M3GAN

ヒロイン(?)のダンスで話題になった「M3GAN」(以下「ミーガン」)は、この手の洋ホラーでは珍しく現代的で、誰もが「チャイルド・プレイ」のチャッキーを思い出したのではなかろうか。
令和版チャッキーという感想は僕も全くの同感で、しかし「ターミネーター」のような悪意が機械的あるいは論理的に形作っていく近未来SFでもある。
それこそAIが台頭してきた現代だからこそホラーとして評価されており、そうでなければ「ターミネーター」かぶれのB級止まりだったのではないだろうか。

すでに「チャイルド・プレイ」や「ターミネーター」といった映画史に残る名作の影響を挙げたが、シーンによっては「シャイニング」のような画や「ゴーストバスターズ」のような画も僕は感じていて、きっと細かいところでもっと多くのオマージュや影響があるのではないかと思う。

少女を模したミーガンが大暴れする様は、「エスター」なんかにも通ずるが、大男のアクションや怪物のスプラッター映画と違い、トリッキーで鮮やかだ。
描写としては結構エグいのだが、それらと比べるとあまりグロテスクさを感じず、むしろ爽快さすらある。
「ミーガン」でも有名な廊下をダンスしながら迫っていくシーンなんかは軽快な劇伴なんかついちゃって、残虐さに反してノリノリでニコニコしてしまうから、自分もサイコキラーになったような気分で没入感がある。
思い返して文章にしてみると「ハァ?」なのだが、恐怖を煽るようなBGMではこのミーガンのスタイリッシュなホラーを演出することが出来ないだろう。

続編があるような雰囲気で物語は幕を閉じているが、これだけが気掛かりで、最初から続編ありきで作られた作品は急激に失速する偏見が僕にはある。
そうでなくとも続編の方が評価が高いというケース自体がレアで、「ミーガン」に似た属性だと「ターミネーター」「エイリアン」「ファイナル・デスティネーション」あたりがパッと思いつく限り。
特に「ミーガン」は上映前のプロモーションがかなりチカラを入れていたように見え、ヒットの裏側が作品の良し悪し以外の要因が多いように見える。
映画に限らず、こういったビジネス力で売上が経つ作品はやはりクリエイティブな面白さに欠ける気がするので、果たして続編が面白いのか、期待半分で待っている。

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