『ゴジラ×コング 新たなる帝国』感想

全地球100億人の猫カッケー皆さん、コンバトラー!
直江津高校3年生、羽川翼です。

年明けから色々と環境が変わり忙しく、更新できてなかったこのnote。
久しぶりの更新は、遊戯王ではなくゴジラ映画の感想です。
デッキ紹介とかできるほど良い感じのデッキが組めてないんだよね

見てきました、『ゴジラ×コング 新たなる帝国』。
ティザーが公開された時点で、ゴジラとコングが並んで駆けっこしてるトンチキな絵面が話題になっていたこの映画。
実際のところ、デキはどうなの?と気になっている方も多いのではないでしょうか。
そんなあなたの助けになるべく、感想記事を書いていこうと思います。

では、レッツラゴー!

※この記事には『ゴジラ×コング 新たなる帝国』のネタバレが含まれます。
ネタバレを見たくない方はここでブラウザバックしてください。





〜以下、ネタバレ解禁〜

良かった点

⑴バトルシーンがド派手

ハリウッドのGODZILLAシリーズに共通する点ですが、怪獣同士のバトルシーンはとにかく派手ですね。
今回も世界各地の名所をまー壊す壊す。放射熱戦もブッ放す。コングは高層ビルの上を飛び跳ねる。
CGもキレイだし、カメラワークもダイナミックで迫力満点。
バトルシーンの派手さは、掛け値なく素晴らしいと思います。さすがハリウッドって感じ。お金かかってるんだろうなぁ。

コロッセオをねぐらにするゴジラとか、絵面的には結構良かったと思います。


えー、良かった点、以上です。
⑴とか書いてるからいくつか続くと思ったでしょ?実に甘い見通しです。
映画館のキャラメルポップコーンぐらい甘い。

良くなかった点

⑴モンスターの造形

これはまあ好みの問題だと思うんですけど、ハリウッド版シリーズの怪獣は、軒並み「モンスター」とか「クリーチャー」って感じで、「怪獣」って感じがしないんですよね。

ゴジラはめちゃくちゃ爬虫類感出てるし、モスラやらの虫系怪獣は虫っぽさマシマシだし、コングはマジでただのサルだし。

怪獣映画っていうより、モンハンのCM見せられてる気分になるんですよね。
何ならモンハンのモンスターの方が怪獣感強い気がする。

今回新しく出てきた怪獣たちは、まあ最初の蜘蛛みたいな怪獣は割と良いデザインだなって思ったけど、後から出てきた海竜風の怪獣2体は、もう完全にゲームのボスモンスターやん……ってなった。
う〜ん。カッコいい……かぁ?これ。ってのが僕の感想。

それと、これもシリーズ通じてそうなんだけど、怪獣たちがやたら手足長くデザインされてるのは何故なんでしょうね。
コングたちはまあともかく、ゴジラとか、シーモっていう氷の怪獣とか、手足が長くてすごいアンバランスに見える。
モスラなんかもう、身体より脚の方が長いやんってくらいだし。虫の造形としてはその方がリアルなのかもしれんけど、そこはリアルさより格好良さを優先してくれ。

まあ、正直これは僕個人の好み的な部分は大きいけど、次からは客観的に見てもコレは……って感じの点を挙げてきます。

⑵ストーリーの薄さ

これはもう、ティザーの時点で察してる人もいたり、公開初日に既に触れてる人もいたけど。
ストーリーはマジで薄味です。

一応、前回出てきた少女とコングの境遇を重ね合わせつつ、家族の絆みたいなものを描くっていうテーマは見えるんだけど、正直見飽きたテーマだし、特に独自の描き方をしてる訳でもなし、というかそんなに細かく描かれてないし……
ド派手な怪獣バトルにはヒューマンドラマは余計!って人も多いけど、映画への没入感を高める上でストーリーって大事だと思うんですよね。
その点、『ゴジラ -1.0』は上手かったなあと再認識。

