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【小説】『春の庭』

文庫本          はるっぽい あらすじを引用 東京・世田谷の取り壊し間近のアパートに住む太郎は、住人の女と知り合う。彼女は隣に建つ「水色の家」に、異様な関心を示していた。街に積み重なる時間の中で、彼らが見つけたものとは―第151回芥川賞に輝く表題作に、「糸」「見えない」「出かける準備」の三篇を加え、作家の揺るぎない才能を示した小説集。 感想 春も近いだろうと読み出した、1月現在。雪が降っている。さむい。 「家」がテーマとしてあるのに、内側からの視点でなく、

    • 【映画】『ファースト・カウ』

      フライヤー あらすじを引用 物語の舞台は1820年代、西部開拓時代のオレゴン。アメリカン・ドリームを求めて未開の地にやってきた料理人のクッキーと、中国人移民のキング・ルー。 共に成功を夢見る2人は自然と意気投合し、やがてある大胆な計画を思いつく。それは、この地に初めてやってきた“富の象徴”である、たった一頭の牛からミルクを盗み、ドーナツで一攫千金を狙うという、甘い甘いビジネスだった――! 感想 今年、一本目の映画は、ケリー・ライカート監督『ファースト・カウ』。ポップな

      • 【2023年】最高な本トップ3

        今年一年を振り返って、好きな本の話をします。 3位  ポール・オースター『オラクル・ナイト』 あらすじを引用 重病から生還した34歳の作家シドニーはリハビリのためにブルックリンの街を歩き始め、不思議な文具店で魅入られたようにブルーのノートを買う。そこに書き始めた小説は……。美しく謎めいた妻グレース、中国人の文具店主Ⅿ・R・チャン、ガーゴイルの石像や物語内の物語『神託の夜(オラクル・ナイト)』。ニューヨークの闇の中で輝き、弦楽四重奏のように響き合う重層的な愛の物語。 感

      【小説】『春の庭』