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革命はなぜうまくいかないのか

 アラブの春が起きてから10年以上が経過しようとしている。そこから世界はどのように変わったのだろうか?エジプト・シリア・チュニジア・イエメンなどなど多くの国に革命の嵐が起き、独裁政権が倒されるに至ったが、そのほとんどの国で統治がうまく進んでいない。独裁政権が倒され、その結果台頭してきたのが独裁組織イスラム国というのはなんとも皮肉な話しであろう。

 アラブの春の影響で難民の数もそれ以前に比べて劇的に増加した。

 フランス革命やベトナム革命など多くの革命は成功するイメージの方が強いが、近年起こった革命は失敗する傾向が強い。世界的な評価だけではなく自国民も「革命前の生活の方が良かった。」と言うぐらいである。それはなぜなのか?

 私個人としてはSNSという媒体を通じて革命が行われたという要因が大きいのではないかと思っている。SNSは人を集めて扇動するには適しているが、理念に共感し、議論を重ねた末により良いものを作り出すという媒体ではない。典型的な例はTwitterだろう。ご存知の通り140文字という制限がある。140文字で自分の理想。そして、国統治のあり方について理解を深めるのは不可能だ。

 SNSは熱狂を生みやすいが、腰を据えて取り組むということに活用するには不向きだ。ライブハウスのように熱狂を高めることができ、大きな畝りとなって既存勢力を破壊することはできるが、それは一種のライブのノリに近く、ライブ終了後は解散してしまうのである。ロックコンサートに行って、コンサート中は盛り上がるが終わった後は日常の生活に戻る風景に近いものがある。

 もちろん、独裁政権が良いとは思わないが、十分な考えと統治イメージを持ってから政権を打倒しなければ、新たな独裁政権を産むだけである。しかも戦乱の後にできた政権なので国民も疲弊しきっており、独裁を止める力はもはやない。より良い国統治には、日本をはじめとした先進国が革命後も統治のあり方について率先して口を挟む場面が必要ではないだろうか?日本も国土が荒廃した後、劇的に復興し国際社会に復帰できたのはアメリカという国が統治モデルを見せて、国の建設に関して助言(それ以上?)があったからこそである。国作りを手伝い、ある程度形が作られたのちに手を引けば、その国独自の国作りが進む。

 最近国際社会は分断化が進んでいる。ミャンマーに関しても知る限り、それぞれの国の利益を守ることに必死で国を平定するために率先して力を貸す国はない。ルワンダの時もそうであったが、国際社会、特に大国は自分の利権に多大な影響を与える国であると認定する国以外への対応に関してはかなりドライなのである。しかし、長い目で見ると敵よりも味方が多い方が絶対に良いはずだ。選挙というものがある以上、政治は意外と長い目で関わるということが出来にくいが、人道的支援を絡めながら、より良い国の統治の在り方について、それを必要としている国にはある程干渉して良いのではないかと思う。


世界を旅するTraveler。でも、一番好きなのは日本、でも住みたいのはアメリカ・ユタ州。世界は広い、というよりも丸いを伝えたいと思っている。スナップシューターで物書き、そうありたい。趣味は早起き、仕事、読書。現在、学校教員・(NGO)DREAM STEPs顧問の2足の草鞋。