しかも、怪獣周りのストーリーまで薄味なんだよな。
ゴジラがストーリー本筋にあまり関わらず、最後の方に出てきて暴れまわって全部持ってくって構成は、シリーズ1作目から変わってないので、今更言ってもしょうがないんだけど、今回は更に酷くて、「コングがなんか困ってるから助っ人で連れてきました」くらいの扱い。
その割に暴れるシーンは他の怪獣たち以上に用意されてるから、「全然お話は進まないし無関係だけど、とりあえずド派手なシーンブチ込んどきました」状態なんだよね。

いくら怪獣映画には細かいストーリーは求めてないって言っても、限度ってもんがあるだろって感じ。

ストーリーの主眼はコングに置かれてるけど、そこもイマイチ工夫が無く感じた。5分くらいでプロットした?ってくらい「お約束」な展開でまとめられてて、特に楽しめるポイントにはなってないかなぁ……

細かいところでも、描写の薄さやツッコミポイントは多かった。

なんで、太古より地下を支配してて、直近で人間の探索前線基地まで襲いにきてるスカーフェイス軍団がずっと地下の第2層?みたいなとこにいて、これまで発見されず、コングとも遭遇しないでいたの?とか。

スカーフェイスの帝国では、圧政ぶりを示すような土木作業が行われてたけど、その割にあのアジトっぽい場所、ただのすり鉢状の広場で、帝国っぽい建物とかがある訳でもないし、よく見たらタイタンの数もそんな多くないし……
イーウィス族の住んでる場所の方がよっぽど地下帝国感あったぞ。

あと、なんか朱塗りされてるタイタンと、そうじゃない奴の階級の違いもイマイチ曖昧だったし。迫害される奴隷・労働者階級と、酷薄で暴力的な支配階級、みたいなのをもうちょっとハッキリ描いても良かったんじゃないか?

凍傷になったコングの腕を治療するために、大リーグボール養成ギプスみたいなメカを装着するとこも、アレを持ってくるのとスカーフェイス軍団の侵攻に間に合うか?!みたいなドキドキを入れ込んで山場を作っても良かった気がする。

で、イーウィス族のとこに攻め込んできたスカーフェイス軍団もなんか意外と人数少なくね?ってなったし。
てっきり、タイタンの大軍勢&スカーフェイス&シーモに対して、数的不利な中でもコング&ゴジラ&モスラが大立ち回りして上手くやるのかと思ったら、タイタンの雑兵はモスラに全任せ。いる意味あった?
あのぐらいの扱いで終わるんだったら、最初からスカーフェイスが1人で目覚めて、シーモを呼び出してこのコンビだけが攻めてくる、とかで良いじゃん、ってなっちゃった。

⑶バトルシーンの演出

良かった点に挙げたバトルシーンも、う〜んポイントがいくつか。

まず、これもシリーズを通じての話なんだけど、怪獣の動きが人間的過ぎるきらいがある。もっと言えば、プロレスっぽすぎる。
サルであるコングたちはともかくとしても、ゴジラとかがジャーマンしてるの、それはちょっと違くないか?ってなる。これも好みなのかもしれんけど。

もう1つ大きいう〜んポイントとして、バトルシーンに、全体的に緊張感が感じられないところ。

巨大な怪獣たちが大地を揺らし天を割いて戦ってて、街が破壊されて火の海になって、今作ではピラミッドやらガール水道橋やらの世界遺産もバッコリ破壊されてて、「ヤベーことが起こってる」感はあるんだけど、
この怪獣たちのバトルの間に、登場人物たちの描写がほとんど入ってこないんだよね。

登場人物たちが、怪獣の戦いに恐れ慄き、「このままでは人類は……」みたいなリアクションを取らない、というか描かれない。
だから、怪獣たちがドンパチやって破壊の限りを尽くしてても、どこか緊迫感が無い。それこそ、ちょっと変な言い方だけど「ド派手なアクション映画を見てる」ような感覚でしか、怪獣たちの戦いを見られないんだよね。

