何故群れる同好の輩

月刊誌文藝春秋の11月号の特集「慶應義塾の人脈と金脈」という記事に、こんな一文があります。

かつてローソン社長だった新浪剛史氏は、リヴァンプ代表で慶應の後輩・玉塚元一氏(現ロッテHD社長)を同社にスカウト。十四年、新浪氏は玉塚氏をローソン社長に据えると、十数年前に三田会(筆者注・慶應義塾大学卒業生の同窓会組織)で知り合った佐治(筆者注・サントリーホールディングス会長佐治信忠氏)氏に誘われ、サントリーHDの社長に就任したーーーー。
巷間言われている、三田会の繋がりの強さを示す、代表的なエピソードの一つである。

文藝春秋2023年11月号

意地悪な私には、節穴の持ち主は別の節穴の持ち主を見つけ易いという例のように見えるのですが。

新浪氏が自分の後釜にローソン社長に据えた玉塚氏は、会長就任後、昔から有名な詐欺話「M資金」に引っかかります。彼は「太平洋戦争の後に占領下の日本で接収された財産を元に運用されている「名だたる企業の特別に選ばれた経営者に託される」秘密資金を受け取る資格がありますという誘い文句に釣られて、5兆円の資金を受け取ります、という念書に署名捺印してしまったのです。
ご自分が特別に選ばれたと思っちゃうなんて!
それを公開されて、赤っ恥を掻き、結局、会長にまで上り詰めたローソンを追われます。前職のユニクロの社長の座も、会長の柳井正氏に見限られてしまって辞任、そして現在のロッテ会長としての評判も良くないのです。いわゆるプロ経営者というのは、自分は今の時代がわかっていると言わんばかりの陽灼けのドヤ顔を受け継ぐだけモノなのでしょうか。

経営不振の続く西武百貨店の売却を巡って、西武池袋本店で従業員の皆さんのストライキが行われたことは、まだ記憶に新しいところです。親会社のセブン&アイホールディングス主導の入札の結果、売却先として決まったのが外資の投資会社。しかし未解決の要素が多く、まだまだ紛糾が続いています。
昨年の10月、この件に関して、社外取締役と社長の井坂隆一氏以下の幹部が議論する場がありました。そこで、一連の流れの実質的な責任者、経営推進本部金融戦略室長の小林強氏が、「懸案事項は全てクリアになった」、「組合にも説明している」と虚偽の発言をして、議論を押し切ったという記事があります。
この小林氏、2019年のセブンイレブンの支払いアプリ・セブンペイの不正利用事件で、責任者として、実はわかっていないのにわかったふりをする会見を行い、退任した人です。
彼は社長の井坂氏に気に入られているのか、いつの間にか本社の重要なポジションに就いていました。でも同じような失敗をまた犯しました。
何故この人が重用されるのだろうと社内の他の人たちが不思議に感じる事はままあります。井坂氏のご乱心なのでしょうか。それとも小林氏が木下藤吉郎的な人なのでしょうか。

企業のトップに、野心のために身も心も捧げてしまう人はどこにもいます。飲料会社、商社、鉄道会社、銀行と多岐にわたる業種の人が次々とトップになるNHK。商社出身の豪快な、ちゃぶ台返しどころか本当に机をひっくり返す剛力の籾井会長時代、その放送に対する介入に対抗していた某役員に「お前はそこまでして役員になりたいのか」と言われるほど、籾井氏のために滅私奉公した社会部出身の方がいました。彼は、理事にはなりましたが、経営担当専務理事として権力を振るえるかに思えた時、政治部に見事に梯子を外され、パワハラ担当に。ご自身がかなりのパワハラで有名な方だったので、専門ですね、と多くの職員が納得したとか。もっともパワハラをするご本人は往々にして、自分の所業に気づいていないものですが。
また、技術がわからないので怖くて仕方がなかったので数字だけ削った前田会長時代にも、「俺は会長の命令なら何でもやって、エラく(次期会長or副会長)になる」と公言していたのも社会部出身の、これまた別の方。彼もやり過ぎた会長と一緒に罷免され、さらに認められていない事業(衛星放送の同時配信)の予算化を行ったことが露呈し、一旦決まっていた再就職先も取り消されました。最近、やっと目立たないところに行くことが決まったようです。

一方で、記者会見場荒らしの人々のように、同じ向きの人々なんですが、ちょっとづつ雰囲気の異なる烏合の衆がいつの間にか出来ている場合もあります。
彼らの特徴は、自分たちの発言の機会が封じられたり、否定されたりすると、すぐに報道の自由を持ち出し、自分たちがそれを代表しているかの如く、振る舞うことです。そんなこと、あなたに頼んでないですよ、尾形さん、望月さん。
尾形氏がたびたび例として持ち出す、アメリカ大統領の会見の際にマイクが回って来なくても自分の質問が取り上げられたことや、岸田首相に「逃げるのですか」と叫んで、自分の質問に答えさせた事は自慢話としては勝手にどうぞなのですが、どれも一般人は素晴らしい事だとかそうじゃなきゃなんて思っていないですよ。それに、相手は政府・政権の人。上場もしていない市井の一企業に同じ事を求めないでください。企業の記者会見は企業の言いたい事を一方的に発表する場です。お忘れなく。

記者会見と称する吊し上げの場をエサにする、イジメっ子の集団ですね。だから日本からイジメが無くならない。そんな謎の同好の輩が集まっているところを一掃してしまえば良いのに。おっと、報道の自由を犯すと糾弾されてしまうかも。くわばらくわばら。

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