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【超具体的解説】意外とオイシイ「記事広告」の書き方を徹底解説してみる

「手数が少なくて稼ぎのいい案件がどこかに転がってないだろうか?」
 そんな風に考えているライターさんにお勧めしたいのが「記事広告」だ。簡単そうに見えて、実はそれなりに高いスキルが要るので、やれるようになるとオイシイ。

今回はそんな記事広告の書き方について、詳しく解説してみる。

◆記事のふりをした広告は「ステマ」の王道

①「登頂1000回! 90歳の今も毎日○○山に登っている××さん」
②「地元農家を救え! 創業100年の和菓子店がキズありメロンで水羊羹」

WEBや雑誌等でこんなタイトルの「記事」を見かけることがあります。一見すると、「元気な高齢者の取材記事」や「地域創生の取り組みを紹介するローカル記事」のようですが、実際には報道を目的とするコンテンツではありません。

いずれも、販促用コンテンツ。①は膝関節にいいとされるサプリ、②はメロン水羊羹の販促を目的とする記事……のフリをした広告です。

童話『赤ずきん』に出てくるオオカミはお婆さんのふりをしてヒロインを食べようとします。マーケティングの世界は悪く言うならオオカミだらけ。なにかのふりをするコンテンツは珍しくありません。

最近では、そういった「広告じゃないよ」という体をとるマーケティング手法はご存じの通り、「ステマ(ステルスマーケティング)」と呼ばれ、すっかり定番になりました。

「記事広告」はそんなステマの一つです。ルール上は「広告」表示することになっているので、「ステルスではない」ということになっていますが、宣伝用のコンテンツであることを意識させないよう作るのが常道。

記事に寄せた書きぶりで読者に信頼性をアピールしつつ、実は集客を目的とするやり方は「ステマの王道」と言えます。

◆書き方を覚えてワンランクアップ

一般的なWEB記事に似せてある「記事広告」ですが、書くのに必要なスキルはかなり異なります。簡単にいえば、記事広告を書くスキルに加え、マーケティングやコピーのスキルが必須です。

ものやサービスを売り込むのが記事制作の目的なので、販促系のスキルを求められるのです。たとえば、通常の記事に比べ、販促におけるターゲティングはより焦点を絞ったものになります。

文体や言葉の選択にも少し精細なセンスが要ります。記事らしい信頼感に加え、紹介する商品の魅力を「客観的な目線を装って書く技術」、サービスに適したシズル感などの要素をバランスよくマッチさせねばなりません。

複数の仕掛けを同時に扱うライティングはジャグリングに似ている、とぼくは感じます。さらに、記事広告の作成には取材がつきものです。限られた時間内にクライアントの要望を聞き取り、意図を汲み取るためには、それなりに高度なスキルを要します。

読み手として接すると、なんでもない代物に思えますが、書くとなると意外に難しいので、記事広告の単価はそれなりに高め。最近では、採用する分野が増えていることもあり、案件数が多いのも魅力です。

◆キーポイントは企画! ○○を明確化しないと刺さらない

記事広告を書く上でなによりも大切なのは企画です。ここでは同じことを何度か説明していますが、ライティングでは7W2H(5W1HにWhich、Whom、How muchを加えたもの)をしっかり意識して作った企画書をクライアントと共有できていないと、ボンヤリとしたコンテンツになりがち。

クライアントから「こんなのを依頼した覚えはない」と突っ返されるリスクも高まります。企画書はクライアントへのヒヤリングを丁寧に行い、意向を確認しながら一緒に作るのがおすすめです。

特に重視したいのはターゲットの設定。記事広告を読んでアクションしてほしい対象を深掘りしながら、セグメントを絞ったり、案件によってはペルソナを設定したりします。記事広告の場合には掲載する媒体の読者層がすでに決まっているので、その中でも、特にどんな人に読んでほしいのか――この設定をしっかり立てます。

たとえば、新聞なら読者の大半は中高年です。内臓脂肪を減らせるサプリメントを売り込みたいなら、対象は主に男性。体型や健康のことが気になる現役世代に絞るのがよいのでは……といった感じです。

雑誌の場合には、読者層にもっと極端な偏りがあります。ファッション誌なら性別はもちろん、対象年齢は「5歳刻み?」というくらい細かいし、「○系」など好みのカテゴリによっても細分化されています。

