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効き目の実感 -7

そのあとは体調が回復し、
ホテルで残りの時間を過ごそうとしている間、
私は荷物を広げ、
過ごしやすいよう整理をしていたが
不思議となにからなにまで気になっていた。

これをここに置く、あれを出す、
あ、あれはどこだったっけ。あ、これはそうだ…
あれ?あの途中だった、あ、そういえば…


これは大袈裟ではなく
本当にこんな感じ。
次から次へと思考が飛ぶ


このような状態に
最初は自分でも気づいていなかったが
作業を続けてからというもの
数十分も経っていたのだ。


相手は笑っていたが、
自分のやっていた事や経った時間に気づいた時、
私は自分にドン引きした

これが薬物の効果なのか…

私が初めて覚醒剤の効果を認識した出来事だった。


ひたすらずっと歩き回って何かをしているため
相手が
「一度休んだら?」
と言われても
「あと少し!」や、
ほんの少し休んでる間にもう次に気になることが出てきて結局動いてしまう

そんなことを延々としていた気がする。


時間がたち、ホテルを出る時間になったので移動しようとしたが
外は東京では珍しくあいにくの大雪

私はこの予定の後に長期の予定があり、
大きなスーツケースを持っていた為雪の中を上手く歩けない。

お金もお互いそこまで無かった為、
近くの漫喫に入ることになった。


そこではカップルシートで席をとり、
静かにおしゃべり。


シャブが入っているからか、とにかく話したい欲が凄かった。
その時に感じていた、
誰にも分かってもらえない感覚をぶつけるように
とにかく人に言えない自分のことを話すと
相手はうんうんと聞いてくれ、
時間はあっという間に過ぎていった。


そこで初めて追い打ちをしようかという話になる


追い打ちというのは一度注射した後、
二度目、三度目、と回数を追って打つことを
追い打ちという。


漫喫という照明が暗い場所であったが
わりかしすんなり入れてもらうことが出来た。


そのあと相手は数時間おきに何度か追い打ちをしていたが
何度目かの時、
血管に中々入らないようでグリグリと注射器を動かしているのが見えた。


そしてそれが何分も続くのだ…

何度も刺しているのだから痛いようで
こっちも心配になった。

だけど相手は止めるという選択をすることなく、
頑なに入れようと長い時間戦っているのを
私は横で不安いっぱいな気持ちで見ていた。


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