2023年3歳ダート馬ミックファイア世代の対古馬戦績不振考察


無敗の最強3歳ダート馬ミックファイアの強さの現在地

3歳世代の無敗の南関東三冠馬ミックファイアがダービーグランプリでも快勝。無敗の4冠となり、ますます3歳最強ダート馬の座を盤石のものにしました。
地方の有名どころは殆ど直接対決で倒してきて、今後は中央馬や古馬との対決が注目されますが、自分自身は勝ち続けてきたものの、戦ってきた同世代のライバルたちが古馬とのレースで惨敗を繰り返してきており、世代のレベル、ミックファイアの強さにも疑問符が若干生じてきてしまいました。

まあ、仮に現時点で3歳世代がレベル低く、古馬相手に通用しないのだとしても、現在のダート古馬上位陣は層が厚い上に世界王者ウシュバテソーロをはじめ歴代でも上位のレベルで、そもそも日本におけるダート馬は古馬になってから台頭するのが当然なので問題はないのですが、中には3歳にして古馬上位陣にも割って入る馬がいたことから、過去に3歳で古馬ダートG1で好走した馬たちと、その同世代の対古馬戦績を比較しながら、世代レベルを推測することができるのか調べてみようと思いました。

ミックファイアの同世代馬の古馬対戦成績

ヒーローコール

サンタアニタトロフィ2着馬がヒーロコール-1.2秒で単純計算だとミックファイアは2着相当になります。

キリンジ

シリウスSは8着馬がキリンジ-0.6秒、9着馬がキリンジ-0.4秒なので単純計算だとキリンジ-0.5秒のミックファイアは9着相当になります。

ミトノオー

日本テレビ盃は5着馬がミトノオー-1.0秒で、6着がミトノオーなので単純計算だとミトノオー-0.6秒のミックファイアは6着相当になります。

ゴライコウ

白山大賞典は6着馬がゴライコウ-2.0秒、5着馬がゴライコウ-2.5秒なので、単純計算だとゴライコウ-2.1秒のミックファイアは6着相当になります。

…というようにまだデータは少ないもの、ミックファイアと対戦経験がある同世代の上位馬、それなりの馬たちが古馬と戦って全て惨敗しているという結果が出ており、当初は最強馬が集うダート黄金世代、そしてその中でも抜けた強さを持つ稀代の怪物がミックファイアと目されていたのが、今では世代レベルが低すぎて、ミックファイアの強さもそれほどでもないのではという疑念が浮かんできています。


近年の強豪3歳ダート馬たちとその同世代馬の対古馬戦績

クラウンプライド、ノットゥルノ (2022年世代)

クラウンプライド(UAEダービー優勝)は3歳にしてJBCクラシック(G1)2着チャンピオンズカップ(G1)2着と古馬上位相手にも安定した成績。
ノットゥルノ(ジャパンダートダービー優勝)
東京大賞典(G1)でウシュバテソーロの2着と3歳時点で古馬上位に食い込む。

セキフウ

セキフウは2歳~3歳前半こそ兵庫ジュニアグランプリ1着全日本2歳優駿4着、サウジダービー2着と世代上位を窺う活躍を見せていましたが、それ以降活躍できませんでした。クラウンプライド、ノットゥルノと古馬G1で好走した同世代の馬たちとの対戦でも大差をつけられて敗れています。
(なお古馬になった現在はエルムSで古馬混合重賞初勝利をあげ、覚醒の兆しを見せています。)
ただ、対古馬初戦だった武蔵野Sでも1.5秒差で敗れていますが、同世代のクラウンプライド(約-2秒前後)やノットゥルノ(-4.5秒)と戦った時よりは差が小さく、武蔵野Sがただの古馬戦でなく比較的レベルが高い古馬ダート重賞であることも含め単純計算で考えるとここからもクラウンプライドやノットゥルノは古馬相手で健闘できる可能性が見えていたことになります。

ペイシャエス

日本テレビ盃はそもそも世代上位クラウンプライド(2着+0.1秒)、ノットゥルノ(8着+1.6)も出走してノットゥルノには先着してますが、あえて彼らをいないことにして見て、大差ではなく4着ということで見ても、ジャパンダートダービーでノットゥルノと0.1秒差で能力差が小さいことを考えても単純計算すれば、ノットゥルノが古馬戦に出ても同じように恥ずかしくない程度のレースはできる可能性があることがペイシャエスのパフォーマンスから窺えます。
一方で実際にはノットゥルノは同レースで1.6秒差8着に敗れている上、その後年末の東京大賞典では古馬G1で2着好走と、対戦してきた馬を物差しにする論法は良くも悪くもあてにならないことを示してもいるかもしれません。

ブリッツファング

ブリッツファングはノットゥルノに1.3秒の大差をつけて勝利経験があり、ジャパンダートダービーでも1番人気で僅差0.2秒差の3着ですから、その時点では同格以上の馬でしたが、対古馬戦ではともに1秒以上の差をつけて敗れており、そこから単純計算で考えるとノットゥルノも古馬相手には通用しない可能性が高いといえます。
しかし結果的にはノットゥルノは古馬G1東京大賞典で2着好走しており、その計算が成り立たないことを示しました。

