カルマ

三週間前に買った多肉植物を枯らした。
サボテンだと思い込んで買ったのに、彼(あるいは彼女)は別の多肉植物だった。それを知った頃には既に痩せ細っていて、今日燃えるゴミといっしょくたにしてお別れした。
光も当たらないワンルームで生きられる生き物なんていない。

ゴミの集積所に築かれた半透明の氷山の中、自分が横たわる様を夢見る。
燃えるゴミになりたいけれど、多分自分は粗大ゴミになる。手数料がかかる高級なゴミになる。それは嫌だな、と思う。

人の波に紛れて、鉄の箱にいっしょに仕舞い込まれ、揺られ、時間を消費して生活を得る。
とても穏やかな日々だ。忙殺されることも叱責されることもない。

光も当たらないワンルームで生きられる生き物なんていない。それに人間が含まれるかは、もうすぐ分かるのだろう。分かるようになりたい。
そう願って幾年経つのに、今日も鉄の箱の中で同じ夢の続きを見る。目覚めて、氷山になりたかったと悔やむ。
上司に「いい資料だね」と言われ、まだ氷山にはなれないと、ならなくてよかったと思う。帰り道、日を跨いでいるのにメロンパンを食べる。そのゴミを氷山の頂上に添えて、眠る。

そんなカルマを積み重ね続けている。

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