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Go! GORIN BOYS 1

川内商工高等学校 男子バレーボール部
2022インターハイ 鹿児島県予選ドキュメント

2022年5月30日 川商ハウスアリーナ

準決勝 vs 錦江湾 セットカウント2-0で勝利

試合後の 田代 博明 監督(川内商工)
-決勝まで順調にきましたね、初戦(vs 鹿屋農業)が一番苦戦したのでは
「予想はしていましたね、難しさはあるだろうと」
-喝が入りました、以降は危なげのない展開で
「そうですね、調子はいいので」
-決勝、どう戦いますか
「どっちが上がってきても、自分たちのバレーをしっかりやるだけです」

準決勝もうひと試合は、樟南vs 鹿児島商業。セットカウント1-2で鹿児島商業が決勝進出。プレシーズンの新人戦含め、川内商工が鹿児島商業と対戦するのは今季初となった。

決勝 vs 鹿児島商業

1st Set

エース山野のサーブでゲーム開始。決勝戦らしい、互いに緊張感のある立ち上がり。序盤は一進一退の攻防が続く。サーバー山野の時に、9点目から連続得点。12-7で鹿児島商業、タイムアウト。タイムアウト後も流れを渡さず、川内商工7連続得点。プレーが切れると判断したシーンで、審判の笛は鳴らずにプレー続行、やや嫌な雰囲気で連続得点が途切れるが、相手を1ポイントに留め、すぐに断ち切る。後半はブロックが冴える。時間差にも対応。#6領家に集めて得点。相手のサーブミスもあり、22点から4連続得点でセット奪取。25-13。川内商工はミスを抑え、ネット際の競り合いに勝っている。セット中、ベンチに下がる#7深田に笑顔。

2nd Set

第2セットも序盤は一進一退、エース#5山野、今季スタートに定着し成長中の#4永田をはじめ、#6領家、#3坂口、#7深田と散らし、バランス良く得点を重ねる。9点目から4連続得点。12-8で鹿児島商業タイムアウト後、サイドアウトが続く。15-13と流れを断ち切りたいところで、川内商工、早めのタイムアウト。直後、#3坂口の得点、ピンチサーバー#9根比のサービスエースで17-13、鹿児島商業タイムアウト。苦しい場面でこのサービスエースはうれしい。チームメイトをどれだけ助けたことか。試合後の永田も「ほっとしました」と証言。19点目から#3坂口のクイック、#5山野のブロックで22点まで積み上げる。ここから鹿児島商業も粘りをみせ、4連続得点。川内商工が23-18で用心のタイムアウト。最後は#4永田が決めて25-20。川内商工はブロックに跳ばない時も。鹿児島商業はサーブレシーブが乱れたり、トスとアタッカーが合わなかったりと、連携に苦労する様子がうかがえた。自分たちのバレーをさせてもらえない。試合後の森「今日は相手にいかに合わさせないか、相手をどうやって乱すかが、自分たちのひとつのポイントだった」

3rd Set

第3セットも川内商工ペースで進む。#2森の正確なトスワークがアタッカー陣に気持ち良く打たせ、10点目から8連続得点。鹿児島商業がタイムアウトを取るも勢いは止まらず。#5山野#4永田で得点を重ね、#2森のサービスエース、#8リベロ飯伏のディグなど、ナイスプレーを連発する川内商工。鹿児島商業もなんとか食らいつこうとするが、サーブミスでサイドアウト。以降、#9根比のサーブ中に、20点目から森のセットが冴え渡り、4連続得点でマッチポイント。最後は#3坂口がブロックを決め、25-10でフィニッシュ。3-0のストレート勝ちでインターハイへの切符を勝ち取った。

川内商工 田代 博明監督 談話

「3-0で勝って、相手に点数も与えず、今日は合格点をあげられる。ミスが少なく、流れの来たところで確実に得点できた。ここからさらに上のレベルを目指し、またイチから鍛えなおして、全国に挑みます」

