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「舟を編む」で知る3つの「あきらめる」

「舟を編む」を見ている。
もちろん本の存在は知っており、私より読書家の妹から、散々薦められたし、面白いという確信はあったが、読んでいない。

なぜなら…三浦しをん先生に、あろうことか嫉妬してるから(笑)

いやいや、私のような者が嫉妬したって、しをん先生は屁でもないし「おこがましいわ!」のひと言なのですが、ライターはだいたい小説書くコトを1回は通っているので、大成功している人が羨ましく、才能の違いを見せつけられて嫉妬してるだけ。

というわけで、読まないまま映画も見ないまま、ドラマに突入。

説明は不要だろうが、ひと言で言うなら「辞書を作る人たちのお話」である。

ドラマでは、ヒロインはモデルを経てファッション誌に行くも、廃刊が決まり半ばリストラの状態で、辞書チームに異動する。
彼女は見た目も美しく、高給取りゆえ、友達にも恵まれて、カメラマンを目指す彼氏とは同棲している。

そう、恵まれている……ように見えたのだが、友達からは飲み会にハブられ、彼氏は「距離を置きたい」と家出されています。
実は、彼女たちと彼に共通していたのが「(ヒロインに)何かバカにされている」という思い。

私も一応言葉を扱う身として、ヒロインの言葉の端々には同じものを感じていた。
それが「なんて」という言葉。

友達には
「ランチの予約取る時間なんてないよね」
彼氏には
「バイトなんて休めばいいじゃん」
「撮影、また朝日なの? 朝日なんてどこでも同じじゃん」

そして彼女はあるきっかけで「なんて」という言葉の意味を調べ、反省したのが前回。

長くなったが、今回の感想。

タイトルにもある3つの「あきらめる」というのは、ヒロイン役の池田エライザさんと、その先輩である辞書ヲタの、RADWIMPSの野田洋次郎くんとの会話で出てくるところ。

パートナーの話になり、エライザさんが「彼氏、いたんですけどね、距離おきたいって言われちゃって。もうダメかなって思うんです」
と先輩に問いかけたところ、野田くんは
「釣部さんには、あきらめて、あきらめて、あきらめてほしい
と言うのだ。

3つの「あきらめる」

このうち2つの「あきらめる」については、
「諦める」と「明らめる」というのはすぐわかった。

諸説あるのだろうが、諦めるは文字通り断念すること、
「明らめる」というのは、あきらかにするという意味で、もともと「諦める」というのは「明らかにする」というところから来ている、といわれている。

で、残り1つの「あきらめる」が何だろうと思っていたら、
「明るくする」という意味だとして、ドラマでは紹介されていた。
つまり野田くんはエライザさんに対して、

(彼氏がそう思った理由を)明らめて、
(その理由を鑑みて相手を思い)諦めて、
(結果、前を向こうと)明らめて
 欲しい」
という意味だったのだ。

日本語って、なんて美しくて、力強くて、勇気をくれるものなのだろう。

妹が「お姉ちゃん絶対読んで」と10年以上言っていた意味がよーくわかった。

ということで、ここからがブログに本当に書きたいことなんだが(といってもあと数行で終わります)、家中の辞書をかき集めて調べたところ、
私が知らなかった「あきらめる」についての記述がない!!!

岩波書店のぶっとい広辞苑にもないぞ!
しかも広辞苑には「諦める」しかない。
厚さ8㎝以上もあるのに! どうなってんじゃ怒るでしかし!!

ちなみに小学館の「現代国語例解辞典」には「明らかにする」の意味は載っていたが、私がわからなかった「あきらめる」についてはなし。

うちに「大渡海」欲しいなあ……切実

画像はNHKさん公式より



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