たとえば、美肌効果のあるサプリメントをそういった雑誌で紹介するなら、「悩みごと」によってターゲティングするのもよいでしょう。肌の悩みは年齢によって異なります。どんな風に見られないのか、も微妙に違うので、読者の中でもどんな悩みを抱える人にアプローチするのがよいか、企画の段階で焦点を絞っておくと、刺さる記事広告を制作できます。

◆トンマナと○○で読者を引きつける

記事広告を書く際は文章を打ち始める前に、トンマナを確認しましょう。「常体か敬体か?」「一文の長さは?」「読者への問いかけはありか?」など媒体にはそれぞれ固有のトンマナがあります。読者に違和感を与えないよう、なるべくそれに合わせるのが記事広告のセオリーです。

ただし、あくまで「記事」を装うものなので、エモーショナルな書きぶりにならないよう、事実ベースで書くスタンスは崩せません。基本的には長文より短文。体言止め等を使って歯切れのいい文体にするのが定石です。

トンマナを確認したら、いよいよライティングですが、記事広告ではストーリー性を意識することが大切です。商品やサービスを開発したのはどんな人や企業なのか。どんな理想を持っているのか。どんなことを悩み、苦手としているのか。

開発に際してはどんな苦労があったのか。成功時にはどんな風に喜んだのか。そういったストーリーを書くことで、クライアントや商品、サービスの魅力をイメージさせるのが記事広告の本質と言えます。

①ユーカリオイルが28%も含まれている、とてもお肌に優しい保湿クリームです。

②××代表は子供のころから乾燥肌に悩まされてきた。大人になり、製薬会社に就職したものの、思うような製品を開発できなかった。一念発起して会社を設立。だが、研究にコストをかけすぎたため、一時は倒産寸前に。
ストレスのせいでお肌もカサカサ。そんな時、オーストラリアに住む友人が送ってくれたのがユーカリオイル入りのクリームだった。使ってみたところ、たった1週間で肌の状態が劇的に改善。
『これだ!』と信じた代表が7年の歳月を重ね、日本人のお肌に合うよう開発したのが……。

いかがでしょう? ②を読むと、乾燥肌に悩む××代表の姿が見えてくると思います。多くの人はモノやサービスよりもまず、人に関心を持ちます。人にフォーカスした記事に仕立てることで、読者を引きつけやすいのです。

◆記事広告を書くトレーニング法は?

前述したように、記事広告は意外と難易度の高い案件です。必要なスキルが多く、それらを一定以上のレベルに引き上げないと、なかなかうまく書けません。

必要なスキルは以下です。

①一般的な記事が書ける文章力
②マーケティングの基本的な知識
③シズル感を調節できるライティング技術
④取材やクライアントワークを無難にこなすコミュニケーション能力

いずれも、一長一短に身につくものではありませんが、ある程度のライター経験を積んできた方なら、チャレンジしてみるのもありでしょう。

自分がどのくらい書けるかを判断したいなら、既存の宣伝広告を勝手に記事広告化してみてください。架空の企画書を作ってターゲットを設定し、対象層に合う媒体を選択。雑誌ならその雑誌に掲載する体で書いてみるのです。

1本書けたら、同じ商品やサービスについて、別の媒体で紹介するケースを想定して書いてみるのもオススメ。そうやってシミュレーションを重ねると、だんだんコツがわかってきます。

誰に、なにをどう伝えるのか――それらを意識しながら、スラスラと言葉を紡げるようになったら、リアルの案件を受注しても大丈夫。安心して高単価の案件にチャレンジできます。

◆まとめ

いかがでしたか? ぼくのザックリした印象ですが、近年、記事広告は増えているようです。理由はいくつかありますが、掲載料が低めに設定されていることも大きいでしょう。

媒体によっては一般的な宣伝広告に比べ、記事広告の掲載料を低く抑えているケースがあるので、クライアントにとってはコスト面でも魅力が大きいのです。

ライターにとっては一定以上のスキルは要るものの、コツさえつかめば比較的書きやすいコンテンツだろう、とぼくは認識しています。総じて言うと、「オイシイ案件」が多いので、よければみなさんもチャレンジしてみてください。


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