選手コメント

表彰式前、コートの端で待機する選手たちに、話を聞いた。
ーみんなそんなに喜んでないですね
#8飯伏「県で勝って喜ぶのではなく、全国で勝てるチームになる!とチームで話している。自分たちの限界を決めず、もっと上を目指したい」
ー攻撃陣を見ててどうですか。森くんのセット素晴らしかったですね
もっと(森)ひびきを楽にさせよう!とみんなで話している。(余裕のあるゲーム運びで)ひびきが遊べるくらいにしたい」

ー今日はよくレシーブ上がってましたね
#5山野「今日はよく上がったと思う、自分でも反応が良く出来た」

キャプテン#1上屋敷「ほぼミスなくでき、今日のゲームは良かった」

#4永田「新チームになって鹿商とやるのは初めてで、最初どんなものかなあという緊張感はあった」
ー誰をほめたい?
「3年生ですね、今日は3年生の力で勝てたと思います。(坂口)鈴乃丞さん、(領家)健太さん、根比さん……監督が『春高は1, 2年の力、インターハイは3年の力』と仰っていた。その通りにチームで有言実行できた」

ー相手にバレーをさせなかったですね
#2森「相手のレセプションを崩して、いいセットをさせないことを目標にしていたので、それはできたかなと思う。ここ、という時にはエースに打たせるが、ほかは的を絞らせないように、ここは誰、ここは誰と振り分けて上げている。内容にはまだ満足していない、ルーズなところがあった。もっと攻撃の精度を上げて、全国で勝ちたい」
サービスエースも数本決めるなど、自身の調子の良さはあったよう。

西 綾澄 アシスタントコーチ
「今日は3年生の力ですよ、ここ(県制覇)は始まり、通過点。大会も波乱あり、錦江湾と当たるとは予想していなかった。決勝に向けサーブを積極的に試してみようと声かけし、ねらいどおりに決勝ではいいサーブを打てたと思う。今日は圧倒して勝とう!と前日のミーティングで言っていた。コロナ禍でいろいろありましたが、今日勝てたのは、今まで経験を積ませてくれた先輩たちのお陰です」

川内商工の揺るぎない強さが印象に残った。大会を通して1セットも失わず、すべてストレート勝ちで頂点を極めた。初戦にやや手こずった以降は、決勝も力の差を見せて圧倒。相手にバレーをさせず、ディフェンスも乱れない。ラリーが続いて陣形を崩されるような場面は、ほとんどなかった。それぞれがきっちり自分の仕事をし、下級生が上級生の姿を見て後に続く。#4永田がU18の代表候補合宿に招集されるなど、強豪校らしいオーラのあるチームになってきた。#5山野「最近それ、よく言われます」と、自分たちも手ごたえを感じているのだろう。2年生の中心メンバーがはつらつとプレーできるよう、3年生の上屋敷キャプテン、領家ゲームキャプテンがチームを支える。試合後、何人かの選手に話を聞いた。優勝という結果に満足せず、県では勝って当たり前と受け止められる自信に満ち、これからさらに自分たちがどこまでレベルアップできるか、どんな楽しいバレーができるかに、ワクワクしている様子がうかがえた。コーチ陣と選手の信頼関係は厚く、保護者のサポートもあり、盤石の体制で九州大会、全国の舞台へと臨む。チームはまだ見ぬ高みを目指す、道の途上だ。

2年生OH 永田 凜郎 U18代表候補合宿に参加

4月下旬に愛知県で行われた男子U18(ユース)日本代表選考合宿に、2年生のアウトサイドヒッター永田 凜郎(ながたりんと)が招集された。学校で教官室に呼ばれ「こういうのが来てるぞ」と田代監督から告げられたという。「合宿に参加するまでは不安しかなかった」と振り返る永田だが、「サーブカットをオーバーで上げられるようになった」など合宿の成果を得て、チームに戻って来た。県予選に向かうチームに、良い刺激となったに違いない。8月にイランで開催予定の第14回アジアU18(ユース)選手権に向けて「代表入りを目指していきたい」という永田。全国の舞台で、山野と永田、ふたりのエースが全国有数のアタッカー入りを狙う。


2022年5月 取材・文/泊 亜希子
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