「わぁー！すごい真面目でいい人そう！」

友達の彼氏に会った後や写真を見た後にそんなこと言った覚え、誰しも一度はあるはず。

かく言う私もあるわけで。

そういうのって、取り立てて特徴がなかったりとか何とも言えない感じのときについ使っちゃうんですよね。

だから私はいくら相手と仲が良くても、ほとんど自分から「写真見せて！」とは言わない。言わないようにしているのではなく、相手に写真を見せることによるリアクションには何の意味もないと思ってるから。リアクションに困ったことがあるというのも理由のひとつではあるけど、だって相手がこの人やと思って付き合ってるならそれでいいじゃないの。もちろん「どんな人？」とは聞く。見た目じゃなくて、その人がどう思ってるかは聞きたい。

でも見ただけで「真面目そう」「やさしそう」という感想が出ることに対して、「つまらない」ってことでしょ？と勝手に変換してしまってる自分がいるからだったのかもしれないなぁと色々考えてて行き着いたんですよね。

今はね、「真面目そう」であることも、実際に「真面目」であることも、ものすごく大事で凄いことやと思ってるんです。

というのも、留学したときに通っていた資格の学校で自分自身が「真面目」という言葉を浴びせられる経験をしたことがきっかけで考えが変わりました。

その学校はカリキュラムが一応日本人向けだったので、生徒は駐在員の奥さまやワーホリの人、現地に住む日本人が対象で、先生は外国人。テキストや授業、実技・筆記試験はすべて英語。しかもいくら日常生活には不自由しない英語力があったとしても、医学用語がバンバン出てくるので手持ちの辞書には載ってないような言葉のオンパレードでパソコン使って意味を調べてじゃないとテキストの内容も課題も理解できないものばかり。毎日予習復習にめちゃくちゃに時間をかけないとやっていけなかったんです。

ある日、クラスのひとりが先生に当てられて言葉の意味だったか問題の答えを答えないといけなくて。予習してないとこれは難しかったな…先生ええとこ突いてくるやん…と思いながらその人の解答を待ってたんです。そしたら課題も予習もやってないことを恥ずかしげもなく明るく発表して、それ聞いて周りのみんなが笑うというマジで意味のわからん現象が目の前で繰り広げられたわけです。「やってないこと」を笑って済ませようとした上に、周りもそれを笑ったことによって「＝許した」みたいになってるのが本気で納得がいかなくて。本人もそうやけど、周りもいちいち笑うなよ…って呆れ返ってしまって。

その学校にはみんないろんな背景があって通ってるわけやから、ただの暇つぶしで来てたのかもしれない。でもさ、そんな「自分が不真面目であること」って、授業の時間を止めてまで笑いにすることか？とめちゃくちゃ腹が立ったんですよ。たぶんそれは私がちゃんと予習してきていて、自分が答えられないことによって流れを止めたくない、予習してきて当たり前、周りはそうでも私はちゃんと予習してきたよ！ってことを先生にわかっておいてほしい、その資格試験に対して真正面から向き合ってる、という数々の自覚の表れやったんやと思うんです。だから私が不機嫌なことに気がついたクラスメイトが事情を聞いてきて、正直に答えたら「 〇〇ちゃん(私)は真面目だね〜」って言ったんです。

それまで「真面目」って言葉は「つまらない」のオブラートに包んだ言い方みたいに思ってたけど、その時に完全に「真面目」って全然「つまらない」ことじゃないやん！って思ったんです。クラスメイトの不真面目をおちゃらけることとか、それを笑っちゃうことのほうがよっぽどつまらんし、何もおもろくないやんそれ…ってなったんですよね。真面目にやることの何がつまらないんや！って、これまで「真面目」をちょっと小馬鹿にしたり過小評価してた自分に雷が落ちたみたいな気分になりました。

それからというもの、やっぱり何かを茶化したりふざけたりっていうのは適切な場所でやるからこそ面白いのであって、それは「真面目に」茶化し「真面目に」ふざけてるからなんやということに気付いて。趣味を極めたり、何なら〇〇オタクみたいなことも、その事柄に真面目に向き合って突き詰めてきたからこそ興味深く感じるんやなぁと痛感する日々です。

付き合う相手だって結婚相手だって絶対真面目がいい。真面目はつまらなくなんてないし、真面目やからこそその向こうに見えるおもしろさがハンパないんやもん。

今でもやっぱり見た目だけで「真面目そう」って言うこと、言われることにも抵抗はあるけど、本当に「真面目」であることってめちゃくちゃ素敵なことなんやって理解できたことがあの留学時の苦い体験のおかげやと思うと、人生何事も経験やなと思わずにいられませんな。

みんな、好きなことや大事なもの、大切な人にとってはゴリゴリの真面目でいてましょうね。それが一番おもろいよ！