今作では、人間たちは積極的に怪獣を倒そうとしたり、何かを守ろうと奔走することも無い。いや、無いは言い過ぎだけど、その様子は最低限以下の描写しかされない。
先に書いたみたいに、コングを強化しようとするくだりはかなりアッサリ終わるし、ジアの力でモスラを蘇らせるくだりも、特になんのフックもなくすんなり進んでアッサリ成功する。
イーウィス族が重力操って云々のところも、「重力を操るぞ!急げ!」って言われてからホントに急ぎ足で発動してたからドキドキする間も無かったし。

怪獣たちが地上に出てからは、傍観者ですらなくなり、映画から完全に消えてたし。
子どもタイタンのスーコが色々と動いてていいキャラ感を出してたけど、本来は人間たちがああいう働きを劇中でやらなきゃいけないんじゃないか?
今作だと、人間たちがストーリー上いてもいなくても良い存在になっている。ジウ以外の人間たちがやったの、コングの虫歯治療とコングに強化ギプスつけたくらいだしね。何ならギプスつけるとこも、スーコが薬草とか持ってきて頑張って治療する……みたいな流れの方が、筋が通ってる感じすらするし。

そんな風に、登場人物たちの怪獣に対するリアクションが描かれないので、見てる側としても物語に入り込めないし、どれだけド派手な破壊シーンがあっても、「はぇ〜すっごい」くらいの感想しか出てこなくなってしまう。

「怪獣映画は怪獣の活躍が重要で、人間のドラマは必要無い!」って意見も分かるんだけど、
あくまで「怪獣映画」であるからには、それを観測し、向き合う人間という存在がいてこそ、怪獣がどういう存在かっていうのが見えてくるわけで。
そこの描写を丸々抜いてしまっては、「怪獣」としての性格も半減してしまうと思うんですよね。

『シン』とか『-1.0』とかは、そこがしっかりしてるから、ゴジラという怪獣も一層恐ろしく、迫力と緊張感が感じられるんですよね。ゴジラと相対し、あるいは戦い、あるいは恐怖し、あるいは潰されていく登場人物たちの姿を通じて、それを見ている自分にも、まさに目の前にゴジラという脅威が存在して、その危険や恐怖が恐怖が身に沁みて感じられる感覚が入ってくる。
今作は、戦闘シーンや破壊の描写は『シン』『-1.0』より圧倒的に力が入っているし、良かった点で挙げた通りそのクオリティは高いけど、
どこまでいっても他人事というか、実感を伴った体験にならない。
「ド派手なアクション映画を見てる」感覚っていうのはそういう意味。

あるいは、「動物バトルムービー特集」みたいなTV番組を見てる感覚、と言っても良い。
先に挙げた怪獣たちの造形や、動きが人間っぽすぎる点も、この感覚に拍車をかけている。

まとめ

戦闘シーン描写は、映像体験としては確かに凄かった。
ただ、映画ってのは映像表現以外にも色んな要素があるのに、その「映像表現以外の要素」が全部すっ飛ばされてるせいで、凄かった映像体験が表面的なものにしかならなかった、というのが正直な感想。
正直、旧ハリウッド版含めた海外ゴジラの中でも、一番満足度は低かった。

キャラメル味のポップコーンは美味しいけど、それだけを1kgぐらい渡されても飽きるし、満足はできないよね。コーラの爽やかな炭酸や、オレンジジュースの酸味で口内をスッキリさせたり、チップスの塩味で甘さを引き立たせたり、ポップコーンそのものを引き立たせるために必要なものは他にもたくさんあるよねって話。

ド派手な戦闘・破壊シーンを、超高クオリティのCGで楽しむだけが生き甲斐!って人にはお勧めできます。
それ以外の人には、まあ、見て損したってレベルではないので、ゴジラが好きならとりあえず見ても良いんじゃない?くらいですね。

何だかかなり辛口になっちゃいましたが、今回はそんな感じで。

何でもは知らないけれど、ゴジラのことは知っています。
羽川翼でした。




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