狼と香辛料

「狼と香辛料」は支倉先生によるライトノベルが原作なのだが、これがデビュー作というのだから凄い。
ライトノベルらしいファンタジー要素を取り入れつつも、経済という堅苦しくて複雑なテーマを描いていて、推理小説を読んだかのような快感がある。
僕は実は原作は未履修でアニメだけ履修したのだが、マンガにゲームに幅広くコンテンツは展開し、そして細く長く続いている。
展開した中にはVRを用いた当時では先進的な試みもあり、このコンテンツ自体が興味の対象になっている。

僕はナンチャッテではあるが一応は経済系の学部を卒業しており、専門ではないが経済学の単位もいくつか取っていた。
当時は既に「狼と香辛料」のアニメは放送を終えていたが、どうやら経済の描写が細かいアニメがあるらしいと聞きつけ履修した次第である。

記憶が古いので間違っていたら申し訳ないが、主人公は行商人を営んでおり、ただの商売としてのミクロなものだけではなく、通貨の価値や為替なんかも物語に組み込まれていて、物語を楽しみながら知識を得ているような気になる。
知識を得ているつもりとなると人は結構のめり込むようになるので、作品の虜になるというワケだ。
尤も、それだけが面白いということではなく、ストーリーも行商人の何にも縛られない自由さを感じて気分が良いし、少しレトロなヨーロッパ風の世界観も没入してしまうし、ホロのケモ成分や廓言葉が醸し出す不思議で独特な魅力にも惹かれる。
ラノベらしい手軽さとは離れているが、意外と万人受けする作品なのではないだろうか。

何よりコンテンツの息が長いことが作品の根強い支持を物語っている。
好きな作品ランキング!みたいなものには挙がらないものの、そのタイトルを聞いて感慨に浸り、また見たいな読みたいなと思わせてくれる、とても良い作品だと思う。

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