なんてかわいくてキレイな心の女の子なんだろう。幸せってやっぱ心の問題だよなーと改めて女の子を見ていて感じた。

その子はあまりに嬉しかったようで、みちにも自分の宝物のメンコをお返しに渡して、
思い出し含み笑いをずっと繰り返しながら友達の元へ去っていった。

あれも現実。これも現実。
あそこも中心、ここも中心。
自分はどんな現実を選んでいくのだろう。

太陽の島は素晴らしかったなーーー。 今度来る機会があったらテントを持ってきてキャンプしたいなー。あそこはキャンプしたらかなり最高。

ぼくらはその後コパカバーナで友達のりえちゃんと何日か過ごし、首都ラパスを目指した。


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