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【展覧会レポ】フランク・ロイド・ライト-世界を結ぶ建築展 @ パナソニック汐留美術館

こんにちは!パナソニック汐留美術館で開催中の『フランク・ロイド・ライト展』に行ってきました!

◆公式サイト

※本展は一部を除き撮影不可でした。

早速、レポしていきたいと思います!


フランク・ロイド・ライトとは


ざっくり説明します!ポイントとしてご参照ください。

・アメリカの建築家
・シカゴがホーム
・イタリアと日本に感銘を受けた
・事務所に所属していたが、やがて独立
・めっちゃ凄い浮世絵コレクター/ディーラー
・海外では唯一日本に建築物が残る
 →帝国ホテル二代目本館などが有名

建築家の方はそれぞれのバックボーンであまり病んでいたり、葛藤していたりという物語が画家のそれと比べて少ないように感じる今日この頃。もちろん、私が知らないだけの可能性はあるのですが、、、。

だからこそ、彼等の創る空間に、彼等の姿を投影して、想像したくなるのかもしれませんね。そんな風に感じました。

ライトの建築

※撮影可能エリアでのものです。
※撮影はすべて著者によるものです。

有機的建築:自然と人間が共生する建築

彼が目指したのは建築物でありながら、自然的な、自然と融合したものでした。

彼が建築をした時代は、各都市での文化が成長している過渡期でした。ホームタウンであるシカゴは万博などの影響もあり、近代化が進み、一方東京も明治維新後の変化で丸の内や日比谷を中心に開発が進んでいる頃でした。そんな時代背景の中、自らの建築スタイルを確立していったプロセスを本展で知ることができます。

いくつかの事務所で仕事をし、やがて独立したライト。そんな彼が見出したのが【プレイリー・スタイル】でした。

プレイリーては、大平原を意味する言葉で、ライトの故郷でもあるアメリカ中西部の風景を指しています。見渡す限りに平坦な自然の景色が広がる様を、自身の建築スタイルに採用したのです。他の建築家と違うのは、自然の外形を再現するのではなく、慣習化・抽象化した点だと言われています。

確かに、この説明を聞いてからあらためて彼の建築を見ると、その横に広がるスタイルを感じられると思います。

プレイリー・スタイルの建築は、屋根を低く抑え、水平に伸びる深い軒のラインを強調したもの。内部の特徴としては、暖炉を住宅の中心に据えて、室内空間に回遊性をもたせています。ここでいう回遊性とは、広い空間のことでしょう。展示されている設計図面を見ると実際のプレイリー・スタイルの特徴がわかると思います。

様々な建築を手掛けるライトのキャリアでも、最大のプロジェクトだったのが、帝国ホテル二代目本館の制作でした。約10年をかけて造られたこの建造物は、宿泊とエンターテイメントの共存する総合芸術の場でもあったようです。展覧会では、当時の図面や写真などとともに、その様子を追体験できます。今にも賑やかなざわめきが聞こえてきそうです。

個人的に面白いなぁと感じた点は、ライトのインスピレーションの基でした。ライトは、古代文明の建造物、特にマヤ文明やインドネシアのボロブドゥール遺跡などから着想を得ていたようです。計7回来日した、日本の寺:平等院鳳凰などにも影響を受けたとされています。新しい建造物に、古からの文明を反映したデザインを施す、それこそ彼が求めた有機的建築だったのかもしれません。古代、人々は自然と共生していた、その姿を現代に蘇らせようとしたのかもしれませんね。

その後、ライトは高層ビルの建築にも着手します。それまで横に広げていたプレイリー・スタイルを、縦方向に転じたかのような設計はとても独創的で、いくつかのパターンを見ればライトの建築だと一目瞭然な程です。

ぜひ、ライトの求めたデザインと空間演出に注目して展示を楽しんでみてください。


完一性:インテグリティ

建築における唯一無二、を指すであろうこの言葉は、ライトが辿り着いたひとつの終着点だったのかもしれません。インテグリティとは「真摯」「実直」などと訳される言葉。彼の創りだす空間演出の中に、どんなインテグリティが秘められているのか探してみるのはいかがでしょうか。


これまでアート鑑賞をしてくるなかで、近いようで遠い存在だった"建築"というジャンル。アートの先に建築があり、建築からアートが生まれてくる、そんな相互的な関係なのはわかっていました。しかし、最近になって、その楽しみ方が少しずつ肌身についてきたように感じています。その造り手が、どんな環境で生活し、何に影響を受けたのか、そういったことが建物の造りや概念に影響しているんですよね。その点では絵画も建築も同じなように思います。

気難しいことはさておき、間取りが好きな方、建物を見るのが好きな方、さまざまな楽しみ方で本展を体験してみてはいかがでしょうか。知らなかったあなたのインテグリティに触れられるかもしれませんよ?

展覧会は3月14日までパナソニック汐留美術館にて開催中です。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

※一部考察や感想は著者による独自ものです。

※執筆にあたり、解説パネルやチラシ、公式サイトを参照しています。

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