地獄少女

僕の好きなアニメランキングを作ったとしたら、間違いなくトップ10には入る。
それも1期・2期・3期全て個別にランキング入りすると思う(4期は過去回の再放送を含むので除外。入れても圏外だが)。

一応は同名の少女マンガが原作なのだが、メディアミックスの殆どはアニメ準拠となっている。
原作は原作で少女マンガらしい軽さとエグさがあるものの、キャラクターデザインを初めとした和ホラー感はやや薄く、ターゲット層である低〜中学年女子のオカルト興味に合わせた感じがする。
なので、オカルトというよりしっかりとホラーであり、なおかつヒューマンドラマの面が強いアニメ版の方が僕の中では評価が高く、作品の扱いを見てもそれは間違っていなさそうだ。
尤も世の中の人間の殆どが低〜中学年女子じゃないのだから母数から違うが。

※追記
調べたらマンガの連載が先に始まっただけで原作はアニメらしいです。サーセン

1期は梲の上がらないフリーのジャーナリスト・ハジメを主人公に、巷で噂の地獄少女を追いかけながら、地獄少女の起源やその目的を探して奔走する様が描かれる。
一人娘のめぐみが地獄少女とテレパスのような何かで繋がったことで、ジャーナリズム以上の強迫観念じみた調査を開始する。
この親子の様相だけでもご飯が食べれるくらいドラマティックなのだが、地獄少女たる謎の少女・閻魔あいの生い立ちもかなり強烈なエピソードがあり、僕にとっては一種のトラウマとでもいうほど脳裏に焼き付いている。
「東海道四谷怪談」のように怪談話には悲しい起源や切ない裏話を持つものがあるが、伝承の合間に改変があって複数のパターンに分かれている昔話と違い、明確に描かれている一つの物語であるだけに、凄まじい説得力がある。

2期はより「恨み」という誰もが愚かと知りながら誰もが持ち得ている感情にフィーチャーされている。
1期同様にオムニバス形式の中に大きな筋があり、次第にその筋に話が集約されていく構成である。
1期があくまで噂だとかオカルト現象で済んでいた(ホントか?笑)ものが、街一つを巻き込んだ大規模な事件になっていく。
ここまで大掛かりのなったらもっと大きな組織が動く社会問題になりそうなものだが、そこは御愛嬌といったところか。
1期でも時折「恨みって何だろう」と思ってしまうようなしょうもない恨みの類もあったが、こちらはより引き金が軽く――作品に合わせるなら紐が緩く――、集団心理や圧力で地獄流しが行われていく。
胸糞具合で言えば2期がブッ千切りで胸糞なのだが、そこに渦巻く人間の浅ましさや業にリアリティーがあり、「地獄少女」という作品としてはある意味最も美しいと思う。

3期はテイストがガラリと変わり、それはSNoWによるアンニュイな主題歌から北出菜奈によるエモーショナルな主題歌に変わっただけではなく、舞台も学校に留まり、閻魔あいの在り方まで大きく異なる。
世のパチンカーたちが大好きなキャラ・きくりも3期からの登場で、陰鬱なホラーテイストから少し明るく不気味な物語になっている。
舞台が学校ということもあってか逆恨みも多く、主人公も女子高生のためホラー要素抜きで「怖い」描写もあり、男性は勿論のこと、女性は特に観る人を選ぶと思う(1〜2期に無かったワケではなかったとは思うが……)。
これまで同様にオムニバス形式から始まるが、大筋の起承転結がハッキリしているように思う。
そのため1〜2期のドラマティックさは無いが、メリハリがあって見応えは輪郭がしっかり感じられて強めである。
意表を突くドンデン返しで最後まで引きがあるため普通のアニメファンには見やすいし、結末もサッパリとオチがつくので余韻を感じることもできるだろう。

無理やり3期分詰め込んだがそれでも1,500字を超えてしまった。
この感想文シリーズもネタ切れになってきたら、一つ一つしっかり向き合ったものを書きたいと思う。
それくらいどのシリーズも魅力と価値があり、とても好きなアニメなのだ。

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