またヒヤシンスSではクラウンプライドも6着凡走していますが、勝ち馬コンバスチョン(UAEダービー11着)含め上位入線馬はその後現状活躍できていません。

ハピ

ハピはシリウスS、みやこSともに古馬重賞で1着と+0.1秒差という僅差好走しており、3歳世代のレベルの高さをいち早く示した存在といえます。
結果的にハピは古馬G1チャンピオンズカップでも0.2秒差の3着(2着クラウンプライド+0.0秒)と好走しており、古馬重賞での成績通り古馬に通用する馬&世代レベルだったことを示しましたが、ノットゥルノは同チャンピオンズカップで0.7秒差8着と敗れています。
ただそこまで大差ではないので、ハピが上位に食い込んだことからノットゥルノも十分展開やコース適性によって古馬上位に対抗する可能性も匂わしていたともいえ、次走東京大賞典ではウシュバテソーロの2着に好走しました。

クリソベリル (2019年世代)

クリソベリル(ジャパンダートダービー優勝)日本テレビ盃(G2)、チャンピオンズカップ(G1)を制覇し3歳にしてダート王に。

デルマルーヴル

クリソベリルとデルマルーヴルの対戦は3歳時点で1度のみでしたが2着とはいえ0.6秒差で完敗。その後古馬戦では2着、4着と敗れますがクリソベリルとの着差を考えると十分健闘しており、単純計算で考えてもクリソベリルが古馬戦でも十分通用することを推測できる成績です。

クリソベリルは2~3歳時のレース出走が少なく、ライバルというか3歳時に古馬と重賞などで戦った上位クラスの同世代馬が少ないのでデルマルーヴルくらいしかデータがありませんが、それだけを見ても古馬相手でも十分可能性はあるという感じでした。

ルヴァンスレーヴ、オメガパフューム (2018年世代)

ルヴァンスレーヴは3歳にしてマイルチャンピオンシップ(G1)チャンピオンズカップ(G1)を制覇。3歳にしてダート王に。
オメガパフュームは同世代の怪物ルヴァンスレーヴにこそ遅れをとるものの3歳にして東京大賞典(G1)制覇

オメガパフューム

オメガパフューム自体がただのルヴァンスレーヴのライバルでなく、後に3歳で古馬G1制覇する名馬だったので当然ではありますが、重賞制覇、G1でも僅差2着と古馬相手に続けて好走。直後に東京大賞典でG1制覇する可能性を既に感じさせており、直接対決で同等以上のパフォーマンスを見せたルヴァンスレーヴが3歳にして現役最強の座を手にするのも納得といった感じです。

グリム

グリムはユニコーンSではルヴァンスレーヴに1.2秒差の9着と完敗。
しかしオメガパフュームには青竜Sで0.2秒差で勝利しています。
対古馬戦でも白山大賞典で1.1秒差で快勝、浦和記念は0.9秒差つけられましたが2着で古馬相手でも十分健闘してると言えます。
そこから単純に考えてもルヴァンスレーヴが既に古馬相手でも弱くないことが推測できます。

ドンフォルティス

ドンフォルティスは故障前のルヴァンスレーヴに唯一勝った馬ですが、早熟だったのかその後の戦績、対古馬戦績は散々で、古馬になってからは活躍できませんでした。
彼の戦績だけをみるとルヴァンスレーヴ、オメガパフュームの強さは低く評価せざるを得ない状態ですが、実際には2頭は国内最強馬に上り詰めていきます。

クリスタルシルバー

クリスタルシルバーは大井所属の地方馬ですが、ジャパンダートダービーでルヴァンスレーヴ、オメガパフュームら含む中央勢の3歳相手にも僅差4着と好走。3歳にして対古馬戦でも優勝した所からも、単純計算で世代が弱くないことが推測できます。

ノンコノユメ(2015年世代)

ノンコノユメ(ジャパンダートダービー優勝)は3歳にして武蔵野S(G2)1着、チャンピオンズカップ(G1)2着と古馬上位相手にも互角以上に活躍。

ゴールデンバローズ

そもそもこの対古馬戦の勝ち馬が3歳馬のノンコノユメであり、ゴールデンバローズからノンコノユメの実力を測るという問題ではないですが、そこは置いておいて、ノンコノユメがいなかったとしても1着とは1.8秒差の負けで、これだけ見ると古馬の壁は厚いという印象です。

ホワイトフーガ(牝馬)

ホワイトフーガは牝馬で、牡馬混合戦にはあまり出ませんでしたが、ノンコノユメと対戦経験があり、5着のノンコノユメと0.3秒差7着。
古馬混合戦では牝馬限定でしたが出走するごとに古馬との着差を縮めてG1・JBCレディスクラシックでは見事に快勝してみせました。
しかも2着に下したのは次走で牡馬混合G1チャンピオンズカップを制覇するサンビスタでした。


このほか、古馬と対戦経験なく3歳秋に大腸炎で急逝してしまった、ノンコノユメと1勝1敗のクロスクリーガーがいますが、ノンコノユメの後の活躍を見るとクロスクリーガーが無事なら古馬になってもノンコノユメらとダート最強馬を争っていたかもしれないと推測できます。


まとめ

正直、興味本位で調べてみただけで、結局関係なく強いものは強いというデータが出てくると予想してたのですが、実際調べてみたら思ってた以上に、3歳時点からダート古馬混合G1で好走する3歳馬がいる時の同世代馬は上位馬でなくてもそれなりに健闘したり、ミックファイア世代の馬よりは大敗してないので、残念ながら現状ではミックファイア世代のレベルが低い可能性は否めないかもという感想になってしまいました。

ただ、ダート馬は基本的に古馬になってからが本当の勝負で、3歳時点では古馬に歯が立たなかった世代も、古馬になってからはむしろ歴代屈指の強豪馬を輩出する世代になっていることもよくあるので、仮に3歳時点で古馬に負けたとしても、今後の心配という意味では問題ないと思います。


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