見出し画像

日本のプロ野球(NPB)で外国人選手(野手)の活躍が減っている理由

◯1990年以降の外国人野手の活躍について

 以下は1990年代、2000年代、2010年代に打率、本塁打、打点でパ・リーグとセ・リーグのベスト10に外国人選手が入った回数です。

1990年代・・・打率52回 本塁打86回 打点81回
2000年代・・・打率38回 本塁打83回 打点78回
2010年代・・・打率26回 本塁打84回 打点71回

 次に1990年代、2000年代、2010年代に外国人選手が首位打者、本塁打王、打点王を獲得した回数です。

1990年代・・・首位打者7回 本塁打王12回 打点王13回
2000年代・・・首位打者2回 本塁打王11回 打点王9回
2010年代・・・首位打者3回 本塁打王12回 打点王8回

 そして、以下が2020年〜2023年の4年間で打率、本塁打、打点でパ・リーグとセ・リーグのベスト10に外国人選手が入った回数と首位打者、本塁打王、打点王を獲得した回数です。

2020年〜2023年・・・打率2回 本塁打22回 打点13回
2020年〜2023年・・・首位打者0回 本塁打王1回 打点王0回

 かつては打撃タイトル、特に本塁打王と打点王は毎年のように外国人選手が獲得しており、打撃成績のベスト10にも多くの外国人選手の名前がありましたが、2020年代に入ってからは外国人選手が打撃タイトルを獲得することはほぼなくなり、打率に関してはベスト10に入ることすら難しい状況になりました。なぜ、このような状況になったのか、理由について考えていきます。

◯外国人野手の活躍が難しくなっている3つの理由

①外国人枠が増えたことで選手を厳選することがなくなった

 現在のプロ野球は外国人選手の支配下登録選手の人数制限がなく、多くの外国人選手を在籍させることが可能になっています。しかし、1995年までは外国人選手の支配下登録は1球団に3人(1966年〜1981年に至っては2人)までに制限されており、チームに在籍できる外国人選手に限りがありました。そのため、かつては球団側も外国人選手と契約をする際は厳選に厳選を重ねて、選び抜かれた選手と契約を結んでいました(もちろん、それでも上手くいかないこともありました)。

 現在では、外国人選手を何人でも支配下登録できるため、球団も選手を厳選するというよりも、多くの選手と契約して、ダメならすぐに入れ替えをすることが当たり前になっています。外国人選手の母数が増えれば、活躍する選手も増えそうですが、少なくとも野手に関してはそうはならなかったのです。

 また、2020年以降は1軍に登録できる外国人選手が5人に拡大(ベンチ入りできるのは4人まで)されたため、さらに外国人選手を厳選して獲得する傾向が薄れています。

②投手と違い、野手は日本のプロ野球がMLBへのステップになりづらい

 かつてはセシル・フィルダー、マット・ステアーズ、アルフォンソ・ソリアーノなど、日本でプレーした後にMLBで大活躍した野手もいましたが(ソリアーノは日本でほとんど試合に出場していないため、かなりの特殊例です)、現在ではそのような事例はほとんどありません。一方で投手に関してはコルビー・ルイス、トニー・バーネット、マイルズ・マイコラス、ロベルト・スアレスなどのように日本でプレーした後にMLBで活躍をしたり、大型契約を勝ち取った例が多くあります。特にバーネットとスアレスはMLB経験が全くない状況から日本で活躍し、MLBへとステップアップしたため、メジャー経験がない投手にも大きな夢を与える事例になったはずです。

 現在のプロ野球は外国人選手にとって、投手はステップアップの場になるが、野手にとっては活躍するのが難しく、そのことによって日本でプレーしたいと考える外国人野手が減っている現状もあると思います。

③外国人選手に限らず、プロ野球では野手が活躍しにくい環境になっている

 かつてのプロ野球は特定の投手の活躍に依存をしていましたが、現在では分業制が確立されており、先発投手は中6日、リリーフ投手の3連投以上の回避が当然となっています。打者は多くの投手と対決をしなければならず、対策を立てるのが難しくなっています。

 そして、これはMLBでも言えることですが、投手に関しては新しいトレーニング方法が確立されたり、命名はされなくても新しい球種が誕生していますが、打撃に関しては技術の発展が投手に比べて、明らかに追いつかなくなっています。MLBでは元々、試合で使用しているボールの質が良くなかったり、ピッチクロックなど投手に不利なルールを作り、何とかバランスを保とうとしていますが(個人的には投手に不利なルールや状況を設けすぎだと思います)、プロ野球で使用されている公式球はMLBのものと比べて質が良く、投手にとっては投げやすいうえ、最近は明らかに飛びにくくなっています。

 そのため、これは外国人野手に限ったことではありませんが、野手(打撃)の進化が投手の進化に対応できなくなっているというのが実情だと思います。


◯出典
・日本野球機構(NPB)オフィシャルサイト 2024年4月19日
https://npb.jp/

・外国人枠(日本プロ野球)-Wikipedia 2024年4月19日
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E6%9E%A0_(%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%83%97%E3%83%AD%E9%87%8E%E7%90%83)#:~:text=%E6%9C%AC%E6%9D%A51%E8%BB%8D%E3%81%AE%E5%A4%96%E5%9B%BD,%E3%81%AE%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%81%E5%85%A5%E3%82%8A%E3%81%AF%E4%B8%8D%E5%8F%AF%E3%80%82


 読んでいただき、ありがとうございます。多くの方の心に響く作品や記事が書けるよう、今後も努力を重ねていきます。「作品や記事がおもしろかった」と思っていただいた方、興味を持ってくださった方は支援をしていただけると、とても嬉しいです。

ここから先は

77字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?