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【展覧会レポ】 本阿弥光悦の大宇宙 @ 東京国立博物館

こんばんは!
先日、東京国立博物館で開催中の、『本阿弥光悦の大宇宙』展に行ってきました!

◆公式サイト

展覧会は撮影ができなかったので、今回は文字メインのレポとなります。


本阿弥光悦とは?

※撮影は全て著者によるものです。

本阿弥家は、刀剣の研磨や鑑定をする家職でした。日蓮法華宗を篤く信仰する家系でもあり、こうした土壌が光悦の卓越した感性や芸術感を形成したのでしょう。

本阿弥光悦は、様々なジャンルを手掛け、今で言うアートディレクター、プロデューサーとして活躍しました。特に寛永の三筆と呼ばれるほどに"書"(書道、毛筆)の才能は卓越していました。その他にも、陶芸、画家、茶人など本当に多彩に活動したことがわかります。

俵屋宗達などを発掘し、自らの書と合わせて作品を手掛けたりするなど、本当に優れたディレクション力があったことがわかります。


展示構成

本展では、本阿弥家の家業だった刀剣鑑定や、日蓮法華宗に関連する品々も展示されています。

そこから、書や茶碗などの多様な光悦が手掛けた作品を観ていくこととなります。

光悦蒔絵

俵屋宗達風の意匠+融通無碍(自由)な漆喰作品を当時こう呼んでいました。実は、光悦が関与したデザインなのかは定かではありません。山形に膨らむ奇抜な形態、素材の質感が生むコントラスト、こうした出で立ちが光悦風な作品ということから光悦蒔絵と呼ばれているようです。

写真はありませんが、静寂の中で感じる光悦蒔絵は、まさに光悦の思い描いた宇宙感そのもののように感じられます。

書と筆線

そして、メインに活動していた書の展示はボリューム満点です!彼の、時代とともに変わっていく筆線と字姿をぜひ堪能してください。

晩年は痙攣による手の震えに悩まされていたようで、その状態に合わせた作風がまた見事に感じました。散らし書きによる大胆なレイアウトや毛筆が作り出す墨の表現などに注目してみてください!

本阿弥光悦直筆の書簡や巻物、書状などが見れる。その筆感には圧倒されました!私自身、今まであまり関心のなかった、書のジャンルの見方が変わりました!

余談ですが、江戸時代、平安古筆という平安時代の能書の筆跡が流行したそうです。小野道風などが有名で、唐紙という平安時代の紙を使って再現していたようです。まさに、江戸時代における平安レトロブーム的な?(笑)やってることって現代とそんなに変わらないんですね。


茶碗

光悦は茶碗も作っちゃう天才肌!刀の世界で培った美意識を、茶碗造形に活かしたのだとか。光悦は、茶碗造りの祖:樂家との親交で手捏ねによる創作に力を入れました。"今そのとき、を生きる"という想いが込められた作品たちはどれも力強いフォルムが印象的です。

本阿弥光悦と樂家の長次郎や道入などの作品を一同に見られる貴重な空間をご堪能ください。



いやー、展覧会のキャッチコピーにある通り「はじめようか、天才観測」そのもの(笑)

展覧会のラストにはこんな言葉も飾られています。

一生涯へつらい候事至てきらひの人

本阿弥光悦

へつらうことが大嫌い、という意味。天才、というよりも、やりたいことをやっていた凡人、なのかもしれませんね。そう考えるとなんだか身近に感じてきます。

ぜひ、本阿弥光悦の創り出す宇宙感を体感してみてください!


最後まで読んでいただきありがとうございました。




※一部考察や感想は著者による独自ものです。


※執筆にあたり、解説パネルやチラシ、公式サイトを参照